ナタリー PowerPush - 河野マリナ

自称「ややこしい子」“河野監督”の考える強力打線

「たからもの」はホームランバッター

──「First Touch」って曲順も面白いですよね。「その声が覚えてる」から「たからもの」までシングル曲を連発して、5曲目以降は“河野さんタイム”というか、アルバムのために書き下ろされた新曲を中心に構成している。

これは河野マリナチームの全員で決めました。

──全員には河野さんも含まれる?

はい。けっこう悩んだんですけど、曲順を考えるとき、ソフトボールをやっていたこともあって打順を組むみたいな気持ちになったんです。1曲1曲、自我と感情のある選手だと捉えて「どの子を1番バッターにしようかな」「4番はこの子かな?」っていうふうに考えてみるっていう感じで。で、チームの皆さんのアドバイスもあって「First Touch」は初めてのアルバムだし「今の河野マリナ」をバンッて先にお届けするアグレッシブな打線を組んだほうがいいかなって思って、一番新しいシングルの「その声を覚えてる」からスタートしてみました。

──確かにイチローがブレイクした頃から1番バッターのイメージって変わりましたもんね。単に足が速くて出塁率がいいだけじゃなくて、中距離以上の打撃も見込めるタイプが望まれていて。巨人の長野(久義)なんかもそうでしょうけど。

あっ、まさにそういうイメージです。「その声を覚えてる」はちゃんとヒットを打ってくれる子なんです(笑)。

──その河野マリナ采配なんですけど、4番バッターが面白いですよね。「消えるdaydream」みたいなエモくてパンチの効いたバッターではなく、なぜバラードの「たからもの」を?

河野マリナにとってのホームランは「たからもの」なんです(笑)。アニソンの4番っていうと、今おっしゃったみたいに「アゲアゲでロックでキラーチューンで」っていう曲をイメージする人も多いと思うんですけど、河野マリナのやってきたこととか歌への思いとか、表現の軸になっていることっていうのは、じっくり心を込めてひと言ひと言歌って、その声を届けていくことなんだと思っていて。もちろんどの曲もそう歌ってるんですけど、ゆっくりじっくり一直線で思いを届けていることを一番わかってもらえる曲はやっぱり「たからもの」なんだろうな、この曲が河野マリナの今のスタイルなんだろうな、っていう思いがあるんです。

8番バッターは一番打つ子なんです!

──そして「たからもの」が走者を一掃したあとの打順もエキサイティングですよね。5番バッターが「MAGIC OF MUSIC」。「音楽の魔法をかける」って宣言しているわけですから。

ここからまた私の歌が始まるつもりで入れてみました。ホントにぜいたくな打順になったなと思ってます(笑)。

──そうですね(笑)。この5番以降の打順で河野マリナ采配ならではのこだわりのポイントってあります?

8番ですね。一番打つ子なんです、この子は(笑)。

──確かに「Cheer for me!!」はタイトル通り“自分を応援する”明るい自己紹介ソングだし、パンチは効いていると思います。でも例えばライトを守ってる8番バッターを守備も打撃も期待できないって意味で「ライパチ」って呼ぶように、そんなにいい打順ではないですよね、8番って。

私、中学時代ライパチくんだったんですよ(笑)。

──すみませんでした!(笑)

あはははは(笑)。すごくエモーションに左右されやすい不安定さや脆弱性はありつつも、そのエモーションがいい方向にハマったときは大きいのを打つのが8番だと思っていて。実際、私自身、中学時代に最終回まで誰も打てなかった強豪校のピッチャーからホームランを打って、それが決勝点になったことがありますし(笑)。だから「Cheer for me!!」は8番バッターなんです!

河野マリナ・セカンドシーズンの始まり

──あと野球は9人でやるものであるとき、10番バッター以降って河野さんの中ではどういう位置付けなんですか?

「河野マリナ・セカンドシーズン」のオープニング曲ですね。9番までが今の私の歌で、10番以降はこれからの私の歌なんだと思ってます。

──その打順の最後、12番バッターが「この優しい世界のなか」ということはけっこう幸せで明るい未来が見えている?

そうですね。

──じゃあ本当にすぐそこにある未来である2014年には何をしましょう?

やっぱりライブをしたいなって思っていて。ワンマンライブもそうですし、今年の8月に初めて企画、開催した流田兄さんたち(流田Project)との「Ani-plugged」(アニプラグラド)ももっともっと育てていきたいですね。

──それこそ「ANIMAX MUSIX」であれだけお客さんを沸かせているだけに、ちょっと意外でした。けっこう地に足の付いた活動ですよね「Ani-plugged」って。

だからこそっていう部分はあります。河野マリナ主催イベントですし、私と流田兄さんや、普段フロントに立っているアニソンアーティストたちがアニソンをカバー演奏し、歌うっていうのは、新しい試みだと思っているので。「ANIMAX MUSIX」みたいな大きな舞台でがんばるのはもちろんなんですけど、ちょっと特別というか。自分たちの手で「Ani-plugged」みたいなイベントを大きくするっていうことにも挑戦したいなって思ってます。

河野マリナ
ニューアルバム「First Touch」 / 2013年12月11日発売 / アニプレックス
初回限定盤 [CD+DVD] / 3500円 / SVWC-7970~1
通常盤 [CD] / 3150円 / SVWC-7972
収録曲
  1. その声を覚えてる
  2. 消えるdaydream
  3. Morning Arch
  4. たからもの
  5. MAGIC OF MUSIC
  6. バルーンシアター
  7. Do!! Do!! Let me Fun♪
  8. Cheer for me!!
  9. snowdrop -河野マリナ ver.-
  10. Imperfect blue
  11. アラタなるセカイ
  12. この優しい世界のなか
初回限定盤DVD収録内容

河野マリナスペシャルドキュメンタリーDVD「First Touch」

河野マリナ 東京・大阪ワンマンライブ
インパーフェクト・ブルー+S
2014年1月25日(土)大阪府 OSAKA RUIDO
OPEN 18:00 / START 18:30
2014年2月18日(火)東京都 TSUTAYA O-WEST
OPEN 18:30 / START 19:30
料金:4500円(ドリンク代別)
一般発売:2013年12月28日(土)
河野マリナ(かわのまりな)

1990年福岡県生まれのボーカリスト。大学在学時となる2010年に「第4回全日本アニソングランプリ」において、応募総数1189組の中からグランプリを獲得し、翌2011年に神前暁(MONACA)プロデュースによるアニメ「Aチャンネル」のオープニングテーマ「Morning Arch」でメジャーデビューする。2012年には2ndシングルにして「夏目友人帳 肆」のエンディングテーマ「たからもの」をリリースし、またOVA「Aチャンネル+smile」のオープニングテーマ「バルーンシアター」や、作家入間人間の創作生活5周年を記念したメディアミックス作品「アラタなるセカイ」の同名イメージソングを発表。また2010年来、4年連続でアニメ専門チャンネルANIMAX主催のイベント「ANIMAX MUSIX」で神奈川・横浜アリーナのステージを踏み、2012年からはニコニコ動画にてレギュラー番組「おねがい♡マリナちゃん」の放送をスタートさせた。2013年にはアニメ「<物語>シリーズセカンドシーズン」内のエピソード「囮物語」「鬼物語」のエンディング曲となる3rdシングル「その声を覚えてる」をリリースし、春奈るなとともに同シリーズ「恋物語」のエンディングテーマ「snowdrop」を担当。そして12月、これらの楽曲も収録した1stフルアルバム「First Touch」をリリースした。2014年年明けにはアルバムを携えてのワンマンライブ「インパーフェクト・ブルー+S」が開催される。