ヒプノシスマイク「The Champion」 PR

ヒプノシスマイク「The Champion」発売記念 Zeebra×速水奨×木村昴鼎談|走り続けるレジェンドが伝えるシーンの伝統と最新トレンド

人気声優たちが豪華作家陣による提供曲をラップするプロジェクト「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」の新作CD「The Champion」が2月27日にリリースされた。

2017年9月の始動後、爆発的な広がりを見せている「ヒプノシスマイク」。新作CD「The Champion」は、作中に登場する4つのチームが競うユーザー参加型企画「Battle Season」の結果、シンジュク・ディビジョンの麻天狼が優勝したことを記念して発売された。表題曲「The Champion」には日本のヒップホップシーンの草分け的存在であるZeebraが参加。KOHHをはじめとする多数のラッパーにトラックを提供するビートメイカー・理貴と共にプロデュースを担当した。

コミックナタリーでの特集(参照:「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」特集、木村昴(山田一郎役)×服部昇大対談)に続き、今回音楽ナタリーでは、Zeebraと麻天狼のリーダー・神宮寺寂雷を演じる速水奨に加えて、イケブクロ・ディビジョンBuster Bros!!!のリーダー・山田一郎を演じ、自身を“ヒップホップ育ち”と語る木村昴を迎えた鼎談を企画。ヒップホップシーンの活性化という観点から見た「ヒプマイ」の魅力やトレンドを取り入れた新曲「The Champion」の制作エピソード、それぞれが今後「ヒプマイ」に期待することなどを語ってもらった。

取材・文 / 三浦良純 撮影 / cherry chill will.

Zeebraさんもヒューマンなんだ

──こうして3人が集まるのはこれが初めて(取材は2月中旬に実施)とのことですが、もともとはZeebraさんがプレゼンテーターとして出演予定だった昨年末の優勝発表会で顔を合わせる予定だったんですよね(参照:Zeebra、インフルエンザのためヒプマイFinal Battle優勝発表会を欠席)。

トーナメント戦の結果、シンジュク・ディビジョン麻天狼が優勝。

Zeebra そう! 本当に残念だったなあ。インフルエンザが発覚した日、何も考えずに「熱があるな」ってツイートしたんですけど、病院に行く途中で明後日は優勝発表会じゃんって気付いて。それで、やっぱりインフルエンザだったって呟いたら「ヒプマイ」ファンの方々からすごく反応があって、これは大変なことになるな……と(笑)。

木村昴 あの場に立ち会っていただきたい気持ちは大いにあったし、残念だったんですけども、実は内心ホッとしていたんです。本当にめちゃくちゃ緊張していたので……。Zeebraさんの前で僕がMCか……と思うとうわー!って(笑)。

Zeebra ははは(笑)。

速水奨 僕はZeebraさんもインフルエンザになるんだなと思いました。ヒューマンなんだと。

木村 (笑)。

Zeebra それはけっこうみんなに言われますね(笑)。想像上の生き物じゃなかったのかみたいな。

ヒップホップシーンにとって絶対プラス

──Zeebraさんは主宰するレーベル・GRAND MASTERに所属するEGOさんが「WAR WAR WAR」(2018年5月発売のCD「Buster Bros!!! VS MAD TRIGGER CREW」収録曲)のリリックを担当したことで「ヒプマイ」を知ったと伺いました。日々ヒップホップシーンの活性化に向けて活動しているZeebraさんから見て、「ヒプマイ」という企画はどう映りましたか?

山田一郎(CV:木村昴)

Zeebra 初めに「声優の人がキャラクターとしてラップをやる」と聞いたときはやっぱり「え?」って二度聞き、三度聞きくらいしてしまったんですけど、よく聞いてみたら企画力がすごいなと感心しましたね。自分も最近は企画側に回ることが多いので、いいじゃんいいじゃんって。EGOは「TOKYO TRIBE」(園子温監督の映画作品)のラップの指導もやっていたので、「ヒプマイ」もぜひやらせてもらったほうがいいよってEGOには言いましたね。そのときからいつか自分も関わることになるかもなとは思っていたんですが、あれよあれよと盛り上がって。オファーをもらったときは「ついに来たか」と。

──もともと好意的な印象をお持ちだったんですね。日本のヒップホップシーン全体に対して、「ヒプマイ」はどういう役割を果たすと思いますか?

Zeebra ヒップホップとラップは同意義ではないんですよ。ヒップホップはラップを含むカルチャー全体を表し、ラップは歌い方を表す。ラップに関しては誰がラップをしても全然問題ないし、ヒップホップと正反対なことを言っていてもラップはラップ。例えば自分で歌詞を書かないアイドルの子たちがラップをすることについても、日本は韻を踏むという文化があんまりないから、その文化になじんでくれる人が増えるだけでもいいなと思っていて。「WREP」(Zeebraが開局したヒップホップ専門ラジオ局)にもRHYMEBERRYのMIRIちゃんがいるし、以前はりりぽん(元NMB48の須藤凜々花)がいたし。そんな中で「ヒプマイ」については参加メンバーに本気でヒップホップが好きな奴がいるとも聞いていたし、ヒップホップシーン全体にとって絶対プラスになるなと。作詞作曲で参加している若い子や中堅どころのラッパーは印税をいただくことで自分の活動資金も得られるという面もあるし。本当にプラスしかないですね。

共通項は“知識欲”

木村 「ヒプマイ」ファンの方たちは、やっぱりヒップホップに触れてこなかった方が大半ではあるんですけど「ヒプマイ」を通してヒップホップの歴史だったり、いろいろなラップのスタイルをどんどん知っていってくれているんです。アニメや声優ファンは好きなものに対して他人より詳しくなりたいという気持ちが非常に強い方々が多いので、例えば僕がバスタ・ライムスをオススメしたら「バスタ・ライムスってLeaders Of The New Schoolの人ですか?」と返してくる人たちがいる。どんどんディグっているんです。

左から速水奨、Zeebra、木村昴。

Zeebra その図式って1990年代のヒップホップシーンとまんま同じだよね。知らなきゃいけないわけじゃないけど、ルーツを知ってる奴がエラいみたいなことはヒップホップファンの間でもモロにあったんです。だから、そういう意味ではアニメファンや声優ファンもヒップホップファンと近いタイプの人間だと思うし、ヒップホップにハマる要素はあるんじゃないかと思う。

木村 一見両極端だと思われがちだし、僕らもそう思っていたんですけど、フタを開けて見たらかなり近いところにいるんじゃないかと。

Zeebra 俺がアニメファンとヒップホップファンの近さを感じ始めたのはTwitterを始めてから。アニメアイコンの人から自分にリプライがくるんだけど、そういう人たちが意外とみんなヒップホップを知っているんですよ。初めのうちはラッパーがそういうアイコンの人たちと絡むのはどうなんだって空気があったんだけど、接しているうちにこいつらすごい詳しいぞ、すげえ掘ってるぞってわかってきて。普通にヒップホップヘッズなんですよ。ただ、趣味の一番大きいところがアニメで、次がヒップホップみたいな感じ。それで、そこをつなぐ共通項はやっぱり知識欲なのかなと思います。ほかの音楽ってもっと感覚的というか、あんまり説明ができないと思うんですけど、ヒップホップはこの曲が元ネタとか、このアーティストがブレイクしたのはこのアーティストにフィーチャリングされたからとか、そういうことがハッキリしていて、実は説明がしやすい。そういう面が知識欲を持つ人にハマるのかなと。

木村 知識欲を持つアニメファンや声優ファンの方が「ヒプマイ」を通してラップミュージックにハマって本物のラッパーを知ろうとするのはある意味、必然の流れなんですよね。

Zeebra

Zeebra 実際その知識欲にすごく恩恵を受けていますね。「ヒプマイ」のリリックについて、「このフレーズの元はこのライン?」「Zeebraのオマージュ?」みたいにツイートしている人をよく見かけるんですよ。

木村 自分は子供の頃からラップミュージックファンなので、偉大なラッパーの方をみんなに知ってくれ、掘ってくれって意味も込めて、リリックの中に皆さんを連想させるフレーズを入れたり、よく言えばサンプリングして、そのまま歌詞を入れさせてもらってるんです。

Zeebra ヒップホップ的には全然アリだよね。「The Champion」にももっと自分の歌詞を入れておけばよかった(笑)。

木村 そうやって自分が好きなラップを聴く人が増えてほしいと思って、やっていることがちょっとずつ実を結んでいるのが……マジでうれしい。「ね? ラップってヤバいでしょ?」って。

Zeebra 大成功でしょ。

木村 Zeebraさんにそう言ってもらえたら、もう……やったぜ!