ナタリー PowerPush - HOME MADE 家族

新たな日の出を目指す骨太新作「3RISE」

「今これやらないでしょ」っていうのをあえてやってる

──「シグネチャーサウンド」は、今どきのエレクトロハウスっぽいノリと、往年のディスコっぽいノリが共存した曲ですね。

インタビュー写真

U-ICHI このタイトルはトラックをMCの2人に渡してから決まったんですけど、元々はディスコっぽいもので、割とテンポ感があって、バースの中で2人の掛け合いができる構成がいいなと思って作ったんですね。ただ、2人が付けたこのタイトルを聞いたときに、これは作り直さないといけないなと思って。当初、僕は「これが俺らの音だ!」っていうのは、そういうディスコではないと思ってたんです。もっとファンキーだったり、もっと土臭かったり、そっちの方向だろうなと思ってたんですよ。だから、タイトルにサウンドが追いついてないなと思って、何回も作り直してたんです。だけど、なかなかこれだっていうのが見つからず(笑)。歌入れの直前になっても、今とは違うパターンを2人に聴かせてたんですよ。

MICRO さらに2パターン聴かせてくれたんだよね。

U-ICHI そう。でも、最終的にいわゆるディスコっぽいものも自分たちの音だなっていうふうに吹っ切れたんですよね。思えば、デビューしてからそういうものを自然と取り入れてやってきたし、こういう感じでやってるヤツらは他にいないなって。この曲はBPM130くらいだから、テンポ的には今流行ってるエレクトロ調のヒップホップと変わらないんです。だけどそのテンポ感で、そういう曲とは違うことをやったっていうのが俺たちの音だっていうふうに思えた。今回の僕はそういうところが全体的にあると思うんですよ。「今これやらないでしょ」っていうのをあえてやってるところがある。

──時流をくみながら、あえてそれとはズレたもの、ハズしたものを味付けに取り入れるサウンドプロダクションを目指したと?

U-ICHI そうです、そうです。

KURO だから、いい意味で今回のアルバムには懐メロ感があって、僕らの世代はくすぐられると思うんですよね。

──「お家芸 feat. みんな」には80年代感が漂うし、「World Is Mine」にもシューゲイザーとかデジタルロックな感じがありますよね。「気分はまるでJackpot・改!」もビッグビートっぽいテイストがあるし。

U-ICHI そうそう。ちょっと古いんスよ(笑)。

ラップの破壊力に気付かせてくれるアルバム

──冒頭で伺った本作のテーマに話を戻すと、今回は「ラップをする」もテーマだったとか。実際、MICROさんは、これまでだったら歌でアプローチするところをラップでやっているような印象を受けました。

MICRO 「AKATSUKI」もそれまでの流れを考えるとラップしてるほうだったんですよ。で、そのアルバムを引っさげてツアーをやってみたら、2人で声をかぶせるコンビネーションとか、マイクをパスしあって掛け合うとか、ラップがすげえ楽しくて。それがHOME MADE 家族の良さだと思ったし、持ち味が出るところだっていう手応えがあったんですよね。

KURO あと、今回はバース部分が16小節ある曲が多いんです。ちょっと前までは8小節ずつ回してくことが多かったんですけど、がっつり16小節歌って相手にパスしてるから、ラップしてるっていう印象が強まると思うんですよ。

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MICRO 僕はこのアルバムを作り終えてから、もっとラップがうまくなりてえなっていう気持ちがすごく出てきてるんですよ。やっぱり自分たちはそこから始まってるし、メジャーデビュー以降は、メロディの良さやサビのキャッチーさ、聴いたときに一発で残る耳当たりとかを追求してたんですけど、今回はラップの破壊力とかに気付かせてくれるアルバムになったんで。そこが良かったなと思ってるんです。

──KUROさんはどんなことを意識していましたか?

KURO 腰を据えて紙とペンを持って書く強さがあるラップっていうのを意識してましたね。即興性というよりも、すごく考えて、世界を変えるようなひと言をひねり出す。そういう強固なラップが作れないのかと自分に課しながらやった感じはあります。やっぱりラップは、何を言うかっていうことだと思うんですよ。何を訴えるのか、どうやってハッとさせるのか、どんなふうにうまくものを言えるのかっていうことがラップのフィロソフィだと改めて思ったから。手あかの付いた言葉じゃなくて、なるべく自分から言葉を生み出す。しかも、そういうラップを大変なことのように見せず、いかにスムーズにやれるかっていう。だから、割と今回は苦しかったですね。苦しかったけど、カッコよく見せたいなっていう気持ちが勝ってた。でも、それがいい勉強になったし、自分で言うのもおかしいですけど、今回のアルバム制作でまたちょっとラップがうまくなれたかもっていう自信があります。

ニューアルバム「3RISE」/ 2012年9月12日発売 / Ki/oon Music

CD収録曲
  1. ビギンザビギン
  2. 気分はまるでJackpot・改!
  3. World Is Mine
  4. 君と僕とのスケッチブック
  5. Love is... feat. Ms.OOJA
  6. 親の小言
  7. 3RISE ~Skit~
  8. お家芸 feat.みんな
  9. シグネチャーサウンド
  10. 透明人間
  11. BIG TIME
  12. 琥珀色に染まるこの街は
  13. 1+1
LIVE INFORMATION

家族 Fes. 2012 2012年10月13日(土)
愛知県 ラグーナ蒲郡ラグーナビーチ
OPEN 10:30 / START 12:00

<出演者>
かりゆし58 / 九州男 / SEAMO / つるの剛士 / →Pia-no-jaC← / HOME MADE 家族 / Ms.OOJA / lecca
オープニングアクト:GILLE / Brand New Vibe

HOME MADE 家族(ほーむめいどかぞく)

プロフィール画像

1996年に結成された2MC(MICRO、KURO)+1DJ(U-ICHI)スタイルのユニット。インディーズでの活動を経て、2004年5月にアルバム「Oooh!家~!」でメジャーデビュー。2005年の3rdシングル「サンキュー!!」をはじめ「少年ハート」「サルビアのつぼみ」などのスマッシュヒットを連発し、全国区のブレイクを果たす。2009年には、グループとしての夢だった日本武道館単独ライブを実現。2010年10月には地元愛知で初の主催野外フェス「家族 Fes. 2010」を成功させた。2010年にはアメリカ、2011年には台湾でのライブを敢行し、2011年9月リリースのアルバム「AKATSUKI」は台湾でもリリースするなど、海外での活動積極的に展開している。2012年9月、ニューアルバム「3RISE」を発表。同年10月には3回目の開催となる「家族 Fes. 2012」を行う。