King Gnuが7月13日に新曲「Flash!!!」を配信リリースする。すでにライブで披露されており、オープニングを飾ることの多い刺激的なナンバーである「Flash!!!」。昨年10月発表の1stアルバム「Tokyo Randez-Vous」以降の次なる一手としてメンバーも大きな手応えを感じているというこの曲は、今の4人の生き様や美学を表したような楽曲に仕上げられている。
また彼らはフジテレビ系ノイタミナ枠で放送中のテレビアニメ「BANANA FISH」にエンディングテーマとして「Prayer X」を書き下ろしたり、7月13日に東京・LIQUIDROOMで行われるワンマンライブのチケットを即ソールドアウトさせたりするなど、リスナーを巻き込みつつ着実に勢いを加速させている。今回のインタビューでは新曲の制作過程や現在のバンドの状況に対して感じていることをメンバー4人に語ってもらった。
取材・文 / 上野三樹 撮影 / 後藤倫人
「これがKing Gnuだ」と言える曲
──7月13日に配信リリースされる「Flash!!!」はライブで1曲目に演奏されることが多い、オーディエンスを刺激的に煽るような曲ですね。もともとそういう機能を持つ曲として制作したんですか?
常田大希(Vo, G) そうですね。ライブで1曲目に披露する曲を作ろうと思って。あと、アルバムの1曲目に収録されるようなパンチのある曲というイメージもありました。なので、「Tokyo Randez-Vous」(昨年10月発表の1stアルバム「Tokyo Rendez-Vous」の表題曲であるオープニングトラック)みたいなポジションの曲の第2弾って感じですかね。
──いつ頃作った曲なんですか?
常田 いつぐらいだっけ?
勢喜遊(Dr, Sampler) 今年の頭じゃない?
新井和輝(B) もっと前からある気がする……。
井口理(Vo, Key) いつの間にかライブでやってたよね。
常田 前回のアルバムの制作が落ち着いてから作り始めて、そのあとライブで披露しながらちょこちょこブラッシュアップしていきました。なのでその頃からライブに来てる人の中には、違う形の「Flash!!!」を聴いたことがある人もいるんですよね。今の形になったのはホント最近です。
勢喜 今年の3月ぐらいにサビが付いたんだよ。
──最初はサビがなかったんですか?
常田 そうです。A、A、B、A、Aみたいな洋楽チックなメロの構成で。そこにあとからちょっとJ-POP的なサビを突っ込んだんです。
井口 2月に中野サンプラザホールでのライブイベント(sora tob sakanaの主催ライブ「天体の音楽会」)に出たときに、楽屋でデモの歌入れをした気がする。
常田 そうだ、ライブ用のマイクで録ったね。すごく忙しい中で作ったんだった。で、レコーディングの前日にサビを足したっていう。
新井 レコーディングの現場で「ここのコードはこうで」とか言われて。
常田 基本的にやることが急なので(笑)。
──ホントに忙しい中での制作だったんですね。できあがったときの手応えはどうでした?
常田 この曲はライブの幕開けを飾る曲になると思って育ててきて、実際にレコーディングしてすごくよい出来だなと感じましたね。これがKing Gnuを象徴する曲だなと。ほかにもメロディの候補がいくつかある中作っていったんですけど、結果的に「これがKing Gnuだ」と言えるくらいの曲になったと思います。そういう達成感がありますね。
正拳突きだけで戦う武道家
──「Flash!!!」をエネルギッシュかつ刺激的な曲にしている要素はたくさんあると思いますが、サウンド作りやアレンジにおいてこだわったことは?
常田 音の配置の仕方とかが面白いことになってます。
新井 最初のかけ声みたいなのもいろいろと探りながら作って。でも仕上がりが見えたのは早かったよね。
常田 うん。理の歌入れはいつも時間かかるんですけど。楽屋でデモの歌入れをしたときから、すごくしっくりきてた。
井口 そう……かな(笑)。
常田 一番トリッキーな部分はベースかな。そこでちょっと曲にスパイスを入れつつ、ほかはわりとストレートに。
勢喜 うん、意外とストレートだね。
──ただ、やっぱり普通のバンドサウンドにはなっていないと言うか、King Gnuならではのひねりがありますよね。
常田 EDMで使うようなシンセとかも突っ込んじゃってるんで、The Prodigyみたいな方向にも捉えられると思います。
新井 楽曲のベーシックな部分はEDMのようなイメージというお題があったので、歌が入ってるところではベースはあんまり動いてないです。その分フィルでは長尺で思い切り弾いて、バランスを取りました。
常田 あとサビに関しては、俺がまったく想像してなかったアイデアを和輝が出してきて。
新井 サビには最初グランジっぽさがあったんですけど、あえてブラックミュージック的なアプローチで弾いてみたらハマったんです。
常田 基本的にいつもそんな感じですね。ギターがロックっぽくても、ほかがそれに合わせない。ベースとドラムはブラックミュージックのスタンスを崩さないというのがサウンドコンセプトであり、King Gnuのスタイルです。
──そういう意味でもKing Gnuを象徴する1曲ということなんですね。井口さんはこの曲を歌っていていかがですか?
井口 僕もストレートな感じで歌ってます。RPGに例えると、いろんなジョブがある中で正拳突きだけで戦う武道家のような曲になったかなと。
勢喜 物理攻撃だ。
常田 魔法ではないっていう(笑)。
井口 そういうキャラクターってカッコいいよね。
常田 一番、刺さる。
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でっかく打ち上げなきゃ終われない
- King Gnu「Flash!!!」
- 2018年7月13日配信リリース / PERIMETRON
-
250円
- 収録曲
-
- Flash!!!
- イベント情報
King Gnu One-Man Live 2018 "Flash!!!" -
- 2018年7月13日(金) 東京都 LIQUIDROOM(※ソールドアウト)
- 2018年7月16日(月・祝) 大阪府 Shangri-La
- King Gnu(キングヌー)
- 2015年に結成された、東京藝術大学出身のクリエイター・常田大希(Vo, G)が率いるミクスチャーバンド。常田、勢喜遊(Dr, Sampler)、新井和輝(B)、井口理(Vo, Key)の4人体制になったのち、2017年5月にバンド名をSrv.VinciからKing Gnuに改名した。同年10月に1stアルバム「Tokyo Rendez-Vous」を発表し、2018年1月には初のワンマンライブを開催。7月13日に配信シングル「Flash!!!」をリリースするほか、東京・LIQUIDROOMと大阪・Shangri-Laでワンマンライブ「King Gnu One-Man Live 2018 "Flash!!!"」を行う。また7月からフジテレビ系ノイタミナ枠で放送のテレビアニメ「BANANA FISH」のエンディングテーマに、書き下ろしの新曲「Prayer X」が使用される。夏には「FUJI ROCK FESTIVAL」や「RISING SUN ROCK FESTIVAL」、「Sweet Love Shower」など多くの音楽フェスやライブイベントへの出演が決定している。