「HOW TO START A FIRE TOUR 2025」開催記念|“火種”たちが灯す、ラウドロック / ポップパンクシーンの未来 (2/3)

出演バンド フロントマンインタビュー

この4組でシーンを変える

──最初に、この4組でスプリットツアーを回ると聞いたときはどう思いましたか?

Kenta(CrowsAlive) 近い世代のバンドと一緒にツアーを回るというのは、今までやりたかったけどできてなかったことだし、この4組で回ると聞いて「俺たちの時代が来たな」と感じました。「この4バンドでシーンを変えよう」とか「自分たちが時代を作る」みたいなことは誰も口にしないけど、たぶんみんな考えてると思うんです。僕が一方的に感じてるだけかもしれないけど、同じ思いを持った4組が集まった。めちゃくちゃ楽しみですし、めちゃくちゃ気合いが入ってます。

Motokichi(WHISPER OUT LOUD) 今、Kentaくんが言ってくれた「この4組でシーンを変える」という思いは僕もあって。というのも、最近の大型フェスがけっこう同じメンツで固まっているから、それを変えていかなきゃいけない、世代交代をしなくちゃいけないとずっと考えていたんです。自分たちの世代に火を着けるためにどうしたらいいんだろう?と考える中で、「HOW TO START A FIRE TOUR」に誘っていただいたので「この4組と、来てくれるお客さんと一緒だったら、すごいことが起こせそうだな」と。

KD(UNMASK aLIVE) 自分たちの話になってしまうんですが……UNMASK aLIVEは、今年から田口さんが立ち上げた新レーベル・Brightest.に所属させてもらうことになったんです。環境が新しくなったことで、自分たちがもっといい方向に変化できるきっかけを探していて。そんなときにこのツアーに誘ってもらったので「ヒリヒリするやつきたー!」と思いました。お互い同世代で存在は知ってますけど、WHISPER OUT LOUDとCrowsAliveは一緒にライブをする機会はこれまであまり多くなかったんですよ。だけど、コロナ禍もずっとがんばっていたバンド同士だし、それぞれ自分たちにはないものを持っているから、正直「今までの自分たちでは勝てへんかもな」という気持ちもありつつ、ワクワクしています。ヒリヒリとワクワクです。

Yasu(Good Grief) Good GriefもWHISPER OUT LOUDもCrowsAliveもUNMASK aLIVEも、たぶんほかのバンド以上に“独自の音楽をやる”ことを強く意識して活動してきたと思うんです。だからこそ、既存のシーンになびかない活動ができているし、その反面、いわゆる花の舞台みたいなものにはなかなか立てなくて。だからこのツアーは「俺たちが新しい世代の音楽をリードしていく存在なんだ」と表明するいい機会。その分、責任も伴いますけど、それも含めていい機会を与えてもらったと考えています。

WHISPER OUT LOUDは面白いバンドの全要素を持っている

──せっかくなので、それぞれのバンドについての印象を教えてください。まずはWHISPER OUT LOUDから。

WHISPER OUT LOUD

WHISPER OUT LOUD

Kenta Motokichiは3人目のボーカルなんですけど、僕たちは初代のボーカルの頃からの付き合いなんです。常に最先端を走り続けているバンドで、めちゃくちゃ真面目だし、めちゃくちゃ努力していて、めちゃくちゃ優しくて、めちゃくちゃ尖ってる。「こういうバンドは見ていて面白いよね」と思う要素が全部詰まっている存在です。

KD 質問と少しズレてしまうけど、自分たちも初代のボーカルの頃に一度対バンをしたことがあって、ライブハウスの人にアンマスもウィスパーも「何がやりたいのわからない」って言われたんですよ。だけど、お互いに自分たちのやりたいことを突き詰めてきたからこそ、こうやって一緒にツアーを回れるのかなって。あとはMotokichiくんの歌がうまい!

Yasu これまでウィスパーとがっつり絡む機会はあまりなかったけど、自分たちもメンバーチェンジがあって似たような経験をしているから、なんだか放っておけないバンドなんですよね。だから最近、一緒にやる機会が増えてうれしいんですよ。音楽的な話で言うと、ソフトコア的な要素を取り入れてるバンドってあんまりいないけど、シーンの中でそれを今臆せずやっているのはめっちゃ勇気あるし、すげえなって思います。

Motokichi ありがとうございます。自分たちとしては、明確に「このスタイルで突き進む」という方向がまだ固まってないけど、メンバーそれぞれが好きな洋楽のポップスやR&Bの要素を取り込んで、自分たちなりのオリジナリティを確立したいと思っているんです。その“武器を持っていない状態”がオリジナリティにつながるかもしれないですし、今回のツアーを通して何かをつかめたらなと考えています。

Motokichi(WHISPER OUT LOUD)

Motokichi(WHISPER OUT LOUD)

CrowsAliveが求める表現の理想形

──CrowsAliveについてはいかがでしょう。

CrowsAlive

CrowsAlive

Motokichi 俺はボーカリストなので、ほかのバンドを見るときもボーカルに注目してしまうんですけど、Kentaくんは本当に唯一無二のボーカリスト。心の底から感情をむき出しにしている感じがします。僕がウィスパーに入ってすぐの頃、メンバーから「CrowsAliveのKentaのボーカルスタイルを見本にしたほうがいい」って言われたんです。それくらいメンバー全員がリスペクトしていて。だからライバルではあるけど、目標でもあります。

Yasu 俺もボーカルの話になってしまうんですけど、身近にいるボーカリストの中で、こんなに歌える人はいない。悔しいんで、俺もがんばろうと思っています。以上!(笑)

KD 自分はCrowsAliveが今の音楽性になる前にも一度対バンしていて。そのときは……今だから言うけど、特に何も思わなかったんです。だけど、今のような重厚なサウンドになってからライブも含めて表現力がエグい。自分たちの世界観を全力で表現している感じがします。見習うべきところがたくさんあるバンドですね。

Kenta(CrowsAlive)

Kenta(CrowsAlive)

Kenta ありがとう。自分が音楽を好きになってからずっと思っていることなんですけど、ライブや音楽で人の感情を揺さぶって、観ている人や聴いている人が涙を流す現象ってすごくないですか? 自分たちもそういう音楽を鳴らしたいし、そういうバンドになりたいと思っていて。そのために、ドラマがあるバンドになりたいんです。自分たちが続けばストーリーが生まれる。そのストーリーを、ライブや音でちゃんと表に出せるようなバンドになりたい。人に対しての思いを持っていれば、それが自然と言葉や音楽になって、感動を生む表現につながるはず。最近は特にそう思って活動しています。