「ヒプマイ」新作EP特集|木島隆一&キスマイ宮田俊哉インタビュー、EPの楽曲提供者コメントも (2/4)

随所に宮田さんのオタクの素養が感じられた

──先ほどお話にあった通り、「ポジティブ my life」はキスマイの宮田俊哉さんが作詞を担当されています。

今回のEP全体のテーマが「フェス」で、ラップだけじゃなく、ボーカル曲が収められるということだったので、どんな曲になるのか予想もつかなかったし、ワクワクしていたんですね。そうしたら、キスマイの宮田さんというまったく予想もしていなかった方のお名前が出たので、「やるな! スタッフ!」という気持ちと、「やってくれたな! スタッフ!」という気持ちを同時に感じました。

──ははは。確かに宮田さんが作詞というのはなかなか予想できないですね。

そうですよね。でも歌詞を読んだときに、「ヒプマイ」や一二三のことを理解してくださっていることがしっかり伝わってきました。一二三というキャラクターのイメージをしっかり丁寧に吸い上げて、さらに新しい切り口で歌詞を作っていただけたのは、本当にうれしい。もともとアニメやサブカルチャーなどの造詣が深い方なのは存じ上げていたんですけど、「歌詞まで書けるんだ。宮田さんすごいな。カッコいいな」と純粋に思いましたね。

木島隆一

──月蝕會議が手がけるチップチューン調のサウンドと、宮田さんが描くRPGゲームのような世界観の組み合わせも、一二三のソロ曲の方向性としては今までにない側面が現れていますね。

今回は「オフの一二三」「ジャケットを着ていない一二三」がテーマになるということはスタッフさんから聞かされていたので待ち構えていたら、そのテーマにピッタリの曲が届いて。

──歌詞を読んでどのように感じられましたか?

一二三は学生の頃はこういうゲームやってたんだろうな、というイメージがすぐに浮かびました。1人でプレイするんじゃなくて、みんなを巻き込んで一緒に楽しんでたんだろうなと。それを宮田さんがイメージして言葉にしてくださったんだと感じました。そして歌詞の随所に宮田さんのオタクの素養が感じられますよね。「魅せプ」「姫プ」みたいなワードは、普段からゲームをされている方ならではの言葉のチョイスだなと。僕自身しっかり理解できていない部分があって、レコーディングのときに、「『姫プ決めて守られたい』……なるほど、これは一二三が別のプレイヤーに守られたいということなんですね」という質問をした記憶があります(笑)。

──確かに、ゲームに精通していないとなかなか出てこないワードですね(笑)。

あと、もう1つ魅力的に感じた歌詞は「絆」。これは「ヒプマイ」の大きなテーマであると思うし、「ヒプマイ」の曲でこの言葉が出てくると、心をぎゅっとつかまれたような気持ちになるんです。だから「最強装備はキミとの絆とノリ」という言葉は、まさに「ヒプマイ」と一二三にぴったりの言葉だと思う。そして「見つけた! お前がラスボス」からのくだりも印象的で。戦うのかなと思ったら「仲間になろうぜ」「誰も傷付けず全クリしちゃおー!!」と言うのも、人の痛みのわかる一二三だからこそ。そういう歌詞からも、宮田さんが彼を、「ヒプマイ」を理解してくださっていることが伝わってきました。

──レコーディングはいかがでしたか?

ボーカル曲でありながら、全体的にセリフ調の部分が多いので、普段自分がやっている声優としての仕事と近く感じましたね。「シャンパンゴールド」は初めてのソロということもあって、収録にかなり時間がかかったし、「パーティーを止めないで」も、かなり時間をかけたんですよね。でも、この「ポジティブ my life」は一瞬で録り終わりました。自分としてもすごく歌いやすくて、スタッフさんからすぐにOKが出たんです。でも歌いながらアイデアが次から次へと湧いてきて、自分からお願いしていろんなテイクを重ねて、完成形にたどり着きましたね。曲のタイトル通り、すごくポジティブなレコーディングができました。

──歌い方もこれまでのソロ曲のように色気を出してキメるというよりも、明るくフラットなテイストを感じました。

純粋に歌ってることを楽しんでいる感じにしようと。一二三はいろんな音程を使って言葉を発するんですよね。特にジャケットを着ていないときは、しゃくったり、すごく高い音を使ったりと幅があるんです。そういう部分をこの曲では出せたので、より一二三らしさを感じていただけるんじゃないかと思いますね。

──“with HOODs”の合いの手もキュートですよね。

特にナゴヤ・ディビジョンBad Ass Templeの四十物あいもの十四じゅうし(CV:榊原優希)の声が粒立ってますよね。「チョリース」と言う十四の声が響く響く(笑)。ほかのディビジョンのメンバーも、この曲を一緒に盛り上げてくれてうれしいです。

木島隆一

ハードなラップ曲をソロでやりたい

──話は少しずれるのですが、木島さんにとって「ポジティブ」のイメージは?

周りのことを明るくできる人、じゃないかな。笑顔の影響力が強い人、一緒にいたら元気になっちゃう人っていますよね。まさに一二三みたいな人。僕としても一二三を演じていると、自然と笑顔になるんですよね。それが彼の魅力だと思います。だから、ポジティブ=一二三なんじゃないかな。「ポジティブ my life」はそんな彼のポジティブな部分を凝縮した曲なので、リスナーの方にはぜひ出勤や登校のお供にしていただいて、明るくポジティブになってほしいですね。

──今回のEPの「フェス」というテーマについてはどう思われますか?

ドラマトラックでは武力ではなくラップで争いを解決するために開発された“ヒプノシスマイク”が使えなくなった、というストーリーが描かれていて。そうなったときに音楽の力を信じているディビジョンメンバーたちが一致団結してフェスを行うのは、自然な流れなのかなと思いましたね。その結果バラエティに富んだ楽曲が収録されたEPになったと思います。ただ、1つだけ残念だったのは、誰も演歌を歌わなかったことですね。寂雷先生の演歌が聴きたかった(笑)。

──ははは。

演歌の歌い方は一朝一夕でできるものじゃないから難しいのだろうなとは思いますが、ナゴヤ・ディビジョンBad Ass Templeの天国あまぐにひとや(CV:竹内栄治)やオオサカ・ディビジョンどついたれ本舗の天谷奴あまやどれい(CV:黒田崇矢)とか、いぶし銀なキャラクターには今後そんな機会があってもいいんじゃないかな……とか勝手なこと言ってます(笑)。一二三に関して言えば、ハードなラップ曲をソロでやってみたいですね。

──確かに一二三のソロは軽やかな楽曲が中心ですね。

これまでのシンジュクのディビジョン曲を通して、ラップのテクニックを少しは得たとは思うので、一度ガチガチのラップ曲をソロでやってみたいですね。イケブクロ・ディビジョンBuster Bros!!!の山田一郎(CV:木村昴)のように、“ザ・ラップ!”という曲を担当しているキャラクターがいるので、そのバランスもあると思うんですけどね。自分でハードルを上げている気もしますが、いつかはチャレンジしてみたいです。

──今回のEPではドラマトラックでも大きな展開を迎えていますね。

自分としては、一二三の女性恐怖症がどうなっていくのかが気になりますね。またそうなった原因に関与している邪答院けいとういん仄仄ほのぼのの本心も。今後の展開は僕も予想できないですけど、そういういろいろな問題を解決するのは音楽の力だと思っています。「ヒプマイ」の根底に音楽があるという部分は、これからも変わらないと思うんですよね。どんなふうに物語が進んだとしても、ディビジョンメンバー18人が音楽でポジティブな方向に進めてくれると信じています。「ヒプマイ」を応援してくれる方にも、同じように信じていただけるとうれしいなって。

木島隆一

──では、これからの一二三に期待することは?

これからも変わらずカッコいい男であり続けて、ずっと子猫ちゃんを元気付ける存在でいてほしい。でも、年齢を考えると、ホストの次のキャリアを考えるタイミングに差しかかってはきてると思うんですよね。独立して経営者側に回るのか、ほかの業種を始めるのか、それともこのまま現役でホストを続けるのか……楽しみですね。

──ははは。セカンドキャリアの心配ですか(笑)。

魅力的な人物ですから、何をやっても成功しそうですけどね(笑)。一二三は濃く、深みのあるキャラクターなので。そして、その濃さや深みを「ポジティブ my life」で表現してくださった宮田さんには、改めて感謝です。本当にありがとうございます。

プロフィール

木島隆一(キジマリュウイチ)

3月29日生まれ、北海道出身の声優。代表作はテレビアニメ「GOD EATER」「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」、音楽原作キャラクターラッププロジェクト「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」など。