indigo la Endがメジャー2ndフルアルバム「藍色ミュージック」以来、約1年ぶりのニューアルバム「Crying End Roll」をリリースした。ドラマ「ぼくは麻理のなか」オープニングテーマに採用された「鐘泣く命」、女優の安藤輪子が出演したミュージックビデオが話題を集めた「プレイバック」、さらに「ココロネ(Remix by Qrion)」、「夏夜のマジック(Remix by ちゃんMARI)」などが収録された本作は、川谷絵音(Vo, G)が「『藍色ミュージック』もいいアルバムだったけど、それをさらに突き詰められた」と言う充実作となった。
今回音楽ナタリーでは、メンバー4人にインタビューを実施。本作の制作プロセスを追いながら、「藍色ミュージック」以降の変化、indigo la Endのオリジナリティなどについて語ってもらった。
取材・文 / 森朋之
そうそう、こんな感じだった
──まずは6月23日に東京・EX THEATER ROPPONGIで行われたライブ「Play Back End Roll」のことから聞かせてください。ワンマンは昨年9月の東京・新木場STUDIO COAST公演以来約9カ月ぶりだったわけですが、振り返ってみるとどんなライブでした?
佐藤栄太郎(Dr) その前に3曲だけお客さんの前で演奏したんですけど(参照:DADARAYキネマ倶楽部スペシャルパーティでindigo la Endひさびさに集結)、ワンマンはひさしぶりだったからかなり緊張してましたね(参照:indigo la End、「Crying End Roll」の片鱗見せた9カ月ぶりワンマン)。
長田カーティス(G) 手が震えてたもんね(笑)。手の震えを抑えるためにシャドーボクシングやってたでしょ。
佐藤 やってた(笑)。演奏してるうちに感覚が戻ってきましたけどね。新曲とやり慣れてる曲のどちらもあって、新しい部分と今までやってきたことが両方あった感じです。
後鳥亮介(B) 僕もすごく緊張していました。ライブが始まって少し経つと「そうそう、こんな感じだった」って思い出していきましたけど。
──ニューアルバム「Crying End Roll」からは「見せかけのラブソング」「プレイバック」「想いきり」「鐘泣く命」を演奏しましたね。
長田 新曲は「お客さんが知らない曲だからしっかりやらないと」と思って集中して演奏できましたね。もちろんほかの曲もしっかりやってましたけど(笑)。僕はDADARAYのサポートメンバーとしてギターを弾いているのでライブ自体はやっていたんですけど、indigo la Endのライブは心持ちやスタンスが違うというか……。
──プレッシャーもあった?
長田 そうですね。ライブに向けてどういうふうに気持ちを持っていくか、どう集中力を高めていくか、そういうのをちょっと忘れちゃってたところもあったし。
川谷絵音(Vo, G) 僕はそんなにindigoのライブがひさびさだとは感じてなかったんですよ。でも最後にやった「渚にて幻」の演奏中に腰を痛めちゃって。普段はやらないような動き方をしたからか、いきなり痛くなって、そのときに「9カ月ぶりのライブなんだな」って思いました。
佐藤 終盤も終盤じゃないですか、それ(笑)。
川谷 そうだね(笑)。ああいう動きって、リハではやらないでしょ? 恥ずかしいから。
──新曲の手応えはどうでした?
川谷 「見せかけのラブソング」はDADARAYの企画のときに披露していたんですけど、「プレイバック」と「鐘泣く命」はこのワンマンで初披露だったんですよ。「プレイバック」はMVを公開したあとだったし、「鐘泣く命」は配信が始まっていたから、ちょっと緊張感がありましたね。曲を知ってる人も多かったと思うので。でもいい感じだったと思いますよ。
新しい音楽への扉を開くきっかけになったら
──ニューアルバム「Crying End Roll」について聞かせてください。まずこのタイトルにはどんな意味があるんですか?
川谷 最初は「Playback End Roll」というタイトルにしようと思っていたんです。同じ題名の曲もあったんですけど、それを収録しないことになって、アルバムのタイトルも変えることに。「End Roll」は残して、その前に付ける言葉を探してたんです。いろいろ考えたんですけど、字面のよさとかも考えて「Crying」に決めて。
──“End Roll”というワードは重要だったわけですね?
川谷 いや、そんなに重要でもないです。最初に「End Roll」を思い付いたから。まあ、第一印象ですよね。
──深読みしたくなるタイトルですけどね、「Crying End Roll」って。映画で言うと本編は終わってるんだよな、とか。
川谷 「解散するのかな」って思われるかも(笑)。
後鳥 ラストアルバムかなって(笑)。
──ライブのMCで「目に見えないところまでこだわって作ってるから、そういう部分もちゃんと聴いてほしいという思いを込めました」と言ってましたが、それは本心なんですよね?
川谷 本心ですね。このタイトルには「indigo la Endは普通の歌モノのバンドではないということに気付いてほしい」という思いを込めました。ちゃんと聴けば、いろんなところに僕らの音楽的に深い部分が出てるのがわかるだろうし、それを聴き逃さないでほしくて。そう考えると今まで一番音楽的な意味合いのあるタイトルかもしれないです。今までのアルバムのタイトルは自分たちの感情ではなく、作品性に寄り添って考えてたんですよ。今回は逆で4人が思っていることをタイトルにしたので。「見逃されがちな部分にも力を入れて音楽を作ってる」という主張がなされていると言うか。
──indigo la Endが「普通の歌モノのバンドではない」ということはリスナーに伝わってると思いますけどね。普遍的な歌と先鋭的なサウンドが共存しているバンドだというのは、少なくともファンの人はわかってるのでは?
川谷 どうなんでしょうね? 自分たちの音楽的な変化にリスナーが気付いてるかどうかもわからないので。「純粋に好き」っていうのがファンだし、気付いてる人もいれば、「僕らがやってることはなんでも好き」っていう盲目的な人もいるだろうから、一概には言えないです。ただ僕らの音楽を聴くことで、リスナーが新しい音楽の扉を開くきっかけになったらいいなという思いはあります。「今まで全然カッコいいと思ってなかったけど、これもいいな」って別のバンドのよさに気付いたり。みんなにいろんな音楽を聴いてほしいんですよね。
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このアルバムを一番楽しく聴けるのは自分たち
- indigo la End「Crying End Roll」
- 2017年7月12日発売 / unBORDE
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初回限定盤 [CD+DVD]
3780円 / WPZL-31341~2 -
通常盤 [CD]
3240円 / WPCL-12676
- CD収録曲
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- 想いきり
- 見せかけのラブソング
- 猫にも愛を
- End Roll I
- 鐘泣く命
- 知らない血
- ココロネ(Remix by Qrion)
- End Roll II
- プレイバック
- 天使にキスを
- エーテル
- 夏夜のマジック(Remix by ちゃんMARI)
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 楽園
- 秘密の金魚
- 実験前
- 緑の少女
- 夏夜のマジック
- 幸せな街路樹
- 瞳に映らない
- 渚にて幻(long ver.)
- 名もなきハッピーエンド
公演情報
- indigo la End「始藍」
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- 2017年9月15日(金)大阪府 なんばHatch
- 2017年9月17日(日)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
- 2017年9月20日(水)愛知県 DIAMOND HALL
- 2017年9月22日(金)東京都 Zepp Tokyo
- 2017年9月25日(月)群馬県 高崎club FLEEZ
※スペシャルゲスト:秀吉 - 2017年9月26日(火)宮城県 Rensa
- 2017年9月28日(木)北海道 札幌PENNY LANE24
- indigo la End(インディゴラエンド)
- 川谷絵音(Vo, G)、長田カーティス(G)、後鳥亮介(B)、佐藤栄太郎(Dr)からなるロックバンド。2010年2月より活動を開始。2012年4月に、スペースシャワーミュージックが設立した新レーベル・eninalの第1弾アーティストとして1stミニアルバム「さようなら、素晴らしい世界」でデビュー。2013年5月には初のワンマンツアーを東名阪で開催する。2014年4月、約1年2カ月ぶりの新作「あの街レコード」でunBORDEよりメジャーデビューを果たし、同年8月に出演したロックフェス「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014」のステージでこれまでサポートメンバーとしてバンドに参加していた後鳥が正式加入。9月に新体制となってから初めての作品となるメジャー1stシングル「瞳に映らない」をリリースした。2014年12月の「COUNTDOWN JAPAN14/15」のステージをもって、約5年間バンドに在籍していたオオタユウスケ(Dr)が脱退。2015年に2月にメジャー1stフルアルバム「幸せが溢れたら」を発表し、同作のリリースツアーのファイナル公演で佐藤栄太郎(Dr)が正式加入した。2016年6月に現体制となって初めてのアルバムにあたる「藍色ミュージック」を発表。2017年7月にメジャー3rdアルバム「Crying End Roll」をリリースし、9月よりツアー「始藍」を開催する。