ナタリー PowerPush - Hi-STANDARD

東北AIR JAM成功の軌跡とバンドの未来

TOSHI-LOWはAIR JAMのときが一番輝いてる

──話は変わりますが、来年以降AIR JAMはどういう形で続いていくのか、そしてHi-STANDARDは今後どういう形で動いていくのかが非常に気になってるんです。ここ2回のAIR JAMを見て、「ハイスタ、復活したはいいけどAIR JAMでしかライブしないのかよ!」と思ってる人もいるでしょうし。実際いろんなフェスやイベントからオファーがあると思うんですが。

難波 いや、ないっすよ。

横山 逆に海外からのオファーがあるだけで(笑)。

──えっ、そんなもんなんですか? たぶんいろんな大型フェスから声をかけられているんだろうな、でもAIR JAMがあるから出演しないのかなと勝手に思い込んでたんですけど。

左から難波章浩(Vo, B)、恒岡章(Dr)、横山健(G, Vo)。

難波 全然ないですよ(笑)。「ハイスタのライブ、AIR JAMだけなの?」みたいに言われるのはわかりますけど、この2年間は本当にめちゃめちゃ大変だったんですよ、3人とも。だから今年はちょっと落ち着いて過ごさないと、今後さらに大変なことになっちゃうんで。これから先の人生はまだまだ長いですし、復興への道のりも長いですからね。AIR JAMも来年以降はないとは言わないし、またやるとも決めたわけではないんで、そこはまた……やっぱり自分たちが決めることなんですよね、3人で。

──それはハイスタとして動くことも含めて?

難波 そうです。

横山 ハイスタはこの2年間、AIR JAMでしかやってないけど……あとはTOSHI-LOW(BRAHMAN)の結婚10周年パーティでもね。

難波 やったね(笑)。

──そのお話、伝え聞いております(笑)。

横山 TOSHI-LOWの結婚10周年パーティで4曲演奏したんですけど、今年のハイスタのライブはそれでもう終わり(笑)。でもね……2年間黙ってAIR JAMに力を費やしたことの説得力は、時間が経てばより強く出てくると思うんです。これからも自分たちなりにいろいろバランスを取って、そのときにやれることをしていきたいなと思います。

──TOSHI-LOWさんの話が出ましたけど、TOSHI-LOWさんもことあるごとに皆さんのことを「あの3人組が」ってよく言いますよね(笑)。TOSHI-LOWさんのそういう言葉って、皆さんどう思ってるんですか?

難波 彼なりに本当のこと言ってるんでしょうね。「(ハイスタを)やってくれ」って。それは強く感じますよ。

横山 たぶんTOSHI-LOW自身にも自分より……強いって言ったら変だけど、そういう先輩が必要なんですよ(笑)。生意気だけど、純粋に「やってくれよ」って言ってくれる。だってあいつ、ほかのどのライブよりもAIR JAMのときが一番輝いてるもんね(笑)。

──7月に行われたイベント「NO MORE FUCKIN' NUKES 2013」でもTOSHI-LOWさん、楽しそうでしたもんね(参照:NAMBA69、BRAHMANらライブイベントで反原発訴える)。

横山 そうそう(笑)。そうでした。

──でもああいうTOSHI-LOWさんの楽しそうな姿を見ると、やっぱり皆さんといい関係なんだなって改めて実感します。

横山 まあそうですね。いい後輩ですよ。はい(笑)。

誰も“何周年”とか考えたことない

──最後の質問になりますが……これは皆さん気付いてるのかどうかわからないですけど、実はHi-STANDARDって来年2014年でCDデビュー20周年を迎えるんですよ。

横山 あれ? 全然知らなかった(笑)。

難波 「LAST OF SUNNY DAY」からですか。

横山 ああ、そっか。1994年かあ。

難波 まあでも、その前から活動はしてますけどね。

恒岡 音源がリリースされたのが1994年なんですね……誰も気付いてなかった(笑)。

──そこを踏まえてお聞きするんですが、20周年ということで来年は何か動きがないのかなと。

難波 まあ誰も“何周年”とか考えたことないからね。そういうのが似合わないんですよ、ハイスタって。

横山 むしろね、僕個人的にはそういうの全然好きじゃないです。「何周年記念だから何?」っていうところがあったりして。まあ「人が60年生きた、おめでとう」っていうお祝いはわかりますけど、10年、20年ぐらい続いてるバンドなんていくらでもいますからね。20周年とか意識しないで、ホント普通にやりますよ……でもちょっといい情報聞いちゃったな。意識しちゃうなあ、これ(笑)。

恒岡 意識しちゃうタイプなんで(笑)。

横山 こう言っておきながら、思いっきり20周年記念盤とかボックスセットとか出しちゃったりしてね(笑)。

難波 ガッツリと取り組んでね。冗談はさておき(笑)、ハイスタはただのバンドですし、これからも大事にしていきますよ。

ハイスタは「ただのバンドです」

──その「ただのバンド」という言葉を聞いて今思い出しました。去年NHKで放送されたドキュメンタリーで難波さんと横山さんが最後に「お2人にとって、ハイスタとはどういうものですか?」と質問されて、2人とも「ただのバンドです」って言ってましたが、本当にそのまんまなんですね。

横山 うん、そうですね。

──それは恒岡さんも一緒ですか?

恒岡 僕は2人がその質問をされたとき、先に帰ってしまっていたんで、別のタイミングに同じ質問をされたんですよ。最初は「うーん……うーん……」と悩んだんですけど、最終的に「……まあバンドなんですよね」って答えて。そうしたらインタビュアーの方が「横山さんも難波さんも同じことを言ってました」と教えてくれたんです。

横山 これでツネが「うーん……人生ですかね」って答えてたらねえ(笑)。

恒岡 なんかもうサムイよね(笑)。

難波 「運命ですね」とか(笑)。

──その感覚が3人とも、無言のうちに共有できてるわけですね。

横山 そうですね。だから今後も続けられると思います。

難波 もう一周回って新しいんですよ、今のハイスタは。だって今はそれぞれ中心になる活動の場……城があって、家族もいて……以前とは違うわけです。そりゃ新しくなるわけですよ。

横山 そして「ハイスタ、またやりやがったな。面白いことやってんな」って思わせ続けたいですよね。

左から難波章浩(Vo, B)、恒岡章(Dr)、横山健(G, Vo)。
ライブDVD「Live at TOHOKU AIR JAM 2012」/ 2013年9月11日発売 / PIZZA OF DEATH RECORDS / PZBA-8
[DVD] 3915円 / PZBA-8
収録曲
DAY 1
  1. TURNING BACK
  2. STANDING STILL
  3. SUMMER OF LOVE
  4. DEAR MY FRIEND
  5. SUNNY DAY
  6. CALIFORNIA DREAMIN'
  7. CLOSE TO ME
  8. TEENAGERS ARE ALL ASSHOLES
  9. FIGHTING FISTS, ANGRY SOUL
  10. ENDLESS TRIP
  11. SATURDAY NIGHT
  12. BRAND NEW SUNSET
  13. STAY GOLD
  14. MOSH UNDER THE RAINBOW
DAY 2
  1. GROWING UP
  2. STAY GOLD
  3. WHO'LL BE THE NEXT
  4. MY FIRST KISS
  5. STOP THE TIME
  6. MY HEART FEELS SO FREE
  7. NEW LIFE
  8. MAKING THE ROAD BLUES
  9. MAXIMUM OVERDRIVE
  10. THE SOUND OF SECRET MINDS
  11. STARRY NIGHT
  12. CAN'T HELP FALLING IN LOVE
  13. BRAND NEW SUNSET
  14. MOSH UNDER THE RAINBOW
Hi-STANDARD(はいすたんだーど)
Hi-STANDARD

難波章浩(Vo, B)、横山健(G, Vo)、恒岡章(Dr)からなるパンクロックバンド。1991年から活動を開始し、都内を中心にライブ活動を展開。1994年にミニアルバム「LAST OF SUNNY DAY」をリリースし、知名度を高める。1995年に「GROWING UP」、1997年には「ANGRY FIST」という2枚のフルアルバムをメジャーレーベルから発表。これらの作品は海外でもリリースされ、好セールスを記録した。また、この時期から海外でのライブ活動も開始。1997年には主催フェス「AIR JAM」をスタートさせ、日本のパンクロックシーンに大きな影響を与えた。1999年に自主レーベル「PIZZA OF DEATH RECORDS」がメジャーから独立し、第1弾作品としてアルバム「MAKING THE ROAD」をリリース。本作はインディーズとしては当時異例のミリオンヒットを達成した。その後も国内外で精力的なライブ活動を続けたが、2000年の「AIR JAM 2000」を最後に活動休止。メンバーはそれぞれソロやバンドで音楽活動を続けた。

約11年におよぶ空白の時間を経て、2011年4月に難波、横山、恒岡がTwitter上で3人同時に「9.18 ハイ・スタンダード AIR JAM。届け!!!」とツイート。そして翌5月には、9月18日に横浜スタジアムで東日本大震災の復興支援を目的とした「AIR JAM 2011」の開催と、Hi-STANDARDがライブを行うことが明らかになる。国内外15組のアーティストが出演したこのフェスで、ハイスタはヘッドライナーとして11年ぶりにライブを敢行した。2012年2月にはこの日のライブを収めたライブDVD「Live at AIR JAM 2011」を発売。同年9月には宮城・国営みちのく杜の湖畔公園みちのく公園北地区風の草原で「AIR JAM 2012」を2日間にわたり行った。そして2013年9月、「AIR JAM 2012」でのハイスタのライブを完全収録したライブDVD「Live at TOHOKU AIR JAM 2012」をリリース。