ナタリー PowerPush - kaho

“15歳の大型新人”の魅力に迫るインタビュー&ANN収録レポート

「kahoのオールナイトニッポンGOLD」収録レポート

初のラジオ体験、まずはスタジオライブから

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シングル「Every Hero / Strong Alone」のリリースから2週間を経た昨年12月13日、東京・有楽町にあるニッポン放送のimagineスタジオに、kahoの姿があった。人気ラジオ番組「オールナイトニッポンGOLD」のパーソナリティを一夜だけ彼女が務めた、「kahoのオールナイトニッポンGOLD」(昨年12月26日に放送済み)を収録するためである。ラジオデビューにして2時間枠の番組を任されるという大抜擢になるわけだが、トークに加えてたっぷり30分のアコースティックスタジオライブも盛り込んで、一般リスナーが彼女の生の歌声を聴く初めての機会を提供。ミュージシャンとしてのkaho、1人のティーンエイジャーとしてのkaho、2つの側面を提示しようというものだ。

kahoはまずスタジオライブから収録をスタート。今日のセットは、kahoによるソロのピアノ弾き語りでカバー曲を4曲、3人のミュージシャンを従えたバンド形式(ピアノ、バイオリン、ギター)でオリジナル曲を3曲、再度ソロでカバー曲を3曲プレイするという構成をとる。ミュージシャンたちのセットアップがひと通り終わると、そこに彼女が加わって、ピリッと気持ちいいテンションがみなぎる中でサウンドチェックが進み、声の調子を確認した。

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続いて本番、番組スタッフからの「いつでも好きなときに始めていいですよ」との声に「はい」と答えた彼女は、ひと呼吸置くとさっそく1曲目のテイラー・スウィフト「Back to December」のイントロを弾き始めた。その優しいメロディでウォームアップすると、2曲目のクリスティーナ・アギレラの大ヒット曲「Beautiful」は、曲のドラマ性をじっくり引き出すようにして歌い、これまたドラマチックな3曲目、説明無用のQueen「Bohemian Rhapsody」には独自のアレンジを施してシンプルなバラードにまとめ上げる。歌詞はすべて頭に入っているらしく譜面を見ることもなく、曲を淡々と、完璧に歌いこなしてゆくさまを、スタッフ一同は固唾を呑んで見守るのみ。スタジオ名にちなんで選んだジョン・レノンの「Imagine」も、アカペラのパートを作ったりとアレンジで変化を与える。

1曲以外はワンテイクOKのほぼ満点パフォーマンス

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次にバンド編成のセットに移り、3つのオリジナル曲──2つのシングル曲「Strong Alone」と「Every Hero」、公の場で歌うのは初めての未発表曲「ときめき」──をやはりスムーズに披露。簡素なアレンジはメロディの強さを際立たせ、kahoが書く楽曲の完成度を改めて見せつける。そしてここでは歌に専念する彼女は、身軽になった体を自然に揺らし、心なしかより表情豊かに声を出して、1曲目の「Strong Alone」を歌い終えるとニッコリ微笑んだ。

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残るは、ソロ弾き語りに戻ってのカバー3曲だ。今しがた歌ったオリジナル曲の空気感を引き継ぐかのごとく、リアーナ「Cry」とアデル「Set Fire to the Rain」という彼女が好むマイナ・コードの曲を選び、ラストは季節感を踏まえた古典的なクリスマスソング「O Holy Night」(邦題「さやかに星はきらめき」)で締めくくる。誰もが知る有名な曲だけではなく、パーソナルな嗜好を反映させた選曲で独自色を印象付けたkahoは、リズミカルなボーカルが少々トリッキーな「Cry」以外はすべてワンテイクでキメて、ほぼ満点のパフォーマンスを終えた。

kaho「kahoのオールナイトニッポンGOLD」スタジオライブ セットリスト(※カッコ内は原曲アーティスト名)

<kahoピアノ弾き語りパート>
  1. Back to December(テイラー・スウィフト)
  2. Beautiful(クリスティーナ・アギレラ)
  3. Bohemian Rhapsody(Queen)
  4. Imagine(ジョン・レノン)
<アコースティックバンドセット>
  1. Strong Alone
  2. ときめき
  3. Every Hero
<kahoピアノ弾き語りパート>
  1. Cry(リアーナ)
  2. Set Fire to the Rain(アデル)
  3. O Holy Night(クリスマス合唱曲)

※曲順は当日演奏された順番であり、実際にオンエアされた曲順とは異なる場合あり。

ライブから一転、トークでは大苦戦も

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さて、ここまでは年齢不相応なほどに完成された“ミュージシャンのkaho”がスタジオをその存在感で満たしたわけだが、休憩を挿んでニッポン放送の吉田尚記アナウンサーを交えたトークの収録が始まると、我々はまったく別の彼女を目にすることに──。そう、しゃべるとなるとさすがにまだ不慣れなため、途端に緊張度が高まり、ナーバスさが伝わってくる。それでも……というか、それだからこそ、どんな質問にも実に率直で誠実な“作らない”答えを返す様子に、好感を抱かずにはいられない。そして吉田アナウンサーの手腕も手伝って、少しずつリラックスして饒舌になっていったkahoは、時折朗らかな笑い声も立てながら、趣向を凝らしたコーナーの数々を通じてさまざまな“事実”を披歴。9歳のときに人生初めて書いた曲は雪をテーマにしたインスト曲だったこと、俳優のジム・キャリーみたいな「話が面白い」男性がタイプであること……。途中で紹介した「私が好きな曲」にしても、AORの名曲たるThe Doobie Brothersの「What a Fool Believes」と、G.W.ブッシュ元大統領に宛てたP!NKの痛烈なプロテストソング「Dear Mr. President」を選んで、驚異的な音楽嗜好の広さを伝えていたものだ。

こうしてたっぷり6時間をかけて収録された「kahoのオールナイトニッポンGOLD」は、歌っているときの彼女と話しているときの彼女の、ある意味で鮮烈なギャップを浮き彫りにした。「ホントに15歳!?」と驚き、「やっぱり15歳なんだね」と納得する──。リスナーにとっても、そんな興味深い体験になったはずだ。

ニューシングル「Every Hero / Strong Alone」 / 2013年11月27日発売 / 1260円 / Sony Music Records / SRCL-8409
ニューシングル「Every Hero / Strong Alone」
収録曲
  1. Every Hero
  2. Strong Alone
  3. Victory
  4. Victory -Kid Massive Remix-
  5. Every Hero -instrumental-
  6. Strong Alone -instrumental-
kaho(かほ)

1998年11月1日生まれ、東京都出身、オーストラリア在住の女性シンガーソングライター。両親の影響で幼少の頃からスティーヴィー・ワンダー、マイケル・マクドナルドなどさまざまな音楽に触れて育った。母の影響で6歳からピアノを始め、12歳の頃より自宅に録音設備を揃えて本格的な作詞作曲活動を開始。宇多田ヒカルを手がけた三宅彰プロデューサーにデモ音源が渡り、その才能にほれ込んだ三宅プロデューサーのプレゼンにより即メジャー契約となった。2013年10月から放送のフジテレビ系ドラマ「ミス・パイロット」の主題歌に「Every Hero」を提供。同年11月27日、シングル「Every Hero / Strong Alone」でCDデビューを果たした。