Kenが入ることで増す曲の説得力
──ライブはHYDEさんを含め、ダブルカルテットやコーラスを含む19人編成での豪華なステージになると伺いました。
ストリングスが入ると新鮮だし、楽しいですね。歌っていて感情的になると言うか。シーケンスから音を出すのとは違いますね。
──生のコーラスが入るのもこの公演ならではですね。
CDと同じように曲を再現するには、ハーモニーって重要だなと思って。今回は男女2人のコーラスで、男性は僕の声に沿った人に依頼しました。女性のコーラスは「ROENTGEN」の英語版の歌詞を一緒に作った方(リン・ホブデイ)なんです。その方もアーティストとして活躍してて、15年ぶりに仕事をするのが楽しみです。
──まだアイデアを練っている状況かと思いますが、「ROENTGEN」の曲以外にどんな曲を披露する予定ですか?
富良野で開催する「黑ミサ」で披露した曲はだいたいやりますね。「黑ミサ TOKYO」は富良野に来られない人のためにやるようなライブなので。あと、Kenさんがゲストで来てくれるのでL'Arc-en-Cielの曲も演奏予定です。Kenさんの作る深い楽曲は僕も大ファンなので。せっかく彼が来てくれるので、彼が作曲したディープな曲をやりたいなと思ってます。
──そのKenさんの参加はどんな形で決まったんでしょうか?
なんとなく……彼がギター弾きたいだろうなって(笑)。ソロでラルクの曲をやるにしても、彼がいるとすごくリアリティや説得力が増すんです。オーケストレーションで彼の曲を演奏する場合、すごくいいアンサンブルになるんですよね。弦がハマりやすいと言うか。僕らもミュージシャンとしてプロだけど、オーケストラで弾いてる人って違うレベルのプロなんですよね。Kenさんはそういう人たちと演奏するのが好きだろうなと思って。あとはお互いにいいところを補い合えたら。僕も彼がギターを弾いてくれたらうれしいし。
──Kenさんとはライブの内容について相談をしてるんですか?
具体的にはまったく(笑)。でも大丈夫だと思います。
──絶大な信頼を寄せられてるんですね。
ふふふ(笑)。
──「黑ミサ」と言えば、ウインターソングのカバーも披露されていますよね。Wham!の「Last Christmas」とか。
そうですね。最近だと「レリゴー(Let It Go)」も歌いました(笑)。「Last Christmas」はもうやらないかな。まあ、「黑ミサ TOKYO」でも冬の曲を少しだけカバーしようかなと思ってます。
──富良野での「黑ミサ」の場合はライブとトークによる構成だそうですが、「黑ミサ TOKYO」は全編ライブという形ですよね? どんな構成になるんでしょうか?
1部、2部にわける形になるかな? まだ決まってないですけど。今回はKenさんが出てくるまでにどう抑揚を付けていくかが大事ですね。彼が出てくるところが、一番華やかだと思うので。そこに至るまでをしっとり仕上げたいな。着席形式だし、比較的落ち着いたトーンのライブになると思ってます。
──現時点でセットリストはどれくらいまで決まってるんですか?
90数%かな。あとは並びを見て足りない部分を足す感じです。
──アレンジの進捗はどうですか?
完成しているものもあれば、作ってる途中のものもある感じです。以前富良野で演奏している曲も何曲かありますが、今回はオーケストラバージョンなのでアレンジをやり直してます。
──ちなみに公演名に「黑ミサ TOKYO」とTOKYOが付いてる理由は?
会場は千葉の幕張メッセですけど、東京ディズニーランドと同じような感じです。僕がタイトルに「TOKYO」って付けたくて(笑)。
──そうでしたか。また今回はドレスコードとして「スマートカジュアル」が設けられてるそうですね。
はい。おしゃれして来てほしいんですね。その人なりにでいいので(笑)。富良野で「黑ミサ」をやると、みんなすごいおしゃれして来てくれて素敵なんです。これまであまりライブのドレスコードは設けてこなかったんですけど、お客さんもライブの雰囲気作りの重要なポイントなので。固苦しくしなくて良いので、それなりにおしゃれして来たほうがみんなの気持ちも高まると思うし、せっかくのクリスマスだしね。
──そんなHYDEさんの衣装のアイデアは?
まったく考えてないです! どうしようかな……僕だけジーンズとかダメですよね? 燕尾服とか用意しようかな(笑)。これから考えます。
「黑ミサ TOKYO」は鉄板です
──HYDEさんは今年、「黑ミサ TOKYO」を含めるとVAMPS、ラルク、ソロと3形態でライブを実施することになります。HYDEさんにとって「いいライブ」の基準ってなんでしょうか?
いろんな要素があるから難しいなあ。いい演奏ができたときもいいライブだけど、やっぱりお客さんが感動してるのがこっちにも伝わってくるのが「いいライブ」かな。VAMPSだったらお客さんが熱狂してたり。お客さんの心に自分の歌やパフォーマンスが届くのが一番かもしれません。
──それはご自身でパフォーマンス中に感じられるものなんでしょうか?
うーん……どうだろう? でも1つ言えるのは、今回の「黑ミサ TOKYO」は鉄板ですね。まず間違いなく感動できるものになると思います。めちゃめちゃ自信があります。
──その理由は?
アコースティックライブをやるのが初めてだったら、こんなことは言わないんですけど、何度か富良野でやってるからね。小編成でのステージだけど、いつもちゃんとお客さんに歌が届いているのがわかるんです。その手応えがあるのと「MTV Unplugged」やVAMPSでアコースティックライブをやってるので、なんとなく雰囲気が想像できる。しかも今回はKenさんも入るし鉄板ですよ。でも、抜かりのないように準備して、当日ちゃんとキメたいと思います。
──楽しみにしてます。
ずっとVAMPSで激しい曲を歌ってたので、とにかく今回のライブは僕自身新鮮です。今回は純粋に歌と曲で勝負する感じです。案外そういうHYDEを求めてる人が多いのは、僕も知ってて。演出などで下手に小細工せず、純粋にいい声でいい曲を歌う2日間を目指したいと思います。
──少し早いのですが2018年のHYDEさんの展望を教えていただけますか?
何も決まってないですね。あ、VAMPSは来年10周年らしいです。
──らしいですって……そんな他人事のように(笑)。
10周年とかあまり興味ないんです。6周年とか13周年のほうが興味あるんですよ。6周年は気付かない間に終わっちゃいましたが。そうですね……来年は曲を作ります! はい。
- HYDE(ハイド)
- L’Arc-en-Ciel、VAMPSのボーカリスト。1994年7月にL’Arc-en-Cielのメンバーとしてビデオシングル「眠りによせて」でメジャーデビューを果たし、1996年発売のアルバム「True」でのブレイク以降、「虹」「HONEY」「READY STEADY GO」など数々のヒット曲を生み出す。2001年10月に初のソロ作品となるシングル「evergreen」を、翌2002年3月にソロアルバム「ROENTGEN」を発表しL’Arc-en-Cielとは異なる静謐で独特の世界観を提示した。2008年にはL’Arc-en-Cielの活動と並行して、K.A.Z(G)とのロックユニットVAMPSを始動。日本のみならず、ワールドワイドにライブ活動を展開している。近年はDEAD END、globe、中島美嘉、D'ERLANGERのトリビュートアルバムに参加するなど多角的に活躍している。