ナタリー PowerPush - kaho

“15歳の大型新人”の魅力に迫るインタビュー&ANN収録レポート

弱冠15歳にしてシンガーとしてもソングライターとしてもすでに自分の世界を作り上げている彼女の類稀な才能に、ビックリしている人がきっと大勢いるに違いない。そう、去る11月27日に両A面シングル「Every Hero / Strong Alone」でデビューを果たした話題のシンガーソングライター、kahoのことである。普段はオーストラリアで生活して学業に専念し、学期末の休暇のたびに日本で音楽活動を行なっている彼女は、活動時間が限られていることもあって、まだ多くの人にとってミステリアスな存在だと思う。シングル発売を経て帰国したそんなkahoに、デビューまでの歩みやアーティストとしての信条、そして今の心境を聞いてみた。

また特集の後半では、昨年12月26日にオンエアされたニッポン放送「kahoのオールナイトニッポンGOLD」の収録の様子をレポート。スタジオライブやラジオトークなど初めての経験が続く中、kahoが見せた素の表情をこのテキストから感じてほしい。

取材・文 / 新谷洋子 撮影 / 金原宜保(アーティスト写真)、藤原悠里(P.4)

kahoインタビュー

日本のいいところ、オーストラリアのいいところ

──デビューが決まってから、日本とオーストラリアの間を往復する生活を送っていますが、そういう生活には慣れましたか?

kaho

はい。日本では音楽の仕事にフォーカスして、オーストラリアにいるときは勉強だけに集中しているんです。オーストラリアでは音楽作りにそんなに時間を割けないので、ちょっとさみしいなって感じることがありますが、日本に来ると毎日忙しくて勉強だけの日々が恋しくなったりもしますよ。ごくたまに、ですけど(笑)。オーストラリアの学校は本当に宿題が多いんです。勉強は好きだし、世界で起きていることをあれこれ調べたりとか、そういうことも興味があるんですが、宿題が苦手で……。

──じゃあオーストラリアで育ってよかったなと思うことは?

日本以外の、ほかの国の文化に触れられることに感謝していますし、やっぱり日本にいるときよりちょっとゆったりした時間が過ごせるんですよね。ときにはゆったりし過ぎて、「こんなにのんびりしていていいのかな」と疑問を感じたりもするんですが、自然に囲まれて生活するのは気持ちいいから、一番感謝しているのは環境かな。

──「Every Hero / Strong Alone」の発売日は日本にいなかったんですよね。

そうなんです。ちょうど11月28日に学校が終わったので間に合わなくて。

──オーストラリアにいてもドキドキしていました?

していましたね。心配というよりも、「待てない!」っていう、ワクワクする気持ちでした(笑)。

──実際にCDを手にして、どんな気分でしたか?

「うわーっ!」って思いました(笑)。自分の作品が、こんなにキレイなパッケージになって、本当にうれしかったです。日本に着いてからCDショップに行って、シングルと一緒に写真も撮っちゃいました(笑)。

──オーストラリアの友達には音楽活動をしていることを秘密にしていたそうですけど、そろそろバレたんじゃないですか?

はい、学校でウワサが少しずつ広まって、今では知っている人も多いです。学校には日本人の生徒もけっこういるから、日本人の子たちがオーストラリア人の友達に教えたらしくて。「曲を聴いたよ」とか「なんで教えてくれなかったの?」と言われて、「え、知ってるの?」みたいな(笑)。みんないきなり授業中とかに、私の曲をケータイで聴いたりするんですよ。横に座っている私はどうしていたらいいのかわからなくて、困っちゃいました(笑)。

「Strong Alone」は世界が本当に必要としているメッセージ

──デビュー前は、“大型新人登場”などと大きな期待が寄せられていましたよね。プレッシャーは感じました?

感じました。シングルとしてリリースするのはこの作品で大丈夫なのか、本当に周りの期待に応えられるのかっていう思いもありましたね。でも光栄なことに、「Every Hero」をドラマ主題歌(フジテレビ系ドラマ「ミス・パイロット」)に使っていただいて、「ドラマにちゃんと合っているよ」っていう声も聞けたので、少し安心しました(笑)。

──「Every Hero」はドラマを踏まえて書いた曲なんですか?

そうです。ドラマのお話をいただいてから書いた曲です。だから、もともと「Strong Alone」がシングルの出発点で、「Every Hero」はあとでプラスしたような感じでした。

──「Strong Alone」はどういう曲なんですか?

そもそも「Strong Alone」は、デビューシングルのつもりで書いた曲ではないんです。いろいろ書いた曲の1つで、プロデューサーと相談して決めました。シングルにぴったりの曲だと言われて、私も同感だったので。というのも、“Strong Alone(独りで強く生きる)”って、ソーシャルメディアがこんなに定着している今、世界が本当に必要としているメッセージだと思うんですよ。私はソーシャルメディアを一切やっていないんです。正直言って、ソーシャルメディアで世界がつながるとは思えないし、例えば電車に乗っていると周りには大勢の人がいるけど、自分が独りであることには変わりなくて、実際には誰ともつながっていない。それと同じことですよね。自分が孤独なんだと考えると悲しくなって、ほかの人とつながりたくなるんでしょうけど、それってウソだし、ソーシャルメディアで世界が1つになるなんて不可能だから。でも私はそれを、音楽を通じて実現させたいなって思っているんです。それが私のゴール。音楽は、違う場所で暮らしている人たちに、同じ気持ちを抱かせることができる。だからこそ私は音楽が好きなんです。

ニューシングル「Every Hero / Strong Alone」 / 2013年11月27日発売 / 1260円 / Sony Music Records / SRCL-8409
ニューシングル「Every Hero / Strong Alone」
収録曲
  1. Every Hero
  2. Strong Alone
  3. Victory
  4. Victory -Kid Massive Remix-
  5. Every Hero -instrumental-
  6. Strong Alone -instrumental-
kaho(かほ)

1998年11月1日生まれ、東京都出身、オーストラリア在住の女性シンガーソングライター。両親の影響で幼少の頃からスティーヴィー・ワンダー、マイケル・マクドナルドなどさまざまな音楽に触れて育った。母の影響で6歳からピアノを始め、12歳の頃より自宅に録音設備を揃えて本格的な作詞作曲活動を開始。宇多田ヒカルを手がけた三宅彰プロデューサーにデモ音源が渡り、その才能にほれ込んだ三宅プロデューサーのプレゼンにより即メジャー契約となった。2013年10月から放送のフジテレビ系ドラマ「ミス・パイロット」の主題歌に「Every Hero」を提供。同年11月27日、シングル「Every Hero / Strong Alone」でCDデビューを果たした。