FaveConnect特集|きのホ。がファンクラブ運営で広げる“身内の輪”、ファンとつながる場を気軽に実現するプラットフォームサービス

日本テレビのグループ企業・日テレWandsが提供するファンコミュニケーションプラットフォームFaveConnect(フェイブコネクト)。このサービスではシステムの構築や管理などの手間やコストを気にせず、“ファンとつながる場”、“ファンとの高まる体験”を手軽に実現することが可能だ。

京都を拠点に活動しているアイドルグループ・きのホ。のオフィシャルファンクラブサイト「きのうまではネガティブでした部」も、FaveConnectで開設されたファンコミュニティの一例。「きのネ部」の“ブ員”限定のさまざまな特典、コンテンツを通して、きのホ。の存在をより身近に感じることができる。音楽ナタリーではFaveConnectで「きのネ部」を立ち上げた経緯や、実際に運用する中で感じたファンクラブの魅力を聞くため、きのホ。のプロデューサーである古都レコードの新井ポテト、メンバーの小花衣こはる、日テレWandsの中村光祐(FaveConnect運営統括)の3人にインタビューを行った。

取材・文 / 真貝聡 撮影 / はぎひさこ

生きていくのもままならない人たちの集まり

──まず、きのホ。がどんなグループなのかをご紹介いただけますでしょうか?

小花衣こはる グループの特徴としては、メンバー5人とも社会に向いていない人たちで。個性も性格も歌声も全部がバラバラのメンバーが集まってる、ほかにはあまりないグループだと思っています。

──小花衣さんに関して言うと、新井さんがオーディションを振り返って「キャラを作ってシャイなのかなと思ったら、本気のシャイだったから安心した」と言っていたことがありましたね。

新井ポテト 今となっては一番笑うし一番うるさいメンバーなんですよ(笑)。あのシャイさはどこにいったの?

小花衣 ふふ、わかんないです(笑)。居心地がよくて、こんな感じになりました。

左から中村光祐、小花衣こはる、新井ポテト。

左から中村光祐、小花衣こはる、新井ポテト。

──グループの活動を通して内面がどんどん変わっていったわけですね。

小花衣 はい。

新井 小花衣に限らず、最初は全員に対して「この子、大丈夫かな?」という印象を持っていたんです。現在はメンバー5人で共同生活をしているんですけど、ある意味で人生のリハビリ施設みたいになってまして。

小花衣 本当にそう!(笑) 生きていくのもままならない人たちの集まりだったんですけど、徐々に更生していきました。

──住んでいる家では、いろいろとあるみたいですね。

小花衣 すごく趣のあるおうちです(笑)。

新井 腐ったネズミの死体が……ね。

中村光祐 え、なんですか、それ!?

小花衣 よくネズミが出るところで、屋根からカリカリって音が頻繁にするんですけど、この前1匹お亡くなりになられて……あるとき、家中が臭くて気付いたんですよ。アイドルの家でネズミが死んでるっていう。

──ネズミのほうが家の環境に耐えられなくなった(笑)。

小花衣 そうなんです、ふふふ。

小花衣こはる

小花衣こはる

──グループの音楽性についてはどうでしょう?

小花衣 5人とも「人生うまくいってるぜ」というタイプの人間じゃないので、そういう不器用なところだったり、「うまくいかない人生」みたいな劣等感を表した曲が多いです。

──結成翌年に「TOKYO IDOL FESTIVAL」をはじめとする大型フェスに出演するなど、活動の序盤からアイドルシーンの中でかなり評判がいいですよね。今現在の状況はどうでしょう?

新井 今はちょうどいい状態かと思います。最初のうちはケンカをするわけじゃないけど、やっぱりみんなで一緒に住んでるので「あの子のここが嫌だ」みたいな不満が出てきたり。でも、1年以上経っていろんなことを乗り越えて、お互いのダメなところも理解したうえで少しずつ結束していったよね。

小花衣 最初の頃、「みんなと一緒に住めません!」って何回か新井さんに相談したことがあったんですけど、今はみんながお互いのことを受け入れていて。ダメなところも含めて、この5人でがんばろう!という気持ちになっています。

──きのホ。を応援するファンはどんな方が多いですか?

小花衣 面白い方が多いです。あと、最初からわりと女の子のファンがいて、初めてライブに来た人にびっくりされます。

新井 ほかのグループと比べても女性の比率はかなり高い方かもしれないですね。

小花衣 それもあって、女性のお客さんも「ライブに行きやすい」と言ってくれてます。

新井 もともとアイドルファンだった方も多いんですけど、きのホ。を入り口にアイドルのことを知る方も多かったり。

──きのホ。の音楽性に惹かれてライブに行く方が多い印象もあります。

新井 アイドルもグループによっていろいろな活動方針があると思うんですけど、きのホ。は今とにかくライブに力を入れてるので、そこを好きになってくれる方がいるとうれしいですね。

新井ポテト

新井ポテト

ファンクラブのコースは全部で16

──ライブパフォーマンスや楽曲に定評のあるきのホ。ですが、ファンクラブを開設したきっかけはなんだったんですか?

新井 コロナ禍に結成したグループなので、最初はどこまでライブ活動ができるか不安だったんですね。そして考えた結果、ライブをしなくてもある程度成り立つアイドルを目指したいと考えまして。ライブ以外にできること、それに伴う収入を確保できたほうがいいので、ファンクラブはシステム的にもちゃんとしたものにしたいという思いがあり、いろいろとやり方を調べました。会費については一律じゃなく、いろんな方のご要望に応えられたり、最初にお試しで入会したい方にも対応できたりっていう、コースが何段階かあるシステムのファンクラブを作りたいなと。いろいろな業者さんを調べていく中でFaveConnectさんを見つけて、お問い合わせしました。

中村 当時、FaveConnectは立ち上げて間もない新規サービスだったので、想定されているプランやコースの数を新井さんから聞いたときは正直驚きました。「これ、どうやってやんの!?」と(笑)。

新井 あ、そうなんですか?(笑)

中村 はい、それはもう(笑)。ただ、たくさんのプランがあって、1つのサイト内でファンの方々のニーズにしっかり応えていくという考え方は非常に共感できる部分でしたし、多様なニーズに応えることでファン層がより強化される。そういったところは、きのホ。さんと一緒にサービスを作り上げていく中で我々もとても勉強になりましたし、やらせていただいてよかったと思う一番大きな部分ですね。

──FaveConnectの特徴はどういったところにあるんでしょう?

中村 我々は、ファンの方とアーティスト様がお互いに“高まる”体験ができるサービスを目指しています。両者がしっかりつながり、お互いに支え合い、徐々に大きくなっていく。そんな場所作りです。また、今お話にも出たようにファンの方のさまざまなニーズに1つのサイトで応えていくことで収益も確保でき、長く続く仕組みを構築するのは、ビジネスの観点から見て最低限必要な部分だと思っております。なので収益を確保しつつ、ファンの方が求めていること、運営さんのやりたいことを実現していくことが、我々のもっとも大事にしているコンセプトです。1サイトの中で多数のプランを設定できたり、各プランに対して簡単にコンテンツの出し分けができたりと、従来のファンクラブサイトにさらに価値を上乗せしつつ、簡単に運営できるシステム、機能を提供することでこのコンセプトを体現しています。

──きのホ。のファンクラブを開設するにあたって、苦労されたところはどこですか?

新井 一番苦労したのは見せ方ですね。全部で16コースあるんですけど、それを1つのページでどうやってわかりやすく説明するのかという。

中村 コースがいっぱいあると、お客様が迷う可能性もあるんですよね。どのコースに入ったらいいのか、ファンの方に向けてわかりやすく可視化する方法を何度もディスカッションして考えました。ここでそのコースの内容を簡単にご説明すると、まず、きのホ。の活動に関する特典を受けられる「きのうまではネガティブでした部」、つまりグループ全体を推せるハコ推しのプランがあります。あとはメンバーごとの個別のファンクラブ「個人ブ活動」も用意してまして、そこでしか見られないギャラリーがあったり、LINEでメンバーさんと直接コミュニケーションが取れたり、メンバーさんと無料通話ができたりと、金額の異なる3プランを設けています。金額に応じてメンバーとファンの距離がどんどん近づいていくプラン設計です。

中村光祐

中村光祐

──コンテンツが多いので、形になるまでにかなりの時間を要したんじゃないですか?

新井 いや、早かったと思いますよ。依頼した時点でこっちはもう動き出していたので、けっこうな無茶を言いましたけど「マジすか! わかりました」みたいな感じで素早く対応していただきました(笑)。アイドルの運営ってどこも動きが早くないですか?

中村 皆さん早いですね。

新井 アイドル運営をやってみてわかったことなんですけど、バンド時代と比べると何かと展開が早いんですよね。衣装や写真もコロコロ変わるし、そのバタバタ具合に合わせるのは大変だと思います。

中村 スピード感は我々としても非常に大事にしています。もともと、テレビ番組のホームページ運営などをメインにやってきた会社なので、スピード感についてはそこで得た知見を十分に生かし、運営さんが簡単に、できるだけ自由にサイトを更新できる仕組みにしたり、たくさんのプランに対していかに手軽にコンテンツの更新をしていくか、ということを考え、CMS(コンテンツ管理システム)の開発などを進めています。