音楽ナタリー PowerPush - KANA-BOON

インタビューと座談会で大いに語る!「NARUTO」が「シルエット」にもたらしたもの

KANA-BOONが歌う、必然的な「NARUTO」楽曲

──「シルエット」はアニメ「NARUTO -ナルト- 疾風伝」のオープニングテーマという大きなタイアップ曲であると同時に、ある意味、これまでKANA-BOONが歌い続けてきたことの集大成的な曲にもなっていると思ったんですね。

谷口 そうですね。「NARUTO」の話が決まって、そこから書き始めた曲なんですけど、マンガに寄せて書いたとかそういうことではないですね。そもそも僕ら完全に「NARUTO」世代で、連載もアニメも全部通ってきたんで。

──それは4人とも?

一同 はい。

谷口 だから、自分の歌いたいことを曲にしていけば、必然的にそこに「NARUTO」の世界ともリンクする部分が生まれるんですよ。

──要するに、自分たちを形成してきたものの大きなひとつということですね。

谷口 そうです。だから自然に今のKANA-BOONを出していくだけで作品の世界とつながっていったんですよね。「シルエット」のテーマは“大人になっていくこと”なんですけど、「NARUTO」の登場人物たちが作中で大人になっていったのと同じスピードで、僕らも大人になっていったという実感があって。主人公にはバックグラウンドがあって、そこには支えてきてくれた人、友達や仲間、好きだった人がいる。それは僕らもまったく一緒というか、地元の大阪には支えてきてくれたそれぞれの友達や恋人がいて、初期の頃からライブに来てくれていたファンがいて、ライブハウスがあったわけですから。そういうバックグラウンドを“シルエット”という言葉で表した曲なんです。

古賀隼斗(G, Cho)

──“シルエット”はそのまま訳すと“影”ということになりますが、自分たちの背景全体のことを指しているんですね。

谷口 そうです。中にはもうぼんやりとしてしまった“影”もありますけど、その一方でまだ鮮明でクッキリとした“影”もあって。そういう存在をずっと大切にしていきたいっていう思いを曲にしていきました。

古賀 「NARUTO」の話が決まったとき、メンバーみんな原作が大好きだからそれぞれのビジョンがあったと思うんですけど、それをすり合わせていくまでもなく、スッと全員の思いが一致した感じがあって。ギターとしてはテレビで流れたときに一発でインパクトが残るようなイントロとサビのフレーズというのはすごく意識しましたね。

小泉 昔、自分たちがテレビで「NARUTO」のオープニングを観てワクワクしたあの気持ちを、今度は自分たちが与える立場になったわけで、それは責任重大だなって。自分なりに頭の中でオープニングの画を想像したりしながら、いろんな感情を込めたり、いろいろ考えたりして。それをちゃんと全部詰め込むことができたなって。

飯田 いつもは(谷口)鮪のほうから「ここをこうしてほしい」とかいろんな指示があったりするんですけど、今回は最初からピタッと意思統一ができていたんですよね。

──KANA-BOONにとって「シルエット」は初のタイアップソングになるわけですが、それがメンバー全員が思い入れのある作品っていうのは、すごく幸福なことですよね。

飯田 そこはホントに、メチャクチャうれしかった。

谷口 昔からタイアップをやるなら「NARUTO」がいいって思っていたんです。それはずっと心に決めてたことなんで、まさに夢が叶ったことになる。中学生の頃の自分たちに教えてあげたいですね。

古賀 ついでに「『NARUTO』の連載、終わるんやぞ」ってこともね(笑)。

飯田祐馬(B)

谷口 それはショック受けるだろうな(笑)。

──中学生の頃といえば、ちょうどアジカンの「遥か彼方」が「NARUTO」のオープニングテーマだった時代ですよね。

谷口 そう。中学生になったばかりの頃かな。「NARUTO」の曲をやりたいという思いには、もちろんそれもありました。

──そこがアジカンとの出会いだったんですか?

谷口 ちゃんとアルバムで聴くようになったのはそのあとですけど、潜在的にはそこで植え付けられたことになりますね。

肩の力が抜けているから生まれる鮪サウンド

──例えばサビで同じフレーズのリフレインが多いとか、これまで谷口さんのソングライティングの特徴っていろいろ指摘されてきたと思うんですけど、自分が一番印象的なのはその独特の節回しなんですね。「シルエット」の場合だと繰り返し出てくる「何も何も」のところの節回しが特に象徴的。ああいうのは、自分の中でこねくり回しているわけではなく、自然にスッと出てくるものなんですか?

谷口 スッと出てくるものですね。いつもスタジオでのセッションで曲の土台を作っていくんですけど、そのときにもうなんとなくの節はできていて。その場でサクッと仕上げることが多いです。

──「サクッと」仕上げられるということは、そこには化学反応というか、マジックというか、そういうものがあると思うんですけど。

谷口 何かマジックのようなものがあるとしたら、きっとそれは、曲を作るときに特に気負いがないっていうことかもしれないですね。

──肩の力が抜けきっている?

谷口 そう。わりとラフな空気の中で、普段メンバーと会話しているのと同じ雰囲気の中で曲作りをしているんで。曲作りが“宿題”みたいな感じになるのが嫌なんですよ。

──え? 文字通り“宿題”じゃないというか、曲作りを家に持ち帰ることはないんですか?

谷口 ないですね。スタジオで、メンバーがいるところで作ります。

ニューシングル「シルエット」 / 2014年11月26日発売 / Ki/oon Music
完全生産限定盤 [CD+DVD] / 3780円 / KSCL-2517~9
通常盤 [CD] / 1258円 / KSCL-2520
CD収録曲
  1. シルエット
  2. ワカラズヤ
  3. バカ
初回限定盤DVD(「KANA-BOON MOVIE 0.5 / KANA-BOONのご当地グルメワンマンツアー 2014 “究極の9曲”盤」)収録内容
  1. 1.2. step to you
  2. MUSiC
  3. ミミック
  4. 見たくないもの
  5. 東京
  6. 羽虫と自販機
  7. ウォーリーヒーロー
  8. 結晶星
  9. フルドライブ
ライブDVD「KANA-BOON MOVIE 01 / KANA-BOONのご当地グルメワンマンツアー 2014」 / 2014年11月26日発売 / Ki/oon Music
[DVD] / 4104円 / KSBL-6168
KANA-BOON(カナブーン)
KANA-BOON

谷口鮪(Vo, G)、古賀隼斗(G)、飯田祐馬(B)、小泉貴裕(Dr)からなる4人組バンド。高校の同級生だった谷口、古賀、小泉を中心に結成され、のちに飯田が合流して現在の編成となり、地元大阪を中心に活動を展開する。2012年に参加した「キューン20イヤーズオーディション」で4000組の中から見事優勝を射止め、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのライブのオープニングアクトを務める。2013年4月には活動の拠点を東京に移し、バンド初の全国流通盤となる1stミニアルバム「僕がCDを出したら」をリリースし、夏には「ROCK IN JAPAN FES」「SUMMER SONIC」「SWEET LOVE SHOWER」など大型フェスに出演したことを機に知名度を全国区に拡大させる。2013年9月シングル「盛者必衰の理、お断り」でメジャーデビューを果たし、10月に1stフルアルバム「DOPPEL」を発表。2014年2月に2ndシングル「結晶星」、5月に3rdシングル「フルドライブ」、8月に4thシングル「生きてゆく」をリリース。8月30日に大阪・泉大津フェニックスで行ったキャリア最大規模のワンマンライブでは、約16320人を動員し大成功を収めた。11月にはテレビ東京系アニメ「NARUTO-ナルト-疾風伝」のオープニングテーマ「シルエット」をシングルリリース。また初の映像作品となるLIVE DVD「KANA-BOON MOVIE 01 / KANA-BOONのご当地グルメワンマンツアー 2014」を同時に発表した。