音楽ナタリー Power Push - HUSKING BEE
20年目に再び集まった3人のメンバー
「俺たちのヒーローに歌わせるなんて、やってくれたな!」
──ゲストといえば11曲目の「Suffer」と、12曲目の「Puff」。今までにない展開の曲で、コーラスというよりボーカルとしてゲストがいる感覚ですね。
磯部 「Suffer」はMAN WITH A MISSIONのTokyo Tanakaさんがゲストで、掛け合いみたいに歌ってくれて。MAN WITH A MISSIONのメンバーはバンドを組む前、ハスキンのライブを観てくれていたんですって!
──アレ? 地球の最果てで結成されたんじゃなかったでしたっけ(笑)。
磯部 あ、地球の最果てでハスキンのライブを観てくれてたみたいです(笑)。「Puff」はちょっとレゲエっぽい曲を作りたくて。僕はわりと声を張って歌うんですけど、この曲はちょっと力を抜いて歌いたかったんです。もっとおじさんになったときも歌えている曲があったらいいな、そういう曲を今、作っておきたいなって思ったから。今もおじさんですけど(笑)。そんなことを思っていた頃に、自分がハスキンを始めるときのルーツだった人、すげえ尊敬している人とたまたま話す機会があって。
──元NUKEY PIKESのミツハシアツシさんですね。
磯部 はい。一緒に飲んで連絡先を交換して、「なんかあったら呼んでよ」って言われて。何があったら呼べばいいんだろうって思ったけど(笑)。
──少なくても風邪を引いたときじゃないでしょうね(笑)。
磯部 そのとき、市川くん(LOW IQ 01)も一緒にいたんですけど、市川くんがミツハシさんとしゃべってる間、僕は「いつ呼べばいいのだろう」ってずっと考えてた(笑)。それで帰り際に思い切って、「新曲作ってるんですけど、ちょっとお誘いしちゃおうかな」って言ったんです。そしたら「俺なんか誘っちゃダメだよ」だって。これは誘うしかないって思いましたね(笑)。その後、正式にお誘いしたら「俺なんか誘っちゃダメだよ」って言いながらも「スタジオには行くよ」って言ってくれたんで(笑)。それで歌っていただきました。
──うれしいですねー。
磯部 メチャメチャうれしかったです。この曲ではBACK DROP BOMBのタカ(白川貴善)にもゲストで歌ってもらったんですけど、BACK DROPとは同じ頃にバンドを始めて一緒にやってきた感覚があるし。僕は昔、マサ(小島真史 / BACK DROP BOMB)と一緒にNUKEY PIKESを観に行ってたから、マサはミツハシさんが歌ってくれたことについて「やってくれたな! 俺たちのヒーローに歌わせるなんて! こんなことハスキンにしかできない!」って何度も言って喜んでくれて。ホント、やってよかった。自分だけで歌ったらこういう気持ちにはならなかったかもしれないし。こういう気持ちで歌いたかった曲なので。
──20代の頃の自分がこの曲の中にはいて、今の自分も、未来の自分もいるのかもしれないですね。
磯部 そうそう。おじさんの人生の歌(笑)。
──おじさんの人生の歌でも、しみじみしてるんじゃなくて楽しいところがすごくいいですね。そして最後の「通りすがりの物語」はアコースティックで。
磯部 いつもアコースティックの曲で締めてきたので恒例というか。
──未来への祈り、願いが素直に出ている印象です。「武器なんかいらない未来を」っていう歌詞も、構えずに出てきたような感じがします。
磯部 思いがけず出てきた言葉なんです。「歌うときが来たようだ」っていうか、「歌えそうだな、歌いたいな、歌おう!」って。
──お子さんがいるのも大きいでしょうね。目の前に未来ある人がいるわけだから。
磯部 そうそう。君らのときはどんな未来になっているんだろうって思ったりして。武器も戦争もないほうがいい。それに尽きる。こういう歌詞が構えずに自然に出たのがよかったと思ってます。
3人で音を出す、ワクワクする、楽しい、それでいいじゃん
──あとジャケット。これは1stアルバム「GRIP」のジャケットに登場する少年と同じ人なんですね。
磯部 そうなんです。同じ人で同じ公園。彼とはずっと付き合いがあるんですが、あの少年が今は父親になっていて。それを聞いてしみじみしていたら「そうだ! また撮影しよう!」って思い付いたんです。で、撮影してるときに気付いたんですけど、このアルバムのリリース日って「GRIP」の発売から20年後なんですよね。
TEKKIN 「GRIP」ってWikipediaには1997年リリースって書いてあって、僕らもなんか違和感がありつつ、そうなんだと思ってたんだけど……。
磯部 ホントは96年だったんですよ。1996年12月発売。昔のフライヤーを見る機会があって、それで間違いに気付いた。
TEKKIN だからホント、20周年の節目だって意識したわけではなくて、たまたまなんですよね。このアルバムも「作るぞー!」って気負った感じはなく。たまたまいろんなことがつながって、このジャケットに自然にたどり着いたって感じです。
──そういう偶然をナチュラルにキャッチすることができた、ということですね。
TEKKIN うん。たぶん、音を出すのにあんまり理由はいらないんじゃないかって思ったんですよね。3人で音を出す、ワクワクする、楽しい、それでいいじゃんって。そしたら不思議といろんなことがつながって、こういうアルバムになったんですよね。
──なんだか、ライブもちょっと変わっていきそうですね。
TEKKIN 楽しいライブにしたい、それに尽きますよ。
磯部 最近ちょっと忘れかけていた、「一緒に歌える」ってことを意識しながら作ったアルバムなんです。ライブではお客さんも、心の中だけででもいいから一緒に歌ってほしいです。歌いたくなるような曲を作ったつもりだから……一緒に歌ってね!(笑)
収録曲
- Suolo
- Carry You
- Let We Go
- Across The Sensation
- Invisible Friends
- Grand Time
- Spitfire
- Blue Moon
- Compass Rose
- Nonesuch
- Suffer
- Puff
- 通りすがりの物語
HUSKING BEE「Paleosuolo Tour」
- 2017年1月20日(金)北海道 BESSIE HALL
- <出演者>
HUSKING BEE / and more - 2017年1月28日(土)大阪府 LIVE HOUSE Pangea
- <出演者>
HUSKING BEE / and more - 2017年1月29日(日)愛知県 池下CLUB UPSET
- <出演者>
HUSKING BEE / and more - 2017年2月11日(土・祝)東京都 TSUTAYA O-WEST
- <出演者>
HUSKING BEE / and more - 2017年2月12日(日)宮城県 FLYING SON
- <出演者>
HUSKING BEE / and more - 2017年2月18日(土)福岡県 LIVE HOUSE CB
- <出演者>
HUSKING BEE / BACK DROP BOMB / the PRACTICE - 2017年2月19日(日)広島県 HIROSHIMA 4.14
- <出演者>
HUSKING BEE / BACK DROP BOMB
HUSKING BEE(ハスキングビー)
磯部正文(G, Vo)、平林一哉(G, Vo)、工藤哲也(B, Cho)による3人組バンド。1994年7月結成。1996年12月に横山健プロデュースで発表した1stアルバム「GRIP」が話題を集め、一躍メロディックパンクシーンを牽引する存在になった。フェス出演や海外リリースなどを行いつつ計5枚のアルバムを発表するが、2005年3月に解散。2012年2月に行われたイベント「DEVILOCK NIGHT FINAL」のステージで再結成を果たし、同年9月の「AIR JAM 2012」にて本格的な活動再開を宣言した。2013年2月に9年ぶりのオリジナルアルバム「SOMA」をリリース。バンドを離脱していた工藤哲也が2016年4月に再加入し、同年12月にアルバム「Suolo」を発表した。