音楽ナタリー Power Push - HUSKING BEE

20年目に再び集まった3人のメンバー

お客さんがどう思うかが楽しみになってきた

──ゲストも参加しているので広がりがありバラエティに富んでいるけど、ナチュラルだしスコーンと胸に入ってくるアルバムだと思います。

TEKKIN 実際、練り込んで作ったりはしてないですしね。サポートで入ってくれているTADAAKI(TADAAKI "TDC" FUKUDA / SCAFULL KING)くんのドラムの存在が大きいと思います。例えば3曲ずつ誰かに叩いてもらうんじゃなく、トータルで叩いてくれているので、統一感や雰囲気はTADAAKIくんのおかげですごく出ている。

──TADAAKIさんも同じ時代、同じような現場でやってきたわけで、そういう人と一緒にやりたかった?

工藤哲也(B, Cho)

TEKKIN そこを強く意識したわけじゃなく、たまたまです。TADAAKIくんは、イッソン(磯部)が求めてる楽曲の感じにハマりがすごくよかったんだと思います。「だったらこういう曲もできるぞ。やってもらおう」っていう引き出しの部分もすごくあるし。まあ、世代的なものもあるんでしょうね。イチから説明しなくてもある程度わかってくれるし。

磯部 TADAAKIくんにやっていただけることになって、「助かるわあ」なんて言いながらスタジオ入ってました。たまたま僕とTADAAKIくんしかいないときがあったんですけど、なんとなくTADAAKIくんが叩き始めたから僕がそれに合わせて、なんとなくメロディが思い付いたからボイスメモに録って、家に帰ってメロディを仕上げて。そういうふうにできた曲もあります。TADAAKIくんのリズムから始まった曲。

──曲作りのやり方は以前と変わらない?

磯部 基本は変わらないですね。

平林 自分が歌う曲は自分が作ってデモを用意して、スタジオでみんなで合わせてます。

磯部 気持ち的なことかもしれないんですが、ちょっと変わってきたのは「ライブでやっていて楽しいだろうな、楽しかったらいいな」って思いながら作っていたことかな。実際、ライブでお客さんの様子を見て楽しんでくれてたらすごくよかったなーって思うし。

──楽しませたいって自覚が、より出てきた?

磯部 うん。喜んでくれてたらいいなーって、そこに尽きます。ただいい曲ができればいいっていうんじゃなく、お客さんがどう思うかなってことを考えるようになって。気になってしょうがないというよりは、楽しみでしょうがない。今作に入ってるのは、そういう曲じゃないかな。

僕をアホにさせてくれた、ありがたい存在

──やっぱり変わりましたよね。同じこの3人でも、昔はもっとストイックだったというか。

磯部 今作を作りながら個人的に思ったのは、「俺はアホなんだから難しく考えてもしょうがないわ」みたいな(笑)。そんな心境に初めてなった。いつも難しく考える癖があるから。それがいいときもあるでしょうけど、今は「大馬鹿なんだからそれでいいじゃん」って思っていて(笑)。

──磯部さんがそう思えたのって、責任から解放されたからなんでしょうね。メンバーを頼っていい、頼れるメンバーだって。

磯部 ある人に「人に頼れ」「弱音を吐け」って言われたんです。「そうか」って思って、そうやっていったらだんだんおバカになっていって(笑)。力が抜けてきたなって自分でも思いました。

──無意識のうちに磯部さんがそういう気持ちになっていたから、TEKKINさんと一緒にやりたいって思ったのかもしれないですね。

磯部 そうですね。そういう意味ではTEKKINさんはありがたい存在ですよね、僕をアホにさせてくれて(笑)。

──アホになれてよかったです(笑)。

磯部 アホになれたんじゃなく、ずっとアホだったのにアホだってことを認めてなかったんですよ。今は「LOW IQでいいんだ!」って思ってます(笑)。

ハスキンのメンバーとして弾けばハスキンの音になっていく

──そうやって作り上げた新作「Suolo」は、何度も言うけどバラエティに富んでいるのにとっ散らかってなくて、フレッシュでナチュラルだと思いました。

TEKKIN これをフレッシュと言っていいのか(笑)。

磯部 熟したフレッシュ(笑)。

──平林さんの曲、変わらず伸びやかなメロディ、伸びやかな声ですよね。

磯部 43歳なのに、どこまでこの声で行けるのか楽しみですけどね(笑)。こんな少年みたいな中年いるのだろうか(笑)。

TEKKIN 2人共声で持っていけるボーカリストだから、そんな難しいことしなくても、シンプルでもいいものになるって思ってる。

──アメリカンロックみたいなタフさも出てますよね。

磯部 ブルース・スプリングスティーンみたいなね。

平林 音作りもわりとスケール感を意識したんで。

──それは、「ハスキンの曲はスケール感があるものにしよう」と思ったってこと?

平林一哉(G, Vo)

平林 いや、曲を作るとき、バンド用とか何々用とかあんまり考えないんです。ギターから作ってるんで「ギター1本でも成立するようなメロディ」にしようとは考えてるけど。それがこの2人とやったら、おのおののフィルターを通ってハスキンの曲になるんじゃないかな。

──ベースも「これはTEKKINさんのベースだ」って思いました。

TEKKIN 「HUSKING BEEだなー」って自分でも思っちゃったりするんですよね。やってるときは意識してないんですけど、癖みたいなものが出るんですね。HUSKING BEEのメンバーとして弾けばHUSKING BEEの音になっていくんだなって。

──TEKKINさんのベースはメロディがいいんですよね。

TEKKIN もともとトリオで、イッソンがギター弾きながら歌っていたので、ベースは「おいしいフレーズを弾こう」って意識してたんです。ドンドンが入ってからはギターとの差し引きをしつつ、ベースでメロディを弾いたり、そこから崩していったり。ちょっと独特なベースの付け方だと思います。

磯部 初期にトリオでやってた頃、無理矢理作った曲に無理矢理なベースライン付けるみたいなことがあって。ド素人が無理矢理作ってる感じ。アホだったなーって思うんですね。TEKKINさんと一緒にやって思い出したのは、その頃のアホさ(笑)。そのノリが、前作、前々作のよさを踏まえつつ、今作にはあるんだろうなって思います。

──そうだった。ハスキンの曲ってすごく爽快なんだけど、無理矢理なところがありましたもんね(笑)。微妙に外しながら進んでいく感じとか。

TEKKIN コード回しとかね、やっぱりちょっと変ですよね(笑)。

──今作もそういうとこあるけど、それが全然作為的じゃない。

TEKKIN ちょっと変なことをスルッと流れるように聴いてもらいたいなっていうのは意識したかも。

──爽快で勢いがありますよね。印象的だったのは4曲目の「Across The Sensation」はコーラスが楽しかったし、6曲目「Grand Time」は前半が50'sっぽかったり。3曲目「Let We Go」はバンジョーが入っていて。

磯部 アイゴン(會田茂一)さんが弾いてくださって。「バンジョー入れたらいいかもね」って話をしてたとこから始まって……。

TEKKIN たまたま僕がアイゴンさんのお宅に遊びに行って、バンジョーをお借りしたんです。

磯部 最初はTEKKINさんが弾くつもりだったんだよね。そしたら「難しくてとても無理」って言われた(笑)。

TEKKIN ブルーグラスばっかり聴いて練習してたんだけど、難しくて無理って2日で気付いた(笑)。それでアイゴンさんにお願いしたんです。無理って気付いてよかった(笑)。

ニューアルバム「Suolo」 / 2016年12月7日発売 / 2700円 / CRCP-40483 / CROWN STONES
「Suolo」
収録曲
  1. Suolo
  2. Carry You
  3. Let We Go
  4. Across The Sensation
  5. Invisible Friends
  6. Grand Time
  7. Spitfire
  8. Blue Moon
  9. Compass Rose
  10. Nonesuch
  11. Suffer
  12. Puff
  13. 通りすがりの物語

HUSKING BEE「Paleosuolo Tour」

2017年1月20日(金)北海道 BESSIE HALL
<出演者>
HUSKING BEE / and more
2017年1月28日(土)大阪府 LIVE HOUSE Pangea
<出演者>
HUSKING BEE / and more
2017年1月29日(日)愛知県 池下CLUB UPSET
<出演者>
HUSKING BEE / and more
2017年2月11日(土・祝)東京都 TSUTAYA O-WEST
<出演者>
HUSKING BEE / and more
2017年2月12日(日)宮城県 FLYING SON
<出演者>
HUSKING BEE / and more
2017年2月18日(土)福岡県 LIVE HOUSE CB
<出演者>
HUSKING BEE / BACK DROP BOMB / the PRACTICE
2017年2月19日(日)広島県 HIROSHIMA 4.14
<出演者>
HUSKING BEE / BACK DROP BOMB
HUSKING BEE(ハスキングビー)
HUSKING BEE

磯部正文(G, Vo)、平林一哉(G, Vo)、工藤哲也(B, Cho)による3人組バンド。1994年7月結成。1996年12月に横山健プロデュースで発表した1stアルバム「GRIP」が話題を集め、一躍メロディックパンクシーンを牽引する存在になった。フェス出演や海外リリースなどを行いつつ計5枚のアルバムを発表するが、2005年3月に解散。2012年2月に行われたイベント「DEVILOCK NIGHT FINAL」のステージで再結成を果たし、同年9月の「AIR JAM 2012」にて本格的な活動再開を宣言した。2013年2月に9年ぶりのオリジナルアルバム「SOMA」をリリース。バンドを離脱していた工藤哲也が2016年4月に再加入し、同年12月にアルバム「Suolo」を発表した。