ナタリー PowerPush - いきものがかり
ニューアルバム「I」全曲解説
いきものがかりの特別番組が7月18日、ニコニコ生放送にて配信された。これは最新アルバム「I」のリリースを記念して企画されたもので、番組にはメンバー3人のほか、タレントの武井壮、ナタリー編集長の大山卓也が出演。初解禁曲を含む全14曲を1曲目から順番にオンエアし、メンバーが武井や大山とトークを繰り広げながらそれぞれ解説を行った。
ナタリーではアルバムのリリースといきものがかりのニコ生番組初出演を記念して、その模様をテキストで再構成。メンバーによる「I」全曲解説をたっぷりとお届けする。なおニコニコ生放送ではタイムシフト機能で8月18日まで番組を配信中なので、全容が気になる人はそちらもチェックしてみてほしい。
アルバムタイトル「I」に込めた思い
水野良樹(G) 常々いきものがかりは自分たちの曲を皆さんにも自分の曲だと思ってもらえるような曲を作りたいと言ってるんですけど、今回もそういう姿勢を表すタイトルにしようって3人で話していたんですね。それで最初は「Share」や「Open」っていうストレートなタイトルにしようと思っていたんですけど、いろいろ考えて出てきたのが「I」です。僕らが作った「I」でもあるんだけど、聴いてくれた皆さん誰もが主人公になれるっていう意味でも「I」がいいかなと思いました。
山下穂尊(G, Harmonica) 斬新だったよね。タイトルが1文字ってやったことなかったから。
01. 笑顔(作詞・作曲:水野良樹 / 編曲:亀田誠治)
水野 笑おうとしている人たちの背中を押したい、肯定したいっていう気持ちで曲を書きました。歌詞に悩んだときにランニングをしていたら、幼い子供3人とお父さんが向こうからやってきて、全員同じ服を着ていたんですよ。それを見たときに、きっとこの子たちは大きくなってお父さんのことを疎ましく思うときもあるんだろうけど、さらに大人になったら一周して「バカだけどいい親父だったな」って感じるんだろうなと思って。そう思ったらすごく感動したんですよね。滑稽かもしれないけど愛を表現したり、その人に笑ってもらいたいっていう気持ちを後押ししたいと思って歌詞を書きました。
02. 1 2 3 ~恋がはじまる~(作詞・作曲:水野良樹 / 編曲:本間昭光)
水野 (こういう初恋をテーマにした曲の)歌詞を書くときは妄想しかないですね。歌っている吉岡もこの曲の世界観からは離れていっていると思うし。歌詞で描いているような恋ってあるのかわからないし、たぶんないんですけど、こういう恋に憧れる姿っていうのは絶対にあるじゃないですか。それが書ければいいかなって思って。
吉岡聖恵(Vo) 最初渡されたときに「ひさしぶりにピチピチの初恋のラブソングがきたー!」と思って(笑)。デビュー直後くらいならいいんですけど今はもう等身大では歌えないので……。どんなテンションで歌おうかと思っていたんですけど、そういう恋に憧れている女の子だったり、真っ最中の人は気持ちを乗せられるような感じで歌えたらと思ってレコーディングブースに入りました。ブースに入っているときは年齢のことは忘れて歌いましたね。(気持ち的には)中学生くらいじゃないでしょうか(笑)。
水野 「ピチピチ」って(ドラゴンボールの)亀仙人のイメージですよね(笑)。
03. ぱぱぱ~や(作詞・作曲:水野良樹 / 編曲:本間昭光)
水野 この「ぱぱぱ~や」っていう言葉は仮歌のときからあって、みんなに「本番ではどうなるの?」って言われてたんですけど「これが本番です」って言って。
吉岡 そこは譲らなかったですよね。
水野 突き通したね。これは耳に入ってくる感じの言葉なので。曲は「じょいふる」と同時期に書きましたね。その頃から「ぱやぱや」言っていました(笑)。アップテンポでナンセンスな曲を作ろうっていう時期でしたね。
山下 今回のアルバムを作るときにデモのストックが150曲くらいあったんですよ。ずっと寝かされていた曲もいっぱいあったんですけど、「ぱぱぱ~や」はようやく日の目を見ました。
04. 恋跡(作詞・作曲:山下穂尊 / 編曲:田中ユウスケ 近藤隆史)
山下 これは「ザ・失恋曲」を書こうと思って。曲を作るの自体はすごく早かったんですけどこの曲も寝かされましたね(笑)。最初に作ったのは2009年かな。「あれから三年」っていう歌詞もたまたま出てきたんですよ。架空の話なんだけどストーリーとして素敵だなって思うものをデフォルメして書くっていうのがいきものがかりの手法なので。それを吉岡が歌うことによってリスナーに聴いてもらうっていうのはずっと変わらずにやっていますね。
吉岡 大学の頃はミュージカルを勉強しているときがあって役になりきって歌っていたんですけど、それだと極端に振れちゃって。なので、まずは真ん中でドンと歌うようにしていて、そこからなんとなく見えてくるものはありますね。
山下 でも“吉岡聖恵の範囲”は大きいんですよね。モノマネとかも上手で。そこまで行くと吉岡聖恵じゃなくなっちゃうんですけど、範囲内でやるっていうのは横で見ていてすごいなと思いますね。
05. ハルウタ(作詞・作曲:山下穂尊 / 編曲:江口亮 / 弦編曲:江口亮 村山達哉)
山下 久しぶりに聴いたら新鮮でした(笑)。この曲も作るの早かったですね。でもそこにたどり着くまでに大変だったりするんですけど。重い腰を上げてギターを持つまで時間がかかるけど、やろうとなれば僕は早いですね。
06. マイサンシャインストーリー(作詞・作曲:山下穂尊 / 編曲:島田昌典)
山下 これは家を出る前に急いで書いた曲ですね。日産自動車の「セレナ」のCMソングということで、歌詞は疾走感と清涼感を意識しました。「できないもん」っていう部分の歌詞はやりすぎかなって思ったんですけど、ディレクターさんが「聖恵に合ってるんじゃない?」って言ってくれたので採用されて。
吉岡 途中で「できないよ」になったんだよね。「もん」のほうがいいと思っていたから変わったときに「あ!(変わっちゃった)」って思って。
- ニューアルバム「I」 / 2013年7月24日発売 / EPICレコードジャパン
- 「I」ジャケット
- 初回限定盤[CD+DVD] / 3500円 / ESCL-4089~90
- 通常盤[CD] / 3059円 / ESCL-4091
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CD収録曲
- 笑顔
- 1 2 3 ~恋がはじまる~
- ぱぱぱ~や
- 恋跡(コイアト)
- ハルウタ
- マイサンシャインストーリー
- なんで
- あしたのそら
- 風乞うて花揺れる
- MONSTAR
- 恋愛小説
- 東京
- 風が吹いている
- ぬくもり
初回限定盤DVD収録内容
- イッキーモンキーのiラジオ
いきものがかり
吉岡聖恵(Vo)、水野良樹(G)、山下穂尊(G, Harmonica)の3人組ユニット。1999年結成。当初は地元・神奈川での路上ライブを中心に活動し、2003年にインディーズで初CDをリリース。2006年に発売したメジャー1stシングル「SAKURA」がスマッシュヒットを記録し全国区の人気を獲得する。2007年3月には1stフルアルバム「桜咲く街物語」を発表。切なくて温かい等身大のポップチューンが老若男女問わず幅広い層から強い支持を集めている。2010年には初のベストアルバム「いきものばかり~メンバーズBESTセレクション~」をリリースし、ミリオンセラーを記録した。同年秋からは初の全国アリーナツアーを敢行。こちらも大成功に収め、ライブバンドとしても大きな成長を遂げる。2012年にはNHKロンドンオリンピック放送のテーマソング「風が吹いている」でグループ史上最長となる7分40秒の大作に挑戦。同年12月にはバラードベストアルバム「バラー丼」をリリースした。2013年7月に6thアルバム「I」を発表。