家入レオ×edda|似てる? 似てない? 好対照の福岡女子対談

主人公に一番合うメロディを探して

──ではここからはお二人の新曲について伺います。まずeddaさんは「フラワーステップ」をリリースされましたね。

edda

edda 「フラワーステップ」は、体に花が咲いてしまう病になってしまった主人公が、花束になってしまう前に君に会いに行くお話の楽曲です。これまでは答えに行く手前で止めていた歌詞がほとんどでしたけど、今回はカップリングの「ミラージュ」共々、より明確な答えを出しちゃった感じと言うか(笑)。

──アレンジも印象的ですよね。「フラワーステップ」は湯浅篤さんがアレンジで、「ミラージュ」はミワコウダイさんが共同で作詞作曲と編曲に参加されていますが、どちらの曲もアレンジのイメージは、聴きやすく、より多くのリスナーに届きそうな印象があって。

edda いつも音作りでは、主人公に一番合うメロディを探してるんです。つまりリスナーが歌詞から思い浮かべるような音ではなく、主人公が求めている音です。「フラワーステップ」の主人公の子は「君に会いたい」という思いが一番にあって、それ以外のことは悩んでいない。その気持ちに音をあてたら、こういうメロディとアレンジになりました。ちょっと鈍臭いんだけど、それでもちょっとがんばってる健気さが音に反映されたことで、明るくポップな音になったんだと思います。「ミラージュ」も主人公の心情から、最後のAメロまではかわいくて、ただバカみたいに明るい音にしたいと思いました。これは鏡に映った自分を、自分と認識できずに恋をしてしまう主人公の物語なんですけど、最後に血が流れることで曲がガラっと変わる。ちょっとショートホラーみたいな感じですね。

──後半から曲調が変わる感じなど、アレンジは曲作りの段階からきちんと想定されているんですか?

edda わりと曲を作り出す段階から目標を置いていますね。自分が詞曲を手がけるときは、まず物語を作って、そのストーリーに合う言葉と音を用意して、曲を作ってからアレンジャーさんと相談します。そこでリスナーに伝えたい箇所を音に換えて表現するように心がけています。

──昨秋のデビューから今作までの間で、何か変化は感じますか?

edda 最近は光栄なことにタイアップが増えてきました。そうするとあまりに現実離れしたワードは敬遠されそうなんですが、私はファンタジーの世界でしか生きてないので、そこをうまくかいくぐって楽しめたらと思っています(笑)。「フラワーステップ」もドラマ(「探偵が早すぎる」)の主題歌で、最初は「ヒロインの気持ちを投影させてほしい」という制作サイドのオファーをもとに書き始めました。完成してみたら体に花が咲いちゃったんですけど(笑)。

自分が苦しめば苦しむほど曲がよくなっていく

──次は家入さんです。リリースされたばかりの「もし君を許せたら」もドラマ主題歌ですね。

家入 はい。私もまずはプロデューサーの方からドラマの大まかな流れを聞いて、次に脚本を読みました。

──作詞は杉山勝彦さん、作曲はJazzin' parkの久保田慎吾さんと栗原暁さん。これ、実はけっこうレアなタッグですよね?

家入 そうなんです。杉山さんは詞曲がセットのお仕事のほうが多い方なので。最初にこのメロディをもらったときに、すごくスタイリッシュだと思いました。すると同時に、直感的に、歌詞は違う方にお願いしたいと思ったんです。そこで人間の繊細な心模様を描くのが上手な方として、すぐに杉山さんが頭に浮かびました。

家入レオ

──先ほどまでの対談で出てきた「答えを出さない感じ」「バッドエンド」で言えば、この曲の歌詞はまさにそうだと言えますね。

家入 まさしく。作るうえでも歌ううえでも、自分が苦しめば苦しむほど曲がよくなっていくような気がします。そういう意味でも、今回はとてもいい勉強をさせてもらいました。

──カップリングは家入さん自身が詞曲を手がけた「めがね」です。

家入 最初このシングルをリリースするときに、「もし君を許せたら」と「あおぞら」を収録することが決まっていたので、どちらの曲もある程度の心構えが必要な曲だったこともあって、もっとラフに聴けるポップな曲も入れたいと思って。1年くらい前に自宅のピアノで制作したデモから仕上げていきました。

──歌詞の主人公と言うか、家入さんが部屋にいる姿が浮かびます。

家入 本当ですか? 実は私、すごく目が悪くて。瓶底みたいな厚さのレンズのめがねをかけていて。その姿を絶対に誰にも見せたくない。そういう自分が誰にも明かしたくない姿を受け入れてくれる人が存在するのは、くすぐったいけどうれしいことなんだなあという思いを歌っています。

──水野良樹さん作曲の「あおぞら」については?

家入 水野さんの曲はライブで歌えば歌うほど思いが大きくなる曲だなって。人を選ばない、親切なメロディだからこそ、どの世代にも、どの場所にもなじむような気がします。私が書いた歌詞も、幼い子たちや何かに一生懸命になっている人に向けた内容で、互いに力を出し合って、ハートフルな曲に仕上げることができました。

自分では気付けなかった自分に出会えた

──最後に、それぞれ今日の対談はいかがでしたか?

家入 よりeddaさんの素敵な部分がわかりました。それと、誰かと話すことで、自分では気付けなかった自分に出会えるのも楽しかったですね。実は私、「フラワーステップ」を聴いたとき、真っ先に嶽本野ばらさんの「鱗姫」を思い出したんですよ。

edda そうなんですか?

家入 うん。肌が魚の鱗になっていく話で、それこそ私、それを読んでから魚の鱗がダメになったくらい強烈なバッドエンドなんですけど(笑)。でも楽曲のアレンジはあんなに明るいし、やっぱりeddaさんのバランス感覚はすごいなあって。

edda ありがとうございます。私はレオちゃんの「めがね」や「あおぞら」のような、「もし君を許せたら」よりは明るく聞こえる歌からも、やっぱりどこかにじむような悲しさが感じられて。それが声のせいなのか、レオちゃんが持っている芯の部分なのかまではつかみきれていないんですが。

──それぞれ似ている部分と似ていない部分があるんですね。いつか二人で同時に同じ映画を観て、クロスレビューを書いてみたら面白いかもしれませんね。

家入edda 確かに!(笑)

左から家入レオ、edda。