ナタリー PowerPush - INORAN
デビュー25周年でなお続く「自分探しの旅」
音楽を通して自分探しをしている
──INORANさんは今回の「Somewhere」以前も、作品ごとに多種多様なサウンドを駆使してソロ作品を発表してきました。そのほかにもLUNA SEAやFAKE?、Muddy Apesといったバンドでも個性的なサウンドを表現していますが、その原動力となっているものはなんなんでしょう?
うーん……なんて言えばいいんだろうな。単純にそのときそのとき自分がやりたい音楽をやってきただけで……僕は音楽を通して自分探しをしているんです。で、その自分探しは海外ツアーを経験してからより大きなものへと変わっていって、それこそ「自分は何者なのか?」ということとか……今でもそれはわからないんですけど(笑)、その自分探しの旅が原動力になっているのかもしれない。
──なるほど。しかもINORANさんの場合、ソロやLUNA SEA、Muddy Apesと活動時期が若干かぶりながら動いていますよね。昨年で言ったら、一夜限りでしたけどFAKE?としてもステージに立ってるし(参照:FAKE?、INORAN全面参加の結成10周年ライブ大成功)。
そうですね……まあ音楽が好きだからやれるんじゃないですかね。時間が許す限り、できるだけのことはやりたい。自分の中のキャパシティを超えない限りはなんでもやりたいんですよね。
──その傾向は40歳前後になって、より強くなってるという。
うん。やっぱり昨日より今日、今日より明日が絶対よくなってると思うし。昔よく言ってたんだけど、音楽は人生でもあるわけですけど、同時に仕事でもあるわけで、やっぱり嫌なこともやらなきゃいけないときもあるわけです。で、嫌なことが増えるんであればやめればいいと思ってたんですけど、実際には少なくなっていて、好きなことのほうがどんどん増えているっていう。年齢を重ねることで物事をいろんなふうに見られるようになったのも大きいと思うんですけどね。
──例えばそれは、いろんな新しい出会いに影響された部分も多いんでしょうか? Muddy Apesなんてまさにその結果誕生したバンドだと思いますし。
それはあると思う。僕はそのへん、変なプライドがないっていうか、とにかくいろんな人に会いたいんです。それによって日々影響されてるわけだし。それによって、バンドも音楽も人が変わると全然違うものができることに気付かされたんです。やっぱり僕は人と一緒に奏でるものが音楽だと思うから。それは単にプレイヤーが演奏するだけじゃなくて、オーディエンスと一緒にライブを作り上げていくことも同じですよね。そこで生まれるパワーが源になって、1つでも多くいろんなことをやりたいと思うわけで。まあ人によっては「INORANの音楽ってブレブレじゃん」みたいに感じるかもしれないけど、僕は自分の中にある信念さえブレてなければ大丈夫だと思っています。
LUNA SEAは世界一の音楽バカが5人そろったバンド
──今おっしゃったような感覚って例えば20代の頃、LUNA SEAの終幕前も持っていましたか?
いや、全然ですね。20代の頃は1つのことしかできないと思ってたんで。気持ちが分散してしまう……今と考え方が逆でしたね。まあそういう経験があっての今なので。逆に今はこんなにチャンスがあって、出会いがあって……ここまでいろいろやれる人って、そうはいないと思うんですよ。やっぱりそこは運命に感謝したいですね。
──実は昨年、河村隆一さん(参照:河村隆一「七色」インタビュー)やJさん(参照:J「FREEDOM No.9」インタビュー )に、LUNA SEAとソロ活動を並行することについて質問していて。お2人ともINORANさん同様、以前と比べたらその活動の幅もペースもどんどん拡大していて、そこで疲弊することはないのかと聞いたんですけど、今のほうが楽しいし、どんどんいろんなことをやりたいっていう思いが強いって言うんです。
うん。そうですね、まあ……ちょっと雑な言い方ですけど、LUNA SEAは世界一の音楽バカが5人そろったバンドですから(笑)。音楽バカさでは誰にも負けないと思うので、そのへんは「ああ、一緒だね」って感じです……(用意された資料に掲載されているディスコグラフィを見て)っていうか僕、作品を出し過ぎですね。
──あははは(笑)。今気付いたんですか?
全然気付いてなかった……これまでに何枚出してるんだろう。ソロにLUNA SEA、FAKE?、Tourbillon、Muddy Apes……たぶん3、40枚は出してるってことですよね。アホだな(笑)。
──2013年だけでも、LUNA SEAでシングル2枚とアルバム1枚、Muddy Apesでアルバム1枚、ソロでシングル1枚を出してますからね(笑)。
そうですね(笑)。本当はソロアルバムも去年作りたかったんですけど、さすがに年間アルバム3枚は無理だなと思って。
──これだけのプロジェクトを並行して動かしていく上で、ご自身の中での切り替えってどうしてるんですか?
それがすんなりと切り替えできるんです。そこに楽しいことが待ってると思うから、最近はどんな活動も楽しみながらやれちゃうんですよ。そこはきっとこれからも、変わらないと思います。
- ミニアルバム「Somewhere」/ 2014年3月19日発売 / KING RECORDS / KICS-93031
- 初回限定盤 [CD+DVD+写真集] 5775円 / KICS-93031
- 通常盤[CD] 1785円 / KICS-3031
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収録曲
- A Day Goes On By
- REDISCOVER ON ANOTHER
- Candy
- Song 3
- Sakura
DVD収録内容
- 「Sakura」Music Video
- ツアー情報
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INORAN TOUR 2014 -Somewhere-
- 2014年4月4日(金)
大阪府 BIGCAT - 2014年4月5日(土)
愛知県 THE BOTTOM LINE - 2014年4月12日(土)
東京都 LIQUIDROOM ebisu ※ソールドアウト - 2014年4月13日(日)
東京都 LIQUIDROOM ebisu ※追加公演
- 2014年4月4日(金)
INORAN(いのらん)
1970年生まれ、神奈川県出身のギタリスト / シンガー。5人組ロックバンドLUNA SEAのギタリストとして、1991年にメジャーデビュー。同バンドの活動と並行して、1997年にはソロアルバム「想」をリリースする。2000年のLUNA SEA終幕後からは本格的にソロ活動をスタートさせ、2002年にはロックユニット・FAKE?を、2005年にはRYUICHI(河村隆一)らとロックバンド・Tourbillonを結成。現在はソロ活動のほか、2010年に“REBOOT”と称して再始動したLUNA SEA、2012年にFEEDERのタカ・ヒロセ、8ottoのMAESON、FEEDERのサポートギタリストとしても活躍するディーン・テディと結成したフォーピースバンド・Muddy Apesと精力的な音楽活動を続けている。2014年3月、ソロとしては1年9カ月年ぶりとなる新作ミニアルバム「Somewhere」をリリース。