ナタリー PowerPush - 平井堅

攻め続ける「Ken's Bar」店主の珠玉カバー盤第3弾

「Ken's Bar III」インタビュー

いつもよりちょっと「Ken's Bar」多めかなっていうくらい

──「Ken's Bar」は昨年5月に開店15周年を迎え、この1年は下記の通りアニバーサリー企画が目白押しですね(※1)。今もさいたまスーパーアリーナでのVol.4が控えているところですが、これまでのライブはいかがでしたか?

今、言われながら必死で思い出してました。あれはどこだっけ、なんだったっけ、と思って。

──リハーサルも含めたらだいぶひっきりなしですからね。

そうですよね。僕、そのときは一生懸命なんだけど、過去のことはすぐ忘れちゃうタイプみたいで。なんかスコーンとね、終わったらもう「はい次!」っていう性格で、あんまり余韻に浸らないんです(笑)。実感としては、年末と七夕は基本的に毎年やっているから、そんなにあくせくがんばってライブしたな、とか、すんげえいっぱい「Ken's Bar」やったなあっていう感じではないです。まあいつもよりちょっと多めかなっていうくらい。

──「Ken's Bar」はカバーが見どころのひとつですが、どんな曲をやろうか毎度考えるのは大変ですか? 楽しいですか?

大変……っていうと本末転倒になっちゃうけど(笑)。意表をつく選曲がメインというわけではないんですけど、確かにハードル上がってきましたよね。AKBとかやっちゃってるから。

──近年はAKB48「ヘビーローテーション」やBUMP OF CHICKEN「天体観測」、EXILE「Ti Amo」、ゴールデンボンバー「女々しくて」など、オーディエンスがアッと驚く選曲もよくあるので、メインではないけど気になってしまいますよね。

最近そういう傾向が強くなってきましたが、単純に自分がやりたいと思って。でも「もっと突飛なものを」って考えていくと「あなた何がしたいの?」ってことになっちゃうので、あんまり考えないように……って言いながら考えんのかな。わかんないですね、これからのことは。過去のこととか先のこととかあまり考えないほうなので。

──潔いですね。

全っ然考えないです。今のことしか考えない性格なので。

Ken's Bar 15th Anniversary Special!

  • Vol.1:2013年5月29、30日@東京・日本武道館
  • Vol.2:2013年7月6、7日@沖縄・宜野湾海浜公園野外劇場
  • Vol.3:2013年12月@全国5カ所8公演(アリーナツアー)
  • バレンタインスペシャル:2014年2月14、15日@東京・ブルーノート東京
  • Vol.4:2014年5月28日@埼玉・さいたまスーパーアリーナ

参照:Ken's Bar 15th Anniversary Special!

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「すぐ自分のモノにできるな」っていうものはつまらない

──「Ken's Bar」でカバーする曲って、ライブの打ち合わせのときに考え出すんですか? それとも普段ふと思い浮かんだ曲をメモしておいたりするんですか?

「あ、これ歌ったら面白いかな」っていうものは携帯電話にメモってます。それはカラオケで友達が歌ってたものだったり、ふと何かから流れてきたものだったり、日常のいろんな場面で偶然聴いたものですね。

──カバーしてみようと思う基準はどんなところにあるんでしょうか。

まず大前提は好きな曲。あとは、あくまで自分の判断だけど、自分色にできるかどうかっていう。判断基準はそれだけかな。あとは、途中でフェイクしたりちょっとメロディを変えたりっていうことはあるけど、基本的に原曲を崩さないメロディと譜割りで歌おうというのは自分なりに決めていて。大きく変えて自分に寄せようっていう気持ちはあんまりないんですよね。それから言葉は大切にして歌わないとなとは思ってます。

──「判断基準は自分色にできるかどうか」とのことですが、自分色にしやすい曲、しづらい曲っていうのはオリジナルを聴いたときにわかるんですか?

曲を聴いて思ったりもするし、やってみて失敗したことも多々ありますよ。ただ、パッと聴いて「あ、これはたぶんすぐ自分のモノにできるな」っていう曲はつまらなくて。「平井堅が歌ったらたぶんいい感じになりそうだよね」って思われるものをやってもつまんないんです。一番の理想は、自分とは真逆のタイプだけど面白いひらめきがあって「ちょっと自分っぽくできそうだな」って思えるものですね。欲を言うといつもそこを狙っているというか。ちょっと違和感があるんだけど、自分なりに歌っていい世界観が築けるものであればいいなと思ってます。

コンセプトカバーアルバム「Ken's Bar III」 / 2014年5月28日発売 / アリオラジャパン
初回限定盤A [CD+DVD] 5400円 / BVCL-590~1
初回限定盤B [CD2枚組] 3888円 / BVCL-592~3
通常盤 [CD] 3240円 / BVCL-594
平井堅(ヒライケン)

1972年大阪生まれのシンガーソングライター。大学在学中にソニーミュージックのオーディションに入選したのをきっかけに、1995年にシングル「Precious Junk」でデビュー。2000年にリリースしたシングル「楽園」がヒットを記録し、その卓越した歌唱力と完成度の高い楽曲で一躍トップシンガーの仲間入りを果たす。2002年には童謡「大きな古時計」のカバーで世代を超えた人気を獲得。その後も「瞳をとじて」「POP STAR」など多くの楽曲をヒットチャートに送り込んでいる。また「Ken's Bar」と題したアコースティックライブシリーズを自身のライフワークとして定期的に開催しており、同タイトルのカバーアルバムも3作発表。フェイバリットアーティストはダニー・ハサウェイ。