ナタリー PowerPush - 石橋凌

「SHOUT of SOUL」な表現者人生を振り返る

CHABOさんとは今後も一緒にやっていきたい

──それから4月の末には「ARABAKI ROCK FEST.12」に出演されました。ARB時代にもいろんなフェスに出ていたわけですが、今のフェスにご出演されてどう感じましたか?

うーん。実際やってみると、そんなには変わらない気がしましたけど。ただ、お客さんの層がもっと広範囲ですよね。

石橋凌

──以前より客層が多様になっている。

そう思います。若い人もたくさんいるし。僕のことを俳優としては知っているけど、歌う様を観たことのない人もたくさんいらっしゃっただろうし。そういう人たちがどう捉えてくれるのかっていう興味はありましたね。

──フェス、また出たいですか?

出たいですねえ。

──ARABAKIではCHABOさん(仲井戸 “CHABO” 麗市)と共演されていて、それが8月の南青山MANDALA(「SOUL TO SOUL」)や年末の赤坂BLITZのワンマンにもつながっていったわけですが、一緒にやるようになったきっかけは2011年の「風音(KAZAOTO)」(※石橋凌がプロデビューするきっかけを作ったKBCラジオ岸川均氏の追悼イベント)でしたよね。

そうです。

──あれをきっかけにCHABOさんと凌さんの関係がグッと親密になったという印象がありますが。

そうですね。ほら、昔はよくイベントで僕らのバンドとRC(サクセション)が一緒になりましたし。僕らのバンドの1回目の解散のときにはCHABOさんにゲストで出てもらったりもしましたしね。ただ、初めてじっくりと話をしたのは2011年の「風音」の前日で。リハーサルが終わってからメンバーも一緒に食事して、いろんなことを話したんですよ。それが非常に盛り上がって、CHABOさんは普段打ち上げとかに参加しない人として有名みたいですけど、そのときは2次会にまでつき合ってくれてね。「凌はどんなアーティストを聴いてたの?」って聞かれたので、トム・ウェイツとかトムヤンスが好きでって言ったら、「え? トムヤンス知ってるの?」って。CHABOさんもトムヤンスが好きらしく、そんな話でまた盛り上がって。

──ええ。

その翌日に「風音」の本番があって、「また一緒にやりましょう」と話して、で、去年のARABAKI。それから8月には3日間、南青山MANDALAのCHABOさんのライブに呼んでいただいたんです。そのときに強く思ったのが、CHABOさんが登場すると、それだけで場の空気が豊かになるってことで。こういう人ってあんまりいないよなあと思ったんですね。で、自分もソロで活動をするにあたって、さっき話したように音楽を楽しみたいというのがひとつ。もうひとつは豊かなモノ作りをしていきたいと思ったんですよ。音楽業界も厳しい状況にあるようですけど、気持ちの持ち方次第ではもっと豊かになれるんじゃないか。お客さんが今の時代に求めているのも豊かな音楽なんじゃないかって思ったんですね。そういう意味でもCHABOさんとは今後も一緒にやっていきたいし、心のこもった豊かなモノ作りをしていきたい。そう思ってるんです。

先輩・RCサクセション

──RCサクセションがロックバンドとして再始動し、飛ぶ鳥を落とす勢いで動員を増やし始めたのが1979年から1980年にかけての頃。一方、大手の事務所から1年ちょっとで独立したARBがライブに全精力を注ぐようになったのも1980年でした。華やかな舞台を駆けのぼっていったRCに対し、ARBはしばらく苦闘していた印象があるのですが、あの頃、凌さんはRCというバンドをどのように見ていたのですか?

僕は九州でアマチュアバンドをやっていた頃に、フォーク時代のRCも聴いてたし、古井戸も聴いてましたから、まずは先輩という印象ですよね。それから(忌野)清志郎さんとCHABOさんの、あのキャラクターの立ち方。あとは、今思うとですけど、RCはあれだけのブラスセクションを抱えてやってたわけでしょ。それで全国のツアーなりイベントなりをやっていたというのは、物理的に相当大変なことだったと思うんですよ。そこがすごいなって思いましたね。で、それはどういうことかというと、やっぱりちゃんと“音楽”をやっていたんだなと。ロックンロールショーを良質なエンタテインメントとして届けていたんだなって。それに対して、さっきも言いましたけどオレたちは何しろ余裕がなくて、本当に目の前の壁を壊して進んでいくだけだったからね。そこに共感してくれる人もいましたけど、やっぱり明らかにマイノリティだったわけで。だからどうやってそこを打破していくのかってことは、いつも考えてましたよね。

──RCに対してライバル心とか、いつか見てろみたいな気持ちとかはあったんですか?

それは、当時はたぶんみんな自分たちが一番だって思ってやってたと思いますよ。そういう時代だったし。当時はまだニューミュージックとかのほうがロックより力があったわけで、今みたいにロックをやる人たちに道が開かれているわけじゃないですからね。だから、みんなオレたちが一番だってくらいに思わないとやっていけない時代だった。かといって、別に確執があったわけではないんですよ。ただ、みんなで仲よくお酒を飲んだりっていうのは、なかったですけど。

──“対バン”といったら、文字通り“対決バンド”の意味でしたからね。

そうそうそう。

ライブDVD / Blu-ray「SHOUT of SOUL」/ 2013年3月27日発売 / avex trax
DVD 5250円 / AVBD-92028
Blu-ray 6300円 / AVXD-91622
収録内容
Interview 1
  1. 魂こがして
  2. 乾いた花
  3. HIP,SHAKE,HIP
  4. Heavy Days
  5. 待合室にて
  6. Just a 16
  7. 淋しい街から
  8. 最果て
Interview 2
  1. 形見のフォト
  2. TOKYO SHUFFLE
Interview 3
  1. いい事ばかりはありゃしない
  2. Dear My Soulmate
Interview 4
  1. 抵抗の詩
  2. ダディーズ・シューズ
  3. Do it! Boy
  4. 喝!
  5. 我がプレッジ
Interview 5
  1. 縁のブルース
  2. ピカドンの詩
  3. R&R AIR MAIL
  4. SOUL TO SOUL
  5. AFTER'45
  6. パブでの出来事
BONUS TRACK~DVD version
  1. PALL MALLに火をつけて
  2. RESPECT THE NIGHT
BONUS TRACK~Blu-ray version
  1. 最果て
  2. PALL MALLに火をつけて
  3. RESPECT THE NIGHT
  4. 我がプレッジ

総尺:DVD 146分、Blu-ray 156分

~現在進行形の熱きソウルの共鳴!!!~

2012年12月16日に赤坂BLITZで行われた、石橋凌のソロライブ「SHOUT of SOUL」を収録。アルバム「表現者」のレコーディングメンバーでもある最強のバンドメンバー(池畑潤二、渡辺圭一、伊東ミキオ、藤井一彦、梅津和時)に加え、スペシャルゲストとして出演した仲井戸麗市との“魂と魂のコラボレーション”も含めた全23曲と、石橋凌本人がたっぷり語った貴重なインタビューを本編に収録。特典映像として、2012年1月に開催された「東京キネマ倶楽部」での初のソロライブ映像が追加収録され、総尺150分にもおよぶ“表現者”石橋凌の今の姿を余すことなく捉えたドキュメント作品。

石橋凌(いしばしりょう)

石橋凌

1956年生まれ福岡県出身のミュージシャン、俳優。1977年に結成され、数々のアーティストに影響を与えて2006年に解散したロックバンドARBのボーカルとして知られる。また、1990年から現在まで並行して役者としての活動を行っている。2011年12月にアルバム「表現者」を発表して音楽活動を再開。その後ライブ活動も精力的に展開し、2013年3月には赤坂BLITZ公演の模様を中心としたライブDVD / Blu-ray「SHOUT of SOUL」をリリースした。