神宿|晴れ着で書き初め!2021年の展望を語る

神宿インタビュー|2021年、これが神宿のスタイル

神宿

実りの多い1年

──前回の特集ではツアーの札幌公演に密着しましたが(参照:神宿「神宿全国ツアー2019-2020 "GRATEFUL TO YOU"」札幌公演密着レポ)、その直後からちょうど全国的にライブの中止延期が相次いで……あの日(2月1日)の段階では観客が全員マスクを付けている状態がまだ不思議な光景に見えていましたよね。

羽島みき あー、そうでしたね……。

──神宿も春に予定していたライブやイベントが続々と中止になってしまいました。これまで通りの活動ができない中でも、神宿はコロナ禍なりのやり方を積極的に探っていたように思います。改めて振り返るに、2020年は皆さんにとってどんな1年でしたか?

一ノ瀬みか

羽島めい 外に出られなくなったり、経済が厳しい状況になったり。暗いニュースが多かったけど、今まで当たり前だと思っていた生活のありがたみを知ることができた、気付きの1年でした。

一ノ瀬みか 私たち自身が人間としてレベルアップしていきたいと考える中で、自分と向き合う時間を作ることも大事だったと思うんですよ。そういう意味では実りの多い1年でもありました。

みき 4、5月頃はずっとニュースを観ながらどう動くべきか考えていて……私たちよりも運営さんが大変だったと思います。私たちが「ライブがしたい、舁夫(神宿ファンの呼称)の皆さんに会いたい」と思っていても、すぐに判断できることではなかったので。

──神宿は新型コロナ感染拡大予防の対策を講じながら比較的早く有観客ライブを再開させましたよね。

塩見きら はい。「私たちに今できることはなんだろう?」というのを、業界の中でも最前線に立ってやってきたつもりだけど、もちろん批判の声もあったし、逆風も感じていました。大変でしたね、やっぱり。

──この状況になる前からYouTubeでの活動を活性化させていたことは神宿にとって大きなアドバンテージでしたよね。

羽島みき

みき そうですね。この時期にYouTubeを始めた人も多かったけど、先に始めてノウハウを持っていた強みはあったと思います。「コロナのせいで何もできないね」で終わるんじゃなくて、「できないならばどうするか」と何かしらのアクションがしたかった。それによって新規の舁夫さんも増えて、最近は「初めて神宿のライブに来ました」と言ってくださる方も多いんです。

──YouTubeではカバー動画も公開されていましたが、春にアップされたカバー動画がきっかけで、一ノ瀬さんが「関ジャム 完全燃SHOW」(テレビ朝日系)の「現役アイドル界で歌が上手いボーカリストランキング10人」に選出されるというトピックもありました。皆さんはどう思いましたか?

めい めちゃめちゃうれしかったですよ!

みか 放送のあと、舁夫さんたちからもTwitterで「めっちゃうれしい!」ってリプをいっぱいもらいました。レコーディングはすごく楽しんでやっていたし、動画を公開したときは、会えない時間にもみんなが聴いてくれていることがただうれしくて。それが時を経てこういう形で注目されたことは驚きつつもうれしかったです。

神宿が考えるアイドル像

──ソロ曲やユニット曲を発表したりと、これまでとは違う一面も多く見られた1年でしたよね。それはたまたまこのタイミングになったのかもしれませんが。

みき ソロやユニットをやることは以前から考えていましたね。

──2019年11月に配信リリースされた「ボクハプラチナ」、そして昨年4月リリースの「在ルモノシラズ」と、これまでの神宿になかったテイストの楽曲が続いていたことからも、コロナ禍のタイミングとは無関係に神宿は今変化の時期にあったのだろうなと。9月に配信リリースされた最新アルバム「THE LIFE OF IDOL」は音楽的でもビジュアルの面でも大きな変化を感じさせる内容でした。いわゆる典型的なアイドルの王道からは逸れた作品だと思いますけど、一方で神宿は“脱アイドル”をしようとしているわけでもなさそうで。

羽島めい

めい タイトルが「THE LIFE OF IDOL」ですからね(笑)。むしろ背負っちゃってる。

みき よいしょ。

めい いろんなアイドルさんがいる中で「アイドルの正解」ってないと思うんですよ。「アイドルはこうでなくちゃいけない」という考え方は違うなと私たちは思っていて。自分たちで作詞をしたりして、神宿はアーティストになりたいのか?と思う人もいるかもしれないけど、これはむしろ私たちなりのアイドルとしての訴えというか。こういう人間でありたい、こういうアイドルでいたいという思いを表現したのが「THE LIFE OF IDOL」というアルバムなんです。

──どこかで皆さんの中で気持ちが切り替わった瞬間があったんですか?

みき 私はないかなあ。ありましたか?

小山ひな いや、でも歳を重ねていくにつれて「かわいいねえ、幼いねえ」だけじゃない神宿になってきたから、徐々に変わってきたんだと思います。

──皆さんは「アイドル」をどういうものだと考えていますか?

きら アイドルはファンの皆さんに元気や勇気を与える存在でなければいけない、とコロナ禍の今改めて思ったんですけど……同時にアイドルって苦しんでもがいている姿も見せる成長ストーリーと言うのかな、応援してくださる方と一緒になって成長していけるのもアイドルのよさだと思うんです。世界中が落ち込んでいる中、音楽を届けて元気になってもらえるというのはすごく幸せなことで。音楽面をがんばっているのは、音が勝っていくんじゃないかと思っているんです。

──音が勝つ?

きら 映像は観ることで時間を奪われてしまうけど、音楽は仕事していても料理していても運転していても楽しめるじゃないですか。日常に溶け込むことができるものだからこそ、自分たち自身でしっかりと作り上げていきたいなと思うんです。最近は作詞で携わることはもちろん、トラックダウンやマスタリングにも参加するようになって。音の質感やちょっとしたリズムの違いなどをプロの方と一緒に作り上げていくことで、「ここがわかってないと音楽は届けられないよね」って実感しています。