西中島きなこ|毎週楽曲を生み出す創作活動の源

一緒に音を鳴らすことだけがコラボじゃない

──垣井しょうゆさんとのユニット結成、ぴーぴる(963)さんのソロデビュー曲のプロデュース、田淵正浩さんや小阪有花さんのボーカル起用など、昨年に引き続き今年もさまざまなコラボが展開されています。1人でも自由に曲を作れる西中島さんがコラボをし続ける理由はなんですか?

1人での創作であれば、自分が目指す100%の作品を形にできる満足感があります。しかし、ソロで何もかもやっていると新鮮な風は吹いてこないし、あまりワクワクしないから飽きてくるんです。だからといって「バンドがしたいの?」と聞かれたら、そうではないんです。常にほどよい距離感を保ちながら誰かとコラボをしている、今の創作スタイルが僕に向いているのかもしれません。例えばぴーぴる(963)さんが「ミスマガジン2019読者特別賞」に選ばれたお祝いにプロデュースをさせていただいたんですけど、自分らしさを大切にしつつ、関わる方の個性を考えながら創作と向き合うことで新しい発見があるんです。そこがコラボレーションの魅力だと僕は思っています。

──最近の活動の中で特に印象に残っているコラボはなんですか?

西中島きなこ

コラボというよりユニットの話になってしまうのですが、還暦でお孫さんがいる環境の中でソロとして積極的にライブ活動を続けているのこぎり奏者・垣井さんとのユニット「おべんとピクニック a.k.a. 西中島きなこ & 垣井しょうゆ」ですね。僕の音楽活動においていいスパイスになっている気がします。垣井さんに限らず、MVで関わるさまざまな出演者さんからも創作のエネルギーをもらっています。一緒に音を鳴らすことだけがコラボじゃないと僕は思っているので、アウトプットのジャンルは気にせず、さまざまな人の色と自分の色を効果的に混ぜていきたいです。

──確かに、音楽のコラボに限らず、ミュージックビデオやトレイラー映像ではご当地キャラやアイドルの方々、お笑い芸人の方々に出演いただく機会も多いですよね。動画制作に力を入れているのも西中島さんの活動の特徴だと感じています。

SpotifyやApple Musicといった聴き放題サービスが普及してきたとはいえ、やっぱり皆さんが最も手軽に音楽に触れられる場所はYouTubeだと僕は思うんです。なので、なるべくMVを作ってYouTubeで公開しようと思っています。

──最近公開した中で、特に思い入れの深い動画を教えてください。

チョップリンの小林(幸太郎)さんやバクバクちゃんが出演してくれたベストアルバムのトレイラー映像ですね。あとMVは愛着のある人形と梅田の地下街を散歩しながら撮影した「散らばるこころ」が特にお気に入りです。

「フランダースの犬」に影響を受けた新曲「ナタリー」

──9月4日にリリースされた新曲「ナタリー」のタイトルには驚きました。この曲はどのような背景で生まれた曲なんでしょうか?

トラックの軸はけっこう前から完成していたんです。ただ世の中に出すタイミングがありませんでした。この曲はナタリーという女の子と恋人の少年が青空の下でかくれんぼをしているイメージで歌詞を組み立てました。最近、サンテレビで平日の朝に「フランダースの犬」が再放送されているんですが、僕はこのアニメーションに昔から強い影響を受けています。10代の頃は「フランダースの犬」を意識したユニット名でも活動していたんです。この歌に出てくる「ナタリー」という名前の女の子は「フランダースの犬」に登場するアロア、そしてその恋人は少年・ネロを想像しながら作りました。

西中島きなこ「にんげん」ジャケット

──9月18日には新曲「にんげん」が配信リリースされました。MVに字幕が出るなど、西中島さんの作品の中ではちょっと珍しいテイストの映像だと感じました。

MVには、たまたま見つけた美しい菜の花畑の映像を使っているんです。素晴らしい風景だと思って撮影した映像をMVに使いました。「にんげん」という曲のMVはとにかく楽曲に込めたメッセージをわかりやすく伝えたくて字幕を付けました。MVに出てくる数多くの菜の花を人間だと想像しながら観てもらえればと思います。この曲は、まきのさんが描いてくれたジャケット絵もすごく素敵です。

──「にんげん」のテーマにも通じるところがあると思うんですが、西中島さんは楽曲の中でたびたびヘビーな現実問題を取り上げています。西中島さんが楽曲を通じて表現したいこと、音楽を通じて変えたいことはどんなことでしょうか?

なんかを変えたいとか、実はそこまで深く考えていないんですよ(笑)。ただ根本的に性格は明るいほうじゃないし、常に庶民感覚を大事にしながら生活をしているので、自然と作品に自分の考えていることが出ちゃうんだと思います。政治的な意図とかはまったくないんですが、社会的弱者の目線から世の中を見ている部分は確かにあるかもしれません。1人暮らしの高齢者さんとか、厳しい環境の中で生きる子供たちだったり、そんな人たちを笑顔にできる音楽家になれたら幸せですね。

サブスク配信はモチベーションにつながる

──前回のインタビューで西中島さんは、連続リリースを始めたきっかけとなったサブスク配信について「とてもポジティブに受け止めています」と語っていました(参照:西中島きなこインタビュー)。実際に新曲を配信し続ける中で、西中島さんの音楽が広がっている手応えはありますか?

SpotifyやApple Musicの公式プレイリストに楽曲を入れてもらう機会が何回かあったので、リスナーの数は少しずつ増えていると思います。自分の作品が広がっていくうれしさだけではなくて、創作へのモチベーションが維持できていることが自分の中では重要ですね。CDにして流通に乗せるのは大変で、当時はなかなかモチベーションにつながらなかったんですが、今はコンスタントに創作とリリースを繰り返すことができるので、非常にいい状態で制作に取り組めていると思います。僕にとって創作は生きがいであり、日常をフレッシュに過ごすためのエネルギー源なので、毎週のように配信できる今の環境はありがたいですね。

──最後に、西中島さんの今後の展望や挑戦してみたいことを教えてください。

最近はライブ活動が控えめなので、その分MVを積極的に公開していきたいです。どこかのタイミングでライブもやりたくて、子供食堂とか、ふれあい喫茶みたいな場所でやってみたいですね。もしお手伝いしてくれる人がいたら一緒に取り組みたいので、ホームページからのご連絡をお待ちしています。

プレゼント情報

963と彼女のサーブ&レシーブの直筆サイン入り写真

西中島が楽曲を制作したチャリティー作品「963と彼女のサーブ&レシーブ」のディスクユニオン週間チャート1位獲得を記念して、963と彼女のサーブ&レシーブの直筆サイン入り写真のプレゼント企画を実施中。

参加方法
  • BINKANレーベルのツイッター(@otoniman10)をフォロー
  • 対象のツイートをいいね&リツイート(詳細はコチラ

※応募期間は9月30日まで。
当選者にのみ、後日ダイレクトメールを送付

※記事初出時、アルバムの収録曲に誤りがありました。お詫びして訂正します。

西中島きなこ
毎週サブスクリプションサービスで楽曲リリース中
西中島きなこ「西中島きなこベスト2」
2019年9月11日発売 / BINKAN
西中島きなこ「西中島きなこベスト2」

[配信]

Apple Music

Spotify

収録曲
  1. Sunbathe(Remastered)
  2. コーヒーブレイク
  3. あなたのひとみ(Remastered)
  4. 春風の遊覧船(Remastered)
  5. ツナワタリ(Remastered)
  6. 躁転(Remastered)
  7. バスに揺られて(Album Version)
西中島きなこ(ニシナカジマキナコ)
ソロプロジェクト・音に敏感として2014年から宅録を中心とした創作活動を開始。2016年からは西中島きなこ名義で活動を行う。2017年3月、タワーレコード限定シングル「調和と恵み / MELLOW / 春風の遊覧船」をリリース。吉田靖直(トリプルファイヤー)をゲストボーカルに迎え、5月にミニアルバム「ナイスなヤング」、7月にdiskunion限定アルバム「ナイスなユニオン」を発売した。さらに12月には吉田とのタッグによる1stフルアルバム「西中島きなこ+吉田靖直」と配信限定アルバム「コミックパッション」がリリースされた。2018年には敬愛する曽我部恵一(サニーデイ・サービス)らを招いた自主企画ライブを1月に開催したのち、愛知県岡崎市の非公式キャラクターオカザえもんとのチャリティプロジェクト・オカザえもんフレンズを始動させたり、トリプルファイヤー吉田とのコラボ作品を装いも新たにリリースしたりと精力的に活動を展開している。2019年4月に初のベストアルバム「西中島きなこベスト」を、8月にはデモ音源集「若き日の抜け殻」と、バンド時代の音源を集めたアルバム「青春の勢いで産んだ音」を配信リリース。9月には2作目のベストアルバム「西中島きなこベスト2」を発表した。昨年8月にSpotifyやApple Musicほかで毎週楽曲を配信する企画をスタートさせ、連続リリースは1年以上続いている