MCバトル日本一の経歴を持つラッパー・R-指定と、TOC(Hilcrhyme)のバックDJとしても活躍するDJ松永からなる1MC1DJユニットCreepy Nuts。普段からiPodやiPhoneに直接イヤフォンをつないで音楽を楽しんでいるという彼らには、“重低音&タフ”をコンセプトとしたJVC XX(Xtreme Xplosives)シリーズの新商品であるイヤフォンHA-FX99Xを試してもらった。
R-指定はiPhone、松永はiPod Shuffleに入っている楽曲を、HA-FX99Xと私物のイヤフォンで聴き比べ。クリアでキレのあるサウンドと、よく響く重低音が特長の本機で音楽を聴いた感想は?
取材・文 / 石橋果奈 撮影 / 佐藤類
JVC HA-FX99X
シンプルな曲だと臨場感がより伝わる
──HA-FX99Xで楽曲を聴いてみていかがでしたか?
DJ松永 My Hair is Badの新しいアルバム「woman's」を聴いたんですけど、ベース音とか低い音がよく聞こえますね。というかこのアルバム、めっちゃ名盤なんですけど! 熱くなりますねえ。
──(笑)。ヒップホップの楽曲だとどうでしょうか。
DJ松永 俺のiPod Shuffle、ヒップホップの曲入ってるかなあ……? あ、今マイヘアと竹原ピストルの楽曲とオードリーのラジオしか入ってない。
R-指定 おい、お前ヒップホップアーティストやろ!(笑)
DJ松永 (iPhoneに持ち替えてしばらく試聴したあと)今たまたま目に入ったTARO SOUL & KEN THE 390の「GRAND CLOSING」を聴いたんですけど、このイヤフォンは音数が少ないクラブミュージックに適してる感じがします。「GRAND CLOSING」は主にキックで低音を担保していると思うんですが、いつも使っているSHUREのSE535はフラットでかなり明瞭に鳴るイヤフォンなので、逆にクラブで鳴ってるような臨場感は感じられないんですね。でもHA-FX99Xだと全体の音は多少詰まって聞こえますが、やはり低音の迫力は出ますね。「あ、このキックってこんな輪郭してたんだ」とも感じました。だいぶ印象が変わるから、別の聴き方ができて面白いですね。
R-指定 俺はケンドリック・ラマーの「i」と「King Kunta」を聴いたんやけど、このイヤフォンはロックよりもヒップホップを聴くのに向いてるかも。「King Kunta」は特にベースが立っているから、低音が強調されて、ガッと前にきた感じがした。こういう音数が少なくてシンプルな曲だと臨場感がより伝わるな。
R-指定(Creepy Nuts)
DJ松永 シンプルな曲だったら、俺らの「中学12年生」とかは? (HA-FX99X、SE535、APPLEのEarPodsで「中学12年生」を聴き比べたあと)……うん、なるほどね。この曲は基本パーカッションでリズムを作って、下にROLANDのTR-808でベースドラムを重ねたんですけど、808の聞こえ方はHA-FX99Xが一番いいですね。聴いてて楽しいかも。
R-指定 (「中学12年生」を試聴して)ああ、低音がいい感じに聞こえるな。
ステージでもイヤフォン装着
──松永さんは普段イヤフォンをどのように使い分けているんですか?
DJ松永 俺が普段使っているSE535は再生音がフラットかつ、本当にすべての楽器がキレイに聴けますね。演奏中の空気感まで伝わってきます。イヤフォンでちゃんといい音で聴きたいときはこれです。ただカナル型なので遮音性がよすぎて、外で使うとちょっと危ないです。しかも家でラジオを聴きながら家事とかしてると、チャイムの音が聞こえないんですよ。長時間付けてると耳が痛くなってもきますし。だからサクッと気楽にラジオとかを聴きたいときは、インナーイヤー型のEarPodsを使ってます。勿論音質の面では劣るけど、やっぱりSE535より手軽に扱えるのがいいですね。あとSE535だと、シュア掛け(コードを耳の上に回す装着方法)するのもひと手間ですし。最近めっきりインナーイヤー型のモデルが少なくて、カナル型ばっかり出回ってますが、インナーイヤー型のいいイヤフォンも欲しいですね……。
DJ松永(Creepy Nuts)
──ちなみにステージではどこのヘッドフォンを使っていますか?
DJ松永 実はライブ中のヘッドフォンにはまったくこだわりがないんです。みんなけっこうこだわってゴツいヘッドフォン使ってると思うんですけど、俺は音がなんとなく鳴ってるのがわかれば十分なので、このEarPodsを使っています。遮音性とかも全然気にしません。
──DJパフォーマンスのときもイヤフォンなんですね。
DJ松永 Creepy Nutsのライブだと頭出しのポイントを確認するときくらいにしか使わないし、なんならCueボタンでマーキングしているので、むしろイヤフォンすらなくても大丈夫です(笑)。ただ、俺がDJを担当しているTOC(Hilcrhyme)さんのステージはコンサートスタイルに近いので、曲間の頭出しが命なんです。それも音が聞こえれば十分なので、かなり昔、DJを始めたときに買った2000円ぐらいのヘッドフォンを使ってます。ただ、現場のモニタースピーカーからの返しの音作りはかなり気にしますね。そこ命です。
いい音を知らないといい曲は作れない
──松永さんはiPodでラジオを聴いていると話していましたが、R-指定さんは普段何を聴いてますか?
R-指定 俺も普段はラジオとか、落語を聴くことが多いですね。このPHILIPSのイヤフォンは2年ぐらい前に人からもらったものなんですけど、人の話し声を聴くのに適しているなと思います。
左からR-指定、DJ松永。
──音楽をじっくり聴くときは?
R-指定 俺は作る側ですけど、できるだけフラットな“素人耳”でおりたいので、スピーカーやヘッドフォンにはこだわらないようにしています。あまり専門的な耳になりすぎてしまうと、作り手にしかわからないような細かい部分にまでこだわって、感覚がズレてしまうんじゃないかなって。楽曲制作の際にはもちろんいい音でも聴きますけど、どこにでもあるようなラジカセとかパソコンのスピーカーでも聴くようにしています。リスナーがみんないい環境で音楽を聴いてるわけではないし、どんな環境でもカッコよく鳴る曲にしたくて。
DJ松永 俺は音を作る側だから、普段からよりいい音質で聴いて耳を鍛えようとは心がけています。現状まだまだではありますが、何がいい音かしっかり理解できるようにならないと、自分でそのいい音を作れるはずはないので。以前は自分の感覚任せでやっていたんですが、最近は勉強の大事さを痛感してます。
──2人で役割分担ができているんですね。
R-指定 はい。松永は作曲でしっかり足場を作る役割ですね。その足場が皿だとしたら、その上に誰が見てもうまそうな料理を乗っけるのが俺の仕事だと思ってます。
プロフィール
Creepy Nuts(R-指定&DJ松永)
MCバトルULTIMATE MC BATTLE大阪大会で5連覇、UMB GRAND CHAMPIONSHIPで3連覇を成し遂げた経歴を持つラッパー・R-指定と、DMC DJ CHANIONSHIP国内2位で、TOC(Hilcrhyme)のバックDJなどでも活躍するDJ松永による1MC1DJユニット。観客が投げたお題でR-指定がフリースタイルを披露する“聖徳太子フリースタイル”などを織り交ぜた、観客を巻き込むライブパフォーマンスで人気を集めている。2016年1月に1stミニアルバム「たりないふたり」をリリース。
- Creepy Nuts(R-指定&DJ松永)「たりないふたり」
- 2016年1月20日発売
[CD] 1620円
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2016年12月21日更新