HIROOMI TOSAKA(登坂広臣 / 三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)|「月」と「紺青の拳」の物語が重なり合うとき

このプロジェクトに踏み込んできてほしい

──表題曲「SUPERMOON」は、先ほどお話しいただいたように「FULL MOON」よりもグッと“近い”印象がありました。

「FULL MOON」という曲の歌詞では男女の恋愛を月と太陽に見立ててその距離感を描いたんですが、「SUPERMOON」ではもう一歩踏み込んだ2人の関係を描きました。

──スーパームーンは地球に一番近付いたときの月のことですもんね。

「FULL MOON」で自分がここまで作り込んできた月の世界観を知ってもらい、そのうえで聴いてもらう作品という位置付けだったり、自分からもファンに歩み寄りたいという思いがあったので「SUPERMOON」で近さを描いたんですよね。「BLUE SAPPHIRE」で伏線を回収していただいたように、今後も僕のプロジェクトに皆さんから踏み込んできてほしいなと思っていて。より僕のプロジェクトを身近に感じてほしいんですよね。「SUPERMOON」にはそういう思いも込めています。

HIROOMI TOSAKA

──フューチャーベースやトラップを取り入れたサウンドも特徴的ですね。

この曲は「FULL MOON」でもタッグを組んだSUNNY BOYと、SUNNYの先輩のUTAさんと3人で作ったんです。UTAさんは僕も昔から近いところにいたし彼の音楽が大好きだったので、いつかは一緒に音楽を作りたいなと思っていて。SUNNYと一緒に「『SUPERMOON』という曲を作るのでUTAさんも参加してもらえませんか?」と声をかけたら「やりたい!」と快諾してくださって。

──そうだったんですね。

この曲はもともとトラップやフューチャーベースを取り入れたものにしたいなと思っていたので、そういうトラックが得意な2人にお願いしたんです。基本はヒップホップのビートがメインなんですけど、フューチャーベースとトラップも混ざって1つのジャンルでくくれない曲になったかなと思います。

小さな島国でジャンルという壁を作る必要はない

──「UNDER THE MOONLIGHT」はシングルの中で一番アグレッシブな印象の1曲です。こちらも登坂さんが作詞を手がけていますね。

この曲は7月に台湾で開催するライブ「HIROOMI TOSAKA 台北演唱會 2019 SUPERMOON ~UNDER THE MOONLIGHT~」のテーマ曲的な位置付けの曲になればと思って作りました。この曲で「UNDER THE MOONLIGHT」に来てくれた人に向けて「余計なことを考えずにぶっ飛べばよくない?」みたいなメッセージを伝えられたらと思って(笑)。

──なるほど。「UNDER THE MOONLIGHT」はイベントありきでできた曲なんですね。

はい。「UNDER THE MOONLIGHT」というイベントも台湾だけで終わらせようとは思っていなくて、実は今後……どれくらい先になるのかわかりませんけど、自分が主催する音楽イベントをやりたいなと思っていて。

──どういった内容のイベントを目指しているんですか?

HIROOMI TOSAKA

今の日本は、音楽アーティストが自ら出たいと思えるイベントが少なくなってきているねとよく友達と話すんです。月の下で、ただ大好きな音楽をアーティストもオーディエンスも楽しめる場所があったらいいなと。「UNDER THE MOONLIGHT」は、そのイベントのテーマみたいなことを書いた曲なんですよね。第一歩としてやるライブは台湾でのワンマンライブなんですけど、イベント内容をどんどん変化させて、いつかはそういうものになればいいなと。

──「UNDER THE MOONLIGHT」がいろんなアーティストが出演するイベントになったとして、登坂さんはどんな人を呼びたいですか?

みんなが今観たいと思う人たちですね。それはジャンルに固執せず。普段から仲のいい音楽友達などと飲みに行ったときとかに、こういう話をよくするんですよ。「なんかもうジャンルとか関係ないですよね」みたいな話を。こんなに小さな島国の日本でジャンルという壁を作る必要はないねと。アイドルはアイドル同士、ロックはロック同士、ヒップホップはヒップホップ同士、アングラの人たちはずっとそういう場所に潜ってやっていて……みたいなことがありますけれど、それは日本の不思議な音楽業界の仕組みで、その中でやっている僕らからしたらつまらないと感じる部分もあります。才能がある人はジャンルとか関係なしにどんどん表に出てきてクロスオーバーしていくべきだし、僕らがそう思うということは実際にライブに来てくれるオーディエンスも絶対そう感じているはずで。日本国内のアーティストだけではなくて、海外のアーティストも面白いイベントだと興味を持って遊びに来てくれたらより楽しいなと思っていますしね。

──日本でトップクラスの人気を誇るアーティストの登坂さんたちが、そうやって日本の音楽シーンを動かそうと思っていることは音楽業界としてもとても心強いと思います。

まあでも何年先になるかわかりませんよ。実現する頃には僕たちはおじいさんとおばあさんになっているかもしれない(笑)。

──椅子席も用意してもらえれば(笑)。

そうですね(笑)。