神宿インタビュー|新曲「Trouble」MV撮影現場に潜入、ぴあアリーナMM公演に向けて5人が語る本音 (3/3)

塩見きらインタビュー

壁を乗り越えて高まった結束力

──アリーナ公演について、ほかのメンバーからは楽しみだという声と不安の声、両方ありましたが、塩見さんはどうですか?

4月のライブで開催を発表したときが一番不安でした。今は楽しみのほうが強くなっていますね。

──神宿に加入して2年以上が経過して、大規模なライブもいくつか経験しましたが、アリーナのステージに立つことは緊張する?

緊張しますよ。幕張も大きかったし、去年のパシフィコ(参照:神宿ホールツアー最終戦、会場とカメラの向こうの舁夫にリベンジ誓う)もけっこう緊張で足がめっちゃ震えて「これじゃダメだな」と思ったんですよ。この1年はそれをすごく考えましたね。普段のライブハウスでも緊張するから、アリーナに立つにはどうすべきかとメンバー間で話し合って、いつも通りの状態でステージに立つための研究をしていました。

塩見きら

塩見きら

──神宿はスタッフも含めてチームワークがよくなっているなと感じるのですが、ご本人たちもそう思いますか?

はい。前とは全然違いますね。前から別に仲が悪いわけじゃなかったけど、私が加入した頃はまだメンバーがそれぞれというか、みんなクセの強い人たちなので(笑)、一致団結して「がんばろうね!」みたいなムードではなくて。それぞれ伸び伸びやってる5人が集まってる感じだったけど、アリーナ規模のライブをやるとなると、そうもいかないというか。いろんなことを乗り越えて、今はすごく結束力が高まっていると思います。

私はここに逃げてきた

──塩見さんは唯一オリジナルメンバーではなく、加入から間もないタイミングで作詞に参加したり、ミックス作業にも携わったりと、変化する神宿の潮目になった存在だと思うんですね。そういうことをやる役割として入ったわけではないんですよね?

全然ないですよ(笑)。昔の神宿がファンとして好きで、私もその一員になりたくてオーディションを受けたくらいだから、それを崩そうなんて気持ちは当たり前ですけどなかったし……気付いたらこうなってたみたいな(笑)。

──神宿に入って後悔したことはない?

ないですね。ただ、最近気付いたんですが……私は「自分を変えたくて神宿に入った」とこれまで何度も言ってきたけど、変わりたいというよりは、逃げたかったんだなって。就活とか勉強とか友達関係とか、いろんなことに悩みながら、私はここに逃げてきたから、すごく心が救われているんですよね。この居場所がなくなったら、またゼロから、どこかに逃げなくちゃいけない(笑)。

──(笑)。結果的に塩見さん加入のタイミングで神宿は大きな変化を始めましたが、ちょうど神宿が変化を必要としていたタイミングにフィットしたのかもしれないですね。

そうですね。きっと変わらなくちゃいけなかったんだと思う。あまりの変わりように悲しみを感じる方もいらっしゃるかもしれないけど、「こうするしかなかった」という感覚はメンバーにもスタッフにもあるんだと思います。

──付き合って2年と少しですが、メンバーの変化は感じますか?

みんなめちゃくちゃ変わったから1人ずつ言える感じですけど……まず、ひなさんはめちゃめちゃメンタルが強くなった。精神的に自立した大人になってる。いい意味で甘え上手だけど、それでも1人で生きていけるたくましさを今は持っていると思います。みきさんはリーダーとしての自覚がすごく強くなったし、お母さんのようにメンバーを見守ってくれる(笑)。「2年前はそんなことなかった」って言ってるし、実際そうなんだと思う。めいさんは見た目も大きく変わりましたけど、精神的にも強くなったと思います。もともとは誰かに依存しないと寂しさや孤独が埋められない……少し私も似たところがあるんですよ。ちょっとしたことで傷ついたりするタイプだったけど、自分の意思を貫いていこうという変化が見える。みかさんはずっと努力家なのは変わらないけど、その努力がどんどん見た目やスキルの変化に結びついて、傍目には一番変化したように見えるかもしれない。でも常にやりたいことをやっているだけなんだと思う。

塩見きら

塩見きら

「やりたい」と言ったことを受け入れてもらえる環境

──ニューアルバム「THE LIFE OF GIRLS」は、昨年9月発売のアルバム「THE LIFE OF IDOL」がまるまる全部収められたうえで新曲が追加されるという、ちょっと珍しい構造ですね。

これはタイトルにも表されているんですけど、「THE LIFE OF IDOL」=アイドルの人生というものが含まれる、アイドルである私たちの女の子としての人生を1つのアルバムにしたい、という考え方で作ったのが「THE LIFE OF GIRLS」なんです。

──なるほど、と理解はできますけど、普通はありえない構成ですよね(笑)。音楽的にはより表現の幅が広くなりましたが、作詞のみならず作曲にもメンバーが携わるようになって、ここからさらにその幅は広くなっていきそうな気がします。

そうですね。今は私も宅録ができる環境を整えているので、自分でアレンジしたり、音のバランスを整えたり、ピッチも修正したり(笑)、そういうところまでやれるようになれたらなって。KISORA(塩見がボーカルとして参加している新プロジェクト)では真っ暗闇の中で視覚を削いで、聴覚と嗅覚のみで音楽を伝えるという実験的なことをやっているんですけど、じゃあほかにはどんな表現ができるだろう?とか、いろいろ考えてます。

──スキルさえ身につければやりたい放題ですね(笑)。そしてそれを許しそうなスタッフに囲まれていることも恵まれた環境だなと。

そうなんですよ。基本的に私たちが「やりたい」と言ったことを受け入れてもらえる環境だから、それはすごくありがたいです。

一ノ瀬みかインタビュー

変わらぬ「国民的アイドルになりたい」という思い

──神宿が今アリーナ公演をやることについて、一ノ瀬さんはどういう思いを持っていますか?

やっぱり「アリーナ公演」というのは国民的アイドルになるために必要不可欠な道だと思っていて。今まで神宿は「日本武道館でやりたいです!」みたいな会場的な目標は積極的に言ってこなかったけど、今回のぴあアリーナMMについては、神宿が国民的アイドルになるうえで大事なライブになると思っています。1年前から準備していたのに、いざ間近に迫ってくると「あっという間だなー!」って感じですね(笑)。でも日々の努力を怠ったことはないし、毎日毎日ベストを尽くして、「今日の私はどれだけ成長できたの?」と自分に何度も何度も質問しながらがんばってきた。プラス、神宿はコロナ禍でも積極的にライブを続けてきて、そんな中で「活動し続けてくれたからこそ出会えたんだよ」という言葉をたくさんもらえたので、おかげで今はアリーナに向けてワクワクした気持ちでいます。

一ノ瀬みか

一ノ瀬みか

──アイドルとして国民的な存在になりたい、という意識が強いんですね。

はい。神宿は結成当初から「国民的アイドルになりたい」という目標を持ち続けているんです。目標が高いところにあるからこそ、海外のアーティストさんを参考にしたり、ハリウッドの映画を観て「こういう表現ができるのか」と研究したり、国内外問わずいろんなエンタテインメントの勉強をしていて。でも、どんなに必死にがんばっても、ファンの方と心の距離が離れてしまっては元も子もないと思うんです。だからこそ、「今こそみんなで神宿を作ろうよ」という姿勢をこちらから取らないと一方的なもので終わっちゃう。自分たちが求めているものとみんなが求めているもの、そこは丁寧に考えていかないとなと思っています。

──外からの意見を取り入れることに今の神宿は積極的ですよね。

そうですね。ファンの方の声がちゃんとリアルに届く環境にあることが、私たちの自信につながっていくんだと思います。アイドルはファンの方ありきの職業なので。もちろんオープンに意見を求めたら批判も集まるし、難しいことだと思うんですよ。そんな中でも神宿は「愛されているなあ」と感じることが多くて、それが私たちの自信になるんです。

もっと戦えるようにならないと

──神宿はこの2年ほどで音楽性の幅がグッと広がりましたが、それはメンバーのスキルアップがあってこそだと思うんです。中でも一ノ瀬さんのボーカル力が上がったことは神宿にプラスをもたらしていて、それがないとニューアルバム「THE LIFE OF GIRLS」のラストナンバー「Lion」のような曲を歌うことはなかったろうなと。一ノ瀬さん自身はそれをどう思っていますか?

それ最近よく言われるんですけど、謙遜でもなんでもなく、自分が歌がうまいと思ったことは一度もないんですよ。目標としているアーティストがたくさんいて、比べて自分はまだまだだな、もっと戦えるようにならないとなと思っているので。

──なるほど。でも、例えば自分の7年前の姿を見たりすると「若いな、成長したな」と感じませんか?

あー、でもあの頃はあの頃ですごくがむしゃらだったし、自分なりの正義があった。そういう自分を誇るべきだと思うし、何も責める必要はないなと思います。ライブ映像を観るとさすがに恥ずかしいですけど(笑)。

一ノ瀬みか

一ノ瀬みか

0から1を作ることが本当に好き

──ミュージックビデオの撮影は長時間にわたることが多く、今日も朝まで撮影が続くんですよね。毎回大変かとは思いますが、映像で表現することについてはどういう思いを持っていますか?

MV撮影は毎回大変だけど楽しいですよ。「Trouble」は私が作曲した曲なので、MVもどういう雰囲気にしようかなと考えるのが楽しくて。モノ作りがすごく好きなので、私たぶん今すごくイキイキしていると思います(笑)。

──メンバーが作詞作曲を始めたことも大きな変化ですよね。

はい。21年間生きてきて、いろいろなことを経験させてもらった中で、0から1を作ることが本当に好きなんだとわかりました。しおみぃ(塩見)が「在ルモノシラズ」で作詞に携わったのをきっかけに(参照:神宿の塩見きら、新曲「在ルモノシラズ」で作詞に挑戦)、「神宿はクリエイティブにもメンバーがどんどん関わっていこう。そのほうが作品に対する理解も深まるし、それでより神宿のことを好きになってくれる人が増えるんじゃないか」と新しい目標を立てたんです。もともと絵を描くことも好きだったし、ダンスも作曲も、0から1にする行為はこんなに楽しいんだなって。それは私にとって大きな発見になりました。

──曲作りが楽しくなりすぎて、ゆくゆくは裏方の仕事が軸になる可能性もある?

あるかもしれないです。一応スタッフに「歌は歌ってね」と言われているので(笑)、望まれているうちは歌い続けると思います。

神宿

神宿

ライブ情報

神宿 7th Anniversary Live:WE ARE KAMIYADO

2021年9月26日(日)神奈川県 ぴあアリーナMM
OPEN 16:00 / START 17:00

プロフィール

神宿(カミヤド)

一ノ瀬みか、羽島めい、羽島みき、塩見きら、小山ひなの5人からなる東京・原宿発の5人組アイドルユニット。グループ名は「神宮前」と「原宿」を組み合わせて付けられた。2014年6月にデビューし、2015年12月に1stアルバム「原宿発!神宿です。」を発表した。2016年12月には東京・Zepp DiverCity TOKYOでワンマンライブ、2017年3月からは初の全国ツアーを開催。同年11月に原宿発!神宿です。」再録版と2ndアルバム「原宿着!神宿です。」を同時リリースした。2019年1月の東京・渋谷ストリームホール公演をもって関口なほがグループを“勇退”。その後、関口の担当カラーである緑を引き継ぐ新メンバーのオーディションが行われ、2019年4月の東京・チームスマイル・豊洲PIT公演にて塩見の加入が決定した。同年9月にはグループ結成以来最大規模となる千葉・幕張メッセ国際展示場7・8ホールでのワンマンライブ「神宿5周年記念ワンマンライブ 神が宿る場所~君が君らしくあればいいのさ~」を成功のうちに収める。2020年1月には現メンバーでのリメイク音源に新曲を加えたアルバム「kamiyado complete best 2018-2019」を、9月にはニューアルバム「THE LIFE OF IDOL」を発表した。2021年8月に最新オリジナルアルバム「THE LIFE OF GIRLS」をリリース。9月に神奈川・ぴあアリーナMMでグループ結成7周年記念ライブ「神宿 7th Anniversary Live:WE ARE KAMIYADO」を行う。