きのホ。インタビュー|主催フェス「ホ。フェス'26」開催前に考える、グループの独自性と現在地 (2/4)

きのホ。はカッコいいしかわいい

──ポテトさんはアイドル知識が全然ない、音楽&飲食業の人だったわけじゃないですか。それがプラスになってると思います?

桜寝 個人的にはアイドルのイベントも大事にしたいし、バンドさんのイベントも呼ばれたら出たいし、ワンマンもいっぱいやりたい。どれかに特化するんじゃなくて、きのホ。らしい道を探せたらいいんじゃないと思ってて。前は“ザ・アイドル”なイベントにたくさん出てた時期もあれば、単独のライブばかりやってた時期もあった。そうやって一緒に手探りでやってきた中で、「もうちょっとこういうイベントに出たいです」とか、いろいろと裏で言わせてもらってたんですよ。新井さんがそういうのも加味して考えて、いい道に進ませてくれたんだと思う。こっちの話に耳を傾けつつ、きのホ。らしいところを探してきてくれたんだろうなって。

桜寝あした

桜寝あした

──かなり理想的な活動ができてるように見えますよ。

小花衣 何回も話し合いをするんですよ、ライブのことで。最初はセトリを……らねちゃん(桜寝)に全部任せちゃっていた時期もあったり、1曲1曲、練習してきたことをつなげてそのままやるみたいなイメージで。「練習とは違う、その日にしかできないライブをもっと考えないといけないよね」ってポテトさんに言われ、だんだんと自分たちでも考えるようになりました。ボートに乗るとか……今日はライブ中に羽子板をしてたんですけど。

御守 小道具とかを使わないときも、お客さんが全然予想してないであろう曲をいきなりポンッとやったり。曲順の並びにお客さんがざわつくみたいな。

小花衣 最初はただ曲を披露してる感じに近かったと思うんですけど、今は「こういうお客さんがたぶんいるよね。前のアイドルはこういう組だったね、じゃあこういう流れにしたら面白いかも」って、ホントにその日のためのライブにしたいなって。

御守 どこかの地方遠征の2日目のライブだったかな。お客さんは前日の夜に飲み会して、二日酔いで朝眠い人もいるだろうから、1曲目からノレないかもねってセトリを考えて……。

御堂莉 声を出したり、ダンスとかができないだろうって。

御守 そしたら実際そうで(笑)。そのことを考慮したセトリに対してみんな「すっげえよかったー!」って言って、幸せになって帰ってった。

桜寝 ラジオ体操をしたこともあったよね。1つひとつのライブで面白いことをしようという意識は、新井さんのおかげで絶対に芽生えたし、今もありますね。

──バンドの対バンも多いですけど、それで鍛えられた部分は?

桜寝 あると思います。初期のきのホ。って、ちょっとポップだったじゃないですか。アルバムとかの作品自体もポップだったし。そのときに比べれば、今のきのホ。にはロック魂じゃないけど……。

小花衣 最初はカッコいい曲を歌えなかったからね。初期のアルバムを聴くと、けっこうみんなの声が弱々しい。それも、そのときにしか歌えない歌でよかったんですけど。カッコいい曲を最初に出したとき、お客さんの反応が「え?」みたいな感じでちょっと悪くて、まだ早かったんだと思った。歌唱力とか、カッコいいきのホ。をまだ前面に出せなくて。

桜寝 だんだんと曲がカッコいい方向になっていったし、ちょっとずつ強い、今の叩き上げのきのホ。になっていって。

小花衣 気持ちも強くなった。

桜寝 それに伴って対バンも、キラキラフワフワしたアイドルよりも……なんて言うんだろう、音楽に対する同じ魂を持ってる人と一緒にやったほうがグルーヴが生まれるというか、盛り上がるよねという考えに変わっていって。バンドとの対バンは、楽しいし好きです。そっちのほうがきのホ。に合ってるなと思うときもあるし。

小清水 「きのホ。はバンドの音楽だね」ってお客さんによく言われるからね。

小清水美里

小清水美里

小花衣 バンドって、歌も演奏もすべてその場でイチから生まれるじゃないですか。音の圧がやっぱり違う。もちろんアイドルにはアイドルのよさがあるんですけど、生の音のすごさに負けたくないって考えながらライブをしてきたかもしれない。

──それでいてバンドサウンドになりすぎないバランスもいいと思うんですよ。いわゆるバンド寄りのオルタナな感じのアイドルは多いけど、もっとちゃんとポップなので。

桜寝 確かに。王道なのかもしれないね。

小花衣 かわいいもんね、ウチら。

桜寝 カッコいいしかわいい?(笑)

御堂莉 アイドルとしてこの活動をしてることにけっこうプライドを持ってます。アイドルとしていろんな方向にとがった5人がいる感じ。

──アイドルフェスにもちゃんと出たいし。

御堂莉 出たい! キラキラしてるアイドルも大好きだし、カッコいいバンドも好きだし、全部好き。音楽が好き。

小清水 きのホ。はどっちにもいけるからね。

桜寝 それが独自性なのかはわかんないけど、そういう強さを培ってきたのかもしれないですね。

今のきのホ。は、失ったことで存在する

──ホントいいグループになったと思います。スタート直後にけっこう大変なことがあったのに、ほぼダメージを受けず、よくここまできたなって。

桜寝 1年目がバタバタだったもんね。

──世間的な知名度がある運営の1人と、センターカラーを背負った主人公キャラのメンバーがいなくなって。下手したら、あれでグループがなくなっててもおかしくないぐらいの波乱だったと思います。

桜寝 え、なくなるって思った? 思わなかったよね。

小清水 思わなかった。

御堂莉 ポテトさんがけっこう、しょぼんってなってて。今より二回り三回りぐらい小さくなってました。「もう終わる……」みたいな雰囲気は、ポテトさんが漂わせてました。

小花衣 私は怖かった。

きのホ。

きのホ。

桜寝 あのとき、くるちゃん(御堂莉)が一番頼もしかった。

小花衣 確かに!

桜寝 あのときの話し合いの、くるちゃんの手を忘れられない。ずっと(手をパーにして)こうやってたんですよ。5人の「5」です。5人が一番最強みたいな。

御堂莉 くるちゃんの持論なんですけど、1人辞めると売れるという。

──なるほど! その危機的状況&復活のドラマも含めて盛り上がるというか。

御堂莉 わかります? ももクロさんとか、SMAPさんとかがそうだったじゃないですか。その話をしたらポテトさんがみるみる大きくなって、色が付いてきた。それまで真っ白だったのに(笑)。

小花衣 その言葉に救われた! 寮のリビングで「どうしよう、これから……」みたいな重い空気になってたら、くるちゃんが「ちょっといいですか? 有名なグループって1人いなくなってから売れてるんですよ!」って。

桜寝 あのときのくるちゃん、強かった。

──それは本気で信じて言ったのか、メンバーを励まそうとして言ったのか。

御堂莉 すごい重い空気だったから、励まそうと思って。でもいけるだろうという直感もありました。

桜寝 そのとき私は、話題性が出る分にはいいなと思っちゃって。どんな形であれ、きのホ。が注目されればいい。一瞬「何これ? きのホ。終わった?」って思われるかもしれないけど、残されたメンバーが何か悪いことをしたわけじゃないから。ウチらががんばればどこかで誰かが振り向いてくれるだろうし、いい転機なのかもしれないと思ってた。新井さんはちっちゃくなってたけど(笑)。

御堂莉 ウチらにやる気があったよね。

桜寝 あった。心が芯から折れてるメンバーはいなかった。

御守 私は「終わった」と思ったけど……。

小花衣 うん、思った。

御守 でも終わってないからがんばれた。ポジティブでもネガティブでもなく、とにかく今はまだ終わってないんだって。

小花衣 5人でもっとがんばろうと思えました。

桜寝 あれが転機だったかもしれない。ライブアイドルとして踏み出した一歩目だったのかも。今のきのホ。ってもしかしたら、失ったことで存在するのかもしれない。

御堂莉 アイデンティティを形成できた。

──より強くなっただろうし、絆も深まっただろうし。

桜寝 ホントに叩き上げられてきたよね。