「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 2nd D.R.B Bad Ass Temple VS 麻天狼」特集 葉山翔太×速水奨×KEN THE 390|それぞれが抱える闇を乗り越えて目指す、光差す場所

音楽原作キャラクターラッププロジェクト「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」では、作中に登場する6つの区画代表チーム、ディビジョンがトーナメント形式で対戦する「2nd Division Rap Battle」を展開中。各試合の勝敗は2月に行われた無観客配信ライブ、2月末から3月にかけて発売されるCDシリーズ、キャラクターがバーチャル空間でバトルを行う「VR BATTLE」へのファン投票によって決定される。

これに合わせて、音楽ナタリーでは各試合にフォーカスした特集を3本展開。今回はナゴヤ・ディビジョン“Bad Ass Temple”とシンジュク・ディビジョン“麻天狼”の試合の特集として、ナゴヤのリーダー波羅夷空却を演じる葉山翔太とシンジュクのリーダー神宮寺寂雷を演じる速水奨、そして2つのディビジョンのバトル曲である「Light & Shadow」のリリックを手がけたKEN THE 390へのインタビューを公開する。また特集の後半には各ディビジョン曲の作詞を担当したアフロ(MOROHA)、GADOROからのコメントも掲載している。

取材・文 / 三浦良純 撮影 / 森好弘

倒し甲斐があるディフェンディングチャンピオン

──3人がこうしてそろうのは今回が初めてですか?

葉山翔太 はい、KEN THE 390さんとお会いするのは初めてです! でも、実は僕、5th LIVEに挑む前にインスピレーションを得ようと思って、KEN THE 390さんのライブにプライベートでお邪魔したことがあるんですよ。DOTAMAさんと競演されていたイベントで。

KEN THE 390 マジっすか!

葉山 アーティストさんのライブを直接観ること自体が初めてだったんですよね。DVDとかでライブ映像を観たことはあったんですけど、現場に直接足を運んだら、すごい熱気を感じて感動しました。「ヒプマイ」に関わるまで、ラップも全然聴いてこなかったので、その後もKREVAさんのライブに行ったり、「凱旋MC Battle」というMCバトルイベントを観に行ってバチバチ感を学んだりもして。

速水奨 僕もラップは親がね、「やっちゃダメ」って……。

葉山 親の言い付けで最近までずっとやってこなかったって律儀ですね(笑)。

KEN THE 390 でも、めちゃめちゃラップ上手なので、それまで経験してなかったってビックリしますね。ラップしてるのを聴いて、これまでちゃんとヒップホップを聴いてきたんだろうなって思ったんですよ。

葉山 全然そんなことなくて……僕ひしひしと感じるんですけど、「ヒプマイ」の曲ってどんどん難しくなってますよね。

速水 そうだよ。

一同 (笑)。

葉山 速水さんは初めからずっと「ヒプマイ」に関わっていらっしゃるから、よくご存知ですよね(笑)。

速水 何気に一番レコーディングしてるんだよ。前回のバトルシーズンで優勝してるし(参照:ヒプノシスマイク「The Champion」発売記念 Zeebra×速水奨×木村昴)。

KEN THE 390 声優の皆さんがどんどん上手になっていることをラッパーの側も認識してるから、普通に書くようになってるんだと思います。歌えるかなとか考えずに「これがいいでしょ」って出してきている感じ。

左から葉山翔太、KEN THE 390、速水奨。

──葉山さんが所属するナゴヤと速水さんが所属するシンジュクはこれから対決するわけですが、お互いのディビジョンについて、どんなイメージを持っていますか?

速水 ナゴヤは6つのディビジョンの中でも圧倒的に若さと勢いを持ってますよね。あと楽しそうです。

葉山 ハハハ(笑)。

速水 本当に楽しそうですよ、あなたたち。

葉山 僕らナゴヤのチームはすごくラフな感じで、「アットホームだよね」って言われるんですよ。

速水 いいと思います。大阪城ホールのライブに初めて現れたときも「遊びに来たのかな?」みたいな感じだったよね(参照:ヒプノシスマイク4thライブ2日目で熾烈なバトル展開、餓鬼レンジャーや山嵐とのコラボも)。

葉山翔太

葉山 舞台上では楽しさと喜びもあってそう見えたのかもしれません(笑)。裏ではとても緊張してました。前日のライブでお披露目になったオオサカ・ディビジョンに対してどんな反応があったのか、会場に向かうバスの中で検索したりもしていて。でも、今回のバトルは単純に楽しみですね。ナゴヤは初めてのバトルなんですけど、いきなり前回のチャンピオンと当たれるのは、とても光栄なことですし、真っ向勝負で素直に自分たちの力をぶつけ合ったら、絶対いいものが生まれるって確信に近いものがあります。シンジュクは僕らの先輩であり、すごく頼れる存在であり、かつ……。

速水 倒し甲斐がある。

一同 (笑)。

葉山 そう言わせていただいてもいいですか?(笑) 僕らてっぺんを取りたいと思っていますし、最初に倒し甲斐のある麻天狼と当たれてよかったです。

速水 ナゴヤはとにかくパワーで向かってくると思うんですけど、シンジュクはそれをヒュッと吸収して、ナゴヤががんばりすぎて倒れるのを待ちます。

葉山 麻天狼がキャパオーバーするくらいのパワーをぶつけてやります!

──お互い「絶対負けたくない」という気持ちですか?

葉山 負けたときのことは考えてないですね。とにかく全力を出し切る。勝ち負けも大事ですけど、今回は1対1のバトルでそれぞれの色が強く出せるので、お互いのチームのよさを存分に出していけたらと思いますね。

速水 応援してくださるファンの皆さんもいるわけで、期待を裏切るようなバトルはしたくないし、負けたくないという気持ちもありつつ、それを超えて楽しみな気持ちのほうが勝っている気がしますね。

葉山 結果が出るのもけっこう先ですからね(笑)。

速水 これから6チームが3チームになるんだよね。今回のバトルって勝ち負けの判定が複雑じゃないですか。ライブだけでもないし、CDだけじゃないし、「VR BATTLE」もあって、全部の総合でしょ? 最後に僕が1万点を持ってたらうれしいんだけどな。

一同 (笑)。

KEN THE 390 一存で決められる(笑)。

速水 シンジュクはディフェンディングチャンピオンなんだから、シード扱いにしてほしかったですね(笑)。

お互いの思いを理解し合って成長する1曲

──ナゴヤとシンジュクのバトル曲「Light & Shadow」を提供したKEN THE 390さんは、それぞれのディビジョンについて、どんなイメージを持っていましたか?

KEN THE 390 それぞれのディビジョンの2番手、3番手のキャラクターが特にそうなんですが、ちょっと影があって、過去にいろんなことを乗り越えてきていたり、これから乗り越えようとしたりしている感じがあると思うんですよね。以前、僕が書いたシブヤとシンジュクのバトル曲「BATTLE BATTLE BATTLE」は格闘技のすごい試合みたいなシンプルなイメージだったんですけど、今回の「Light & Shadow」は単なる殴り合いじゃなくて、それぞれが乗り越えてきた過去の話をぶつけ合って、会話が成立するようなものにしたいと思って書きました。

葉山 レコーディング時もガツガツいくよりは、騎士道的なイメージで自分を律してバトルしましょうってディレクションがありました。

速水 僕が初めて聴いたときは、ガン(銃)を持ってる感じをイメージしたな。

葉山 ああ、風がヒューって吹いてて(笑)。

KEN THE 390 馬に乗りたくなるような感じ(笑)。マンガとかでもありますけど、戦っていく中でお互いが理解し合って、バトルが終わったら成長しているような曲にしたくて。

速水 1本のシネマのようですよね。本当に1曲の中でキャラが成長している。

──6分以上あって、とても壮大ですよね。

速水奨

速水 6分もあるんだ。もう2曲分じゃないですか。

KEN THE 390 僕は構成をいただいてから書く立場だったんですけど、けっこう長いなって思いましたね(笑)。

速水 最初に歌詞をいただいたときに文字の多さに驚きましたね。歌詞カードの文字の大きさはどのくらいになるんだろう。僕は読めないんじゃないかな(笑)。でも、歌っていると全然長さを感じないし、爽快感もあるんですよね。

葉山 すごく潔く終わるイメージもありますね。

速水 あっという間に最後の「いざ決着 光差す その場所へ」になっちゃうもんね。


2021年3月24日更新