ナタリー PowerPush - HOME MADE 家族

新たな日の出を目指す骨太新作「3RISE」

「1+1」に込めた微妙なニュアンス

──「1+1」の歌詞でこだわった部分は?

MICRO サビの「一緒にいれば いつか解る」っていう部分ですね。当初は「一緒にいれば解りあえる」としてたんです。でも、今KUROが言った他人に厳しく自分に厳しくっていうところで考えると、僕らが言いたいことをわからない人もきっといるはずだと。でも、その人にもわかってほしいし、ここにいればいつかきっとわかるよっていう、その微妙なニュアンスを表現したかったんです。今までは「みんな家族だよ。みんな輪になって。さあ、一緒に進もう」みたいに歌ってた。でも、その輪にはきっとグレーなゾーンがあるはずだし、自分たちが感じることをちゃんと言葉に落とし込もうと思ったんです。

──すごく細かいところですが、メッセージの意味合いが大きく変わりますね。

MICRO そう。そこに気付く人がいるかいないかはわからないけど、そういう部分は、僕らがこういう年代になって、さらにこの先も続けていく上では大事な部分だなと思ってます。

──乱暴に、無責任に言い切らないっていうことですよね。

KURO そうです、そうです。そこはすっごく気にしましたね。

──あと、この曲のKUROさんの歌詞に出てくる「パンゲア」って、日頃あまり耳にしない言葉ですよね。

インタビュー写真

KURO ポーンと言葉を放たれて「これってなんだろ?」って考えることは大事じゃないですか。で、その言葉を調べてみるとか、そういう体験は大事だろと思って入れたんです。

MICRO この曲をレコーディングした日、僕の頭の中には「パンゲア」っていう言葉しか残ってなかったですからね(笑)。けど、そういう、言葉一発で耳にこびりつかせるところがラップの面白さのひとつだと思うから。その日、家に帰って風呂で体洗ってるときに「パンゲア? パンゲア? ん、パン毛?」とか(笑)。その夜はずーっとパンゲアが頭をぐるぐるしてました。

──じゃあ、この言葉が気になる人は自分でググって調べてもらいましょう(笑)。

KURO そうですね(笑)。あと、その前に出てくる「I AM We」っていうのはヒューイ・P・ニュートンっていうブラックパンサー党の人のポエムの中の一節なんです。これも調べるとなかなか興味深いことが書いてあるはずので、ここで多くは語りません(笑)。

10周年に向けて修業期間を作りたい

──さて、今回のアルバムはデビュー8周年の年にリリースされる作品となりました。8は末広がりの数字ということで、10年目に向けた展望を教えてください。

KURO 10周年までの道のりにどんなハードルを課すかとか、そういうことは今、3人で絶賛話し合い中です。昨日もちょっと話してたんですけど、「3RISE」っていうタイトルのように、それぞれがスキルの面も含めて鍛錬していったほうがいいんじゃないかと。こないだMICROがゴスペラーズの酒井雄二さんと曲を作ったり、僕が別ユニット(KURO&S☆G)でライブをやったり、本を出したり、U-ICHIが映像関係をやってるのは良い兆候だと思ってるんです。10周年を迎える前に3人がそれぞれ修行に入る時期を作るのもいいんじゃないかなと思ってます。

──大きくジャンプする前にはかがむことが必要だと。

MICRO そう。10周年のときに自分たちが「どうですか、これ!」って自信持って言えるようなものを提示するために、1回修行の時期に入るのもいいんじゃないかなと僕も思います。そういう環境を作りたいなっていう気持ちが今は強いですね。

U-ICHI 10周年で僕たちの城を完成させるとしたら、これまで土台からいろいろ積み上げてきましたけど、ちょっとずつ隙間が空いてると思ってるんですね。このアルバムはその隙間に刺す楔(くさび)みたいなものだと思うんです。このアルバムが補強剤として刺されば、昔のアグレッシブなものからバラード調まで、いろんな持ち味がまた生きてくると思うんですよ。で、10周年を迎えた暁にはそこに見事な屋根がつけられたらいいなと思ってます。

インタビュー写真

ニューアルバム「3RISE」/ 2012年9月12日発売 / Ki/oon Music

CD収録曲
  1. ビギンザビギン
  2. 気分はまるでJackpot・改!
  3. World Is Mine
  4. 君と僕とのスケッチブック
  5. Love is... feat. Ms.OOJA
  6. 親の小言
  7. 3RISE ~Skit~
  8. お家芸 feat.みんな
  9. シグネチャーサウンド
  10. 透明人間
  11. BIG TIME
  12. 琥珀色に染まるこの街は
  13. 1+1
LIVE INFORMATION

家族 Fes. 2012 2012年10月13日(土)
愛知県 ラグーナ蒲郡ラグーナビーチ
OPEN 10:30 / START 12:00

<出演者>
かりゆし58 / 九州男 / SEAMO / つるの剛士 / →Pia-no-jaC← / HOME MADE 家族 / Ms.OOJA / lecca
オープニングアクト:GILLE / Brand New Vibe

HOME MADE 家族(ほーむめいどかぞく)

プロフィール画像

1996年に結成された2MC(MICRO、KURO)+1DJ(U-ICHI)スタイルのユニット。インディーズでの活動を経て、2004年5月にアルバム「Oooh!家~!」でメジャーデビュー。2005年の3rdシングル「サンキュー!!」をはじめ「少年ハート」「サルビアのつぼみ」などのスマッシュヒットを連発し、全国区のブレイクを果たす。2009年には、グループとしての夢だった日本武道館単独ライブを実現。2010年10月には地元愛知で初の主催野外フェス「家族 Fes. 2010」を成功させた。2010年にはアメリカ、2011年には台湾でのライブを敢行し、2011年9月リリースのアルバム「AKATSUKI」は台湾でもリリースするなど、海外での活動積極的に展開している。2012年9月、ニューアルバム「3RISE」を発表。同年10月には3回目の開催となる「家族 Fes. 2012」を行う。