焼肉って人生なんですよね、そんなこと全然思ってませんけど（笑）

──では、ほかの曲にもいくつか触れていきましょう。ノリのいいアップチューン「Let's go DO 根性」は、コーラスにアイドルネッサンスが参加してますね。

上中　そう。事務所の後輩でもあるし、メンバーの（宮本）茉凛ちゃんがイナ戦好きなんですよ。

──アイルネも、イナ戦の「手を打ち鳴らせ!!」「ドカン行進曲（己編）」を歌ってますしね。

久保　そうなんですよ。この曲は丈弥が「チアリーダー的な曲にしたい」って言って作り始めたんです。そのイメージにアイルネさんたちの声がちょうど合って、理想形になったよね。

上中　わざわざスタジオに来てくれて、キラキラしたいい声が入ったね。

──歌詞は“挑戦”と“ど根性”がテーマになってます。

上中　もう、オレらに残されたものはど根性だけですから（笑）。

──（笑）。DISC 1の最後の曲はファンキーなロックナンバー「YAKINIKU」です。

上中　これは、単純にオレが焼肉を好きだっていうのと、坂本九さんの「SUKIYAKI」みたいに世界中に広がらないかなという野望がありまして（笑）。いや、でもホント焼肉好きなんですよ。オレの人生のすべてですよ。オレの体の80％は焼肉でできてますから。

──そんなに好きなんですか。でも、人生観が強く反映されたほかの収録曲からの流れで聴くと、CDの最後にこの曲で、日々のストレスを食で発散させる、魂を浄化させていくような印象を受けますよ。

上中　お、おー、まさにその通りですね、僕が今言わんとしてたことです。

中田　ウソや、完全に乗っかったろ（笑）。

上中　豚トロはきちんと焼けってメッセージもちゃんと込められてるんで（笑）。

久保　それ、めっちゃ普通の話じゃん（笑）。

上中　いやー、焼肉って人生なんですよね。裏テーマを見抜くとは。……まあ、ぶっちゃけそんなことは全然思ってませんでした（笑）。こんな曲を限られた曲数に入れるのはどうかなと思ったんですけど、スタッフが推すから。焼肉のタイアップ取れますよって（笑）。今のところそういうお話はゼロですけど。でも名曲ですよ。

1stアルバムに勝てる曲を書けてるのか、振り返るのが怖かった

──そして、ベストアルバム的なDISC 2の選曲の基準は？

上中　ライブで人気がある曲ですね。このあとツアーもあるし、そこでやれるような。あと、リリースした順に曲が並んでるんです。

久保　こういう曲をやってきて、イナ戦にお客さんが付いてきてくれた、っていうのがわかる曲を選んだつもりです。

上中　簡単に言うと、ど真ん中な代表曲ですね。あと、新録した曲もあって。

──“20th anniversary ver.”として、「応援歌」「オマエ・がむしゃら・はい・ジャンプ」「各駅停車」「愛じゃないか」の4曲を録り直してますよね。

上中　ライブでやってきて、今の形が最高やなって思ったから。「こっちのほうがお客さんを納得させられてるぞ」っていうのを録りたかったんです。

久保　最初に録った頃と、ライブでどんどん変わってる曲もあって、そういうのも選びました。年齢を重ねたスキルでやったら、今のイナ戦が表現できるんじゃないのかなっていうところもあります。「オレたちは今こういうふうにやってるんだよ、だからライブ来てよ」っていうのを見せたくて。

──改めて、これまでの曲を聴いてどう感じますか。

上中　それが、どれもいい曲なんですよ。昔は絶対に前に作った曲は聴かなかったんです。やっぱり1stアルバムって、その瞬間に魂削って作った感じがあってすごく思い入れがあるんですよ。なので2nd以降は、それに勝てる曲を書けてるのか、振り返るのが怖いときもあったんです。でも振り返ってみると、ちゃんとしたこと歌ってきたんだなって思えて。だからベスト盤を出すこともすっと受け入れられたんですよね。

大阪府堺市では「裸の付き合いをしたら友達や」が掟

──では、結成20周年と言うことで、自分の中の変わった部分と変わってない部分を聞きたいです。

中田　変わったのは、ベースに対する意識ですね。それは名村さんと知り合ってですけど。

上中　ここ1、2年やないか（笑）。

中田　（笑）。前作から、もともとベーシストだった名村さんが付いてくれて、「この人どうやってベースのラインを考えてるんだろう？」って思いながら制作工程を見てたら、自分の考えと絶対違う部分で楽器を見てるなって思えたんです。そこで変わりました。あと、変わってないものはライブに入る前の緊張感です。20代の頃は、大人になったら余裕な感じでいけるんじゃないかなと思ってたんですけど、いやいや全然ですね。ツアー初日の緊張感とか、昔と全然変わってないです。

上中　変わったことは、オレらもともと友達同士で始まったバンドですけど、プライベートで一緒に遊ばなくなったことですね。俊哉は小学校1年からの付き合いなので遊ぶんですけど、武郎と久保さんのプライベートは今はわからない。

久保　たまには誘ってよ。僕、丈弥に、「一緒に風呂に入らないから、お前は友達じゃない、ビジネスパートナーとして見てる」って言われるんですよ（笑）。

上中　だって20年一緒にいるのに、銭湯とかお風呂に一緒に行ってくれないんですよ？

──どうしてダメなんですか。

久保　人前で裸になるのが恥ずかしいんですよ。それだけの理由なのに、「ビジネスパートナーだ」って（笑）。

上中　そら、大阪府堺市では「裸の付き合いをしたら友達や」っていうのが掟やからね。

久保　僕は北海道出身だし、そのルールを持ち込まれても（笑）。

上中　まあ、そういうこともありつつ……変わってないのは、いまだにメンバーがオレを自由にしてくれることですね。甘やかしてくれてなかったら、ストレスで辞めてたかも（笑）。

──どんなところを甘やかしてくれるんですか。

上中　たまに練習を休んでも「疲れてるんだからしょうがない」と言ってくれたり、リハに行かず遊びに行っても「丈弥は歌詞の世界を膨らませなあかんから経験が大事だ」って言ってくれて、ほんまありがたいことですよ。

久保　そこはあきらめてるというか、丈弥の気持ちを尊重してます（笑）。