「まだまだこれから」という思いを込めた1枚目
──今回リリースされるデビュー作「Departure」の仕上がりに関しては、どんな思いを抱いていますか?
ここまで自分がやってきたことが1つの形になるという意味で、すごく感慨深いです。もちろん自信作ではあるんですけど、僕としては「まだまだこれから」という思いを込めた1枚目でもある。これから自分が成長していく中で、この「Departure」が1つの道しるべ、啓示のような存在になってくれたらいいなと思いますね。
──収録曲たちがシーンに与えるインパクトを考えると、大きい1歩になりそうですよね。
J-POPシーンの新人アーティストとしてはかなり異色というか。新しい風を吹かせることになるのは間違いないとは思ってるんですけど。CDのタイトル通り、この曲たちが聴き手に向けて旅立ってほしい、そしてたくさんの人たちに届いてほしいという思いは強いです。そして、ここから僕の音楽がどんな場所に着陸していくのかを楽しみにしてほしいですね。
──本作には、Ryosuke "Dr.R" SakaiさんやCarlos K.さん、starRoさんといった日本のクリエイターとコライトした曲も収録されています。
今回コライトさせていただいた方々は海外での経験もあるので、ロサンゼルスでやったフォーマットをそのまま持ってきてやらせてもらっても、戸惑うところはまったくなかったですね。それぞれの方々の個性、メロディセンスがあるので、作業がすごく楽しかったです。特にSakaiさんと一緒に作った「Flame of Love」は、海外の音楽的なトレンドを意識しつつ作っていった感じでした。
──多彩なクリエイターが参加することで、川口さんの音楽性の幅がしっかり提示されることにもなっていますよね。
そうですね。自分の可能性を示す意味で楽曲のバリエーションを出すことはしっかり考えていました。ラテンを含むダンスミュージック的な曲以外にも、ギターサウンドを中心にした曲を入れてみたりとか。中でも、バラードをしっかり歌えることが僕の1つの強みでもあると思ったので、そこは外せなかったところでもあって。
──4曲目の「falling down」ですね。ここで響かせている歌声は、「R.O.C.K.M.E. ft. Marty James」なんかとはまったく異なるアプローチで。ボーカリストとしてのポテンシャルをしっかり感じさせてくれています。
実はこの曲がアメリカに渡って初めて作った曲なんですよ。自分の声のよさ、自分の本来のアーティスト像をしっかり打ち出せていると思うので、自分としても思い入れが強いです。正直、「R.O.C.K.M.E. ft. Marty James」みたいな歌は超絶難しいんですよ(笑)。そこを今極めていこうとがんばっているところなんですけど。
──玉置浩二さんの曲が好きだったことを考えると、純粋な歌モノである「falling down」で見えている表情こそがご自身のルーツであるわけですもんね。
そうなんですよね。だから、今のところナチュラルに歌えるのは「falling down」のような曲だったりするんです。ただ、僕はそれだけで終わるのは嫌だから、新たなことにもどんどん挑戦していきたくて。自分の歌にはまだ限界を感じてはないので、さまざまなスキルをどんどん手にしていきたいなと思っています。
世界に向けた音楽を
──川口さんの音楽性は洋楽的な感触を持ちながらも完全なる洋楽ではない。かと言って純粋なJ-POPとも言い難い部分もある。非常に稀有な立ち位置にあるような気がします。
そうですね。僕としてはもう洋楽も邦楽も関係ないと思っているんですよね。そこにはすでにボーダーが存在しないというか。で、そういった考えの中で自分のやりたい音楽を作った結果、日本でも、世界でも飽和していない場所にたどり着くことができたという感覚なんです。それは狙ったというよりは、たまたまという感じではあるんですけど。
──ということは、活動も世界規模で行っていくことが自然な流れなんでしょうね。
はい。せっかく自分だけの音楽を見つけることができたので、たくさんの人に聴いてもらいたいじゃないですか。日本語だけで歌い、日本に向けた活動をしたとしても、最大で1億数千万人にしか聴いてもらえないわけで。だったらもっと広い視野を持って活動したほうがいいなと思うんです。そのために今、中国語なんかも勉強しているところです。
──今後はライブ活動も積極的に行っていくつもりなんでしょうか?
そうですね。最近はマニピュレーターさんにトラックを流してもらって歌うスタイルで、途中にギター弾き語りを織り交ぜることでバリエーションを出したりもしています。さまざまな方とのコライトで生まれた楽曲たちによって、ライブ自体のエンタテインメント性は格段に上がったと思うので、そこをもっともっと磨いていきたいとは思っていますね。
──そもそもロスに渡ることを決意したのも、ライブのエンタメ性を高める狙いがあったわけですもんね。
はい、思った通りになりました(笑)。ここからは大きな会場でもライブしてみたいですよね。そういったステージが似合うアーティストになれれば僕もうれしいし、みんなも幸せだと思うんで、そこを目指してがんばっていきたいと思います。