ピュアなライバル

──では逆に、ジャバがchelmicoを解説するとどうなりますか？

ROVIN　「やっぱ曲なんだな」って痛感するのはchelmicoですね。曲がとにかくいいから、どんな場所でも評価されるし、純粋に人を動かす理由だと思う。

MAMIKO　そうなんだ。

ROVIN　だって、ほかの部分は俺らが勝ってるもん。

RACHEL　おいおい！

NOLOV　俺らはなんとかしてお客さんに盛り上がってもらうためにライブを作ってるけど、chelmicoは曲の強さ一発でお客さんを引き込めてるなって思う。

ROVIN　それが悔しい。俺らみたいに視覚にも訴えてパフォーマンスするんじゃなくて、純粋に聴覚でリスナーのいろんな感情を生み出すっていう。それがchelmicoの強さかなって。

──この表現は悪く捉えないでほしいんですけど、chelmicoは自然体でその場の空気に従ってライブをしてる感じがするけど、ジャバはその場の空気を支配しようとしますね。“ロックの仕方”がまるっきり違うと思うし、戦い方は違いますよね。

NOLOV　だから学ぶところが多いんだと思うし、楽しめるんだと思いますね。

──では、お互いの活動にシンパシーを感じる部分は？

NOLOV　ほかのアーティストと友達になったり一緒に何かをすることに、僕らは高いハードルを感じるんですよね。他人行儀が抜けないって言うか。

RACHEL　あー、わかるかも。

NOLOV　でも、chelmicoやTHCみたいな近くにいるアーティストには、それを感じないんですよね。

ROVIN　ラッパーとかアーティストっていう関係性だけでつながってる感じじゃないよね。

MAMIKO　よく飲みに行く友達？

BAOBAB MC　たまたま飲み友達がラップやってたっていう（笑）。

RACHEL　活動を始めた時期も近いし、同じようなイベントにも出たり、リリースの時期も近かったりするから「一緒にやってくぞ！」みたいな気持ちはあるよね。

MAMIKO　うん。同じ感じで上がって行ってる。

RACHEL　だから、ジャバのいいライブを見ると悔しい。

MAMIKO　腹立つもんね。

NOLOV　それはお互いに思ってるかも。一緒に出たフェスで、ふざけて煽ってやろうかなと思ったけど、観てたらすげえよくて「やべえ……遊んでないで俺らもがんばらなきゃ」って観終わってすぐミーティングを始めたりして。無駄なジェラシーじゃなくてピュアなライバルって感じだし、そういう存在がいるのはうれしいですよね。

ASHTRAY　人間味が透けて見えるところが似てると思うんですよ。ライブを観たリスナーは「chelmicoはステージ降りてもああなんだな」と思うだろうし、俺らもMCや曲の中でパーソナリティが見えやすいと思う。

BAOBAB MC　僕は2人のことをずっとずるいな……「ずるいね」（2017年9月に発売されたchelmicoのミニアルバム「EP」収録曲タイトル）と思っていて。

MAMIKO　お、うまいこと言った！

BAOBAB MC　 chelmicoは無意識かどうかわからないけど、歌やラップのリズム感がいいんですよね。しかも2人のタイム感が違う。その組み合わせのカッコよさに驚くし、天然の部分がより見えるから、2人には根本的な才能を感じてるんですよね。しかもそれを「どや！」って出さずに、奔放さの方が前に出てるから嫌味じゃない。そこが「ずるいね」って。

2020年の公約

──では、新作「Fucking Good Milk Shake」についてのchelmicoの感想は？

MAMIKO　どの曲もよかったけど、「月にタッチ」が特に好き。

RACHEL　「MIDNIGHT GOOD GOOD MOOD feat. KEMMY」のKEMMYの声もメッチャよかったよね。「MONKEYS」のMVもよかった。

MAMIKO　あのMVはすごくジャバっぽい感じがするし、めっちゃ盛れてるよね。あとジャバは恋リリックが多いのもいい！

RACHEL　あんまりそういうラップグループっていないし、カッコいいす！ 押忍！

BAOBAB MC　あざす！

──これだけ仲のいい2組ですが、楽曲でのコラボはありませんね。

NOLOV　それは今じゃないと思うし、いつか「今だ！」って瞬間が来ると思ってます。

RACHEL　「このタイミングでやりたい！」って思うときが来るだろうね。タイミングが来れば、どちらからともなく言い出しそうだよね。

MAMIKO　 chelmicoのリリパで、ジャバと一緒にKICK THE CAN CREWの「TORIIIIIICO! feat. CASSETTE VISION」をカバーしたんですけど、自分たちが楽しかったのはもちろん、反響もよかったよね。だからいつかコラボはしたい。

NOLOV　一緒にやるなら「TORIIIIIIICO!」くらいのクオリティや物語性を持ってやりたいです。なんとなく作るんじゃなくて、社会に対して「これよくない？」と提示できるレベルで。

ROVIN　もう1、2ステージ登らないといけないよね。俺らは3ステージ登らないといけない気がするけど（笑）。

NOLOV　だいぶ足りてねえよな、俺ら（笑）。

──ただ「簡単にはできない」というのは、それだけのお互いに対して愛情とリスペクトがあるということだと思います。

ROVIN　コラボ作を出したことが理由でツーマンライブができるぐらいにならないとダメかなって。それぐらいのセンセーションを巻き起こすコラボにしたい。

NOLOV　……これだけ言って、これがふわっと終わったら寒いよね。

MAMIKO　じゃあ期限を作ろうよ。

RACHEL　いつまでにする？

NOLOV　……2020年！ あんまり遠いと忘れそうだし。

BAOBAB MC　オリンピックのテーマ曲にする？

NOLOV　でかすぎるわ！

MAMIKO　場所は新木場STUDIO COASTにしよう！ コーストでツーマン！

ROVIN　がんばろう！

ASHTRAY　でもあと2年後だよ？

NOLOV　……2020年度にしよう。つまり2021年の3月まで。

──日和ったなー（笑）。

ROVIN　でもこの2組が一緒に音楽シーンのステージを上がって、それがコラボするのが話題になるって、すごく夢あることだし、さっきの話がホントに実現したら……。

RACHEL　泣いちゃうと思う。

MAMIKO　仲間っていいよね!!