日向坂46「僕なんか」富田鈴花×松田好花インタビュー|バラエティでも大活躍、花ちゃんズが考えるグループの個性と未来 (3/3)

常に挑戦を求められる“次女”二期生

──期ごとの曲もそれぞれ聴きどころがありますが……二期生曲「恋した魚は空を飛ぶ」はぶっちぎりで語りどころの多い曲ですね。

松田 バラードで、ミュージックビデオも海辺で夕日を眺めながら……みたいな曲を想像していたんですけど、これまでまったくやったことがない、想像もしていなかったような曲が来て。メロディも不思議だし、最初に聴いたときは「なんだこれは?」と思いました。ダンスも歌もめちゃめちゃ特殊で。

──そうですよね。このタイミングの二期生曲で、歴代の日向坂46楽曲の中でも飛び抜けて特殊な奇曲が来るとは想像もしていませんでした。

松田 奇曲ですね(笑)。普通に聴いてたら歌詞も何を言ってるのかわからない。本当に奇妙な曲なんですけど、なんかクセになっちゃうというか。

──YouTubeのコメント一覧には二期生ならではの個性を絶賛するコメントが多く、二期生だけで1つのアイドルグループとして見ても強い、「坂道最強期生」という声もいくつかありました。

富田 そう言っていただくこともあるんですけど、私たち自身はそんなふうに思ったことがなくて。ちょっとおこがましいというか、ね。

松田 でもありがたいよね。

富田 一期生も三期生も「らしいな」と思う曲で、三期生の「ゴーフルと君」なんてもう、すごくかわいくて! 私ちょうど最近ゴーフルにハマっていて。

松田 この間も通販で買おうとしてたよね(笑)。

富田 買った買った。缶のゴーフルを。「ゴーフルと君」を聴いてもっとハマりました。私も歌いたい(笑)。三期生の曲はジャムとかゴーフルとか、いつもかわいらしくてうらやましい。それもらしさだなと思います。そんな中で私たち二期生はいつも挑戦的な曲をいただいて……。

松田 真ん中の子だからね(笑)。

──「二期生ならこれやれんだろ」みたいな、常に挑戦を強いられるポジションなのかもしれないですね。

松田 本当にそうだと思います。毎回変わった曲だけど、それはそれで楽しくて。

富田 うれしいよね、けっこう。

セルフプロデュースで曲を作るなら?

──一期生の「真夜中の懺悔大会」は前回のインタビュー(参照:日向坂46「ってか」潮紗理菜&上村ひなのインタビュー)で「自分には個性がない」と謙虚な発言をされていた潮紗理菜さんが初のセンターに抜擢されました。この曲についてはどう感じましたか?

松田 一期生の皆さんは個人個人の歌声がすごくよくて。全体曲よりもそれぞれの声が聴きやすいのでより一層感じる部分ですけど、一期生の皆さんの歌声が大好きだなって改めて感じました。全体の声の厚みも二期生にはなくてうらやましいですね。

──大人数グループの宿命ですけど、テレビ番組などで表題曲を聴くだけではメンバー個々の声の魅力が伝わりにくいのがもったいないなといつも思うんですよね。松田さんと富田さんは花ちゃんズとして2人だけの声が聴ける機会もあるし、富田さんは昨年末の「千鳥の鬼レンチャン サビだけカラオケ&新企画!4時間SP」(フジテレビ系)に1人で出演して大活躍でした。

富田 ありがとうございます(笑)。大人数だとユニゾンがどうしても多くなるので、私のような低い声は埋もれがちで。ボイトレではマイクに乗りやすい歌い方を指導してくださる方もいらっしゃるんです。ユニゾンは声の調和を大事にしたいけど「私はこういうふうに歌いたいんだよな……」という葛藤もありますね。

左から富田鈴花、松田好花。

左から富田鈴花、松田好花。

──お二人は楽器の演奏ができるからなおさらですが、与えられた楽曲を表現する面白さとは別に、歌ってみたい楽曲を自分たちで自由に作ってみたいという欲求はないんですか? 「もしソロで歌うなら」とか、「この組み合わせでこういう曲を歌いたい」とか。

富田 むちゃくちゃあります。日向坂46にはガールクラッシュ系の曲がないのでやってみたいし、あとはラップ? ずっと自分で作詞をしてみたいなと思っていて。ただ、楽曲をいただくたびに思うんですけど、いろんな方の協力があってこその私たちの楽曲なので、もっと力を付けないとできないなと思います。最近はライブの演出に関しても自分の意見を言うメンバーが多くなってきたので、音楽面でもどんどん意見を出していって、セルフプロデュースができるようなグループになりたいなって。

松田 私は「こういう曲をやりたい」という願望は意外とないなと今話を聞いていて気付きました。「与えられた曲を表現する」というのが体に染み付いているのか、あまり考えたことがなかったなって。でも確かに、ラップが全面に入っている曲とか、メンバーが制作に加わる楽曲ができると、気持ちもより乗せやすいかもしれないし、ファンの方もうれしいだろうし、そういう挑戦ができるのはいいかもしれないですね。

──「このメンバーのこの声を生かすために、こういう曲を作ってみたい」というプロデューサー視点で考えたりするのは、松田さんは得意なのではないでしょうか。

富田 あー、確かに! プロデュースは向いてるかもしれない。ほら、俯瞰的に見れるから。

松田 (笑)。そうですね……えー、どうしよ。

──妄想で架空のユニットと楽曲を考えるだけでも楽しそうですね。

松田 鈴花には絶対1人で歌ってほしくて。私は日向坂46だけじゃなく花ちゃんズもあるから、鈴花の歌声を一番聴いているメンバーだと自信を持って言えるので、1人で歌える技術を持っているのも知ってるし、大好きな歌声なので……でもどういう曲を歌ってほしいかというと難しいな。前にイベントで桑田佳祐さんの「白い恋人達」を歌っている姿も好きだったのでバラードかなあとも思うけど、あえてゴリゴリにラップが入った曲とか。R-指定さんみたいに(笑)。

左から富田鈴花、松田好花。

左から富田鈴花、松田好花。

“箱推し”が多い日向坂46

──最後にこれから先のことについてお聞きします。オーディションによる新メンバー加入を控えて、ここからまた大きく変化していくと思いますが、これからの日向坂46はどういうグループになっていくと思いますか?

富田 日向坂46はグループ力を大事にしているので、今は全員選抜でやらせてもらっているけど、新メンバーが入って人数が増えれば選抜になる機会ももしかしたらあるかもしれないですよね。そういう中でも、ほかのグループにはない団結力、グループ感を出していきたいです。日向坂46は“箱推し”で好きになってくださる方も多いので、みんなのいいところをもっと深く掘り出せるような場所にしていきたいと思います。

松田 うん。実感としても箱推しをしてくださる方がすごく多くて、推しメンが誰かを聞いても「強いて言うならこの子だけど、基本的にみんな好き」みたいな回答をしてくださるんですよね。個人個人が活躍して、また新しいファンの方を獲得してグループに還元して「気付いたら全員好きになってた」みたいな。そういうグループとしてずっと続いていけばいいなと思います。

──花ちゃんズの今後はどうなるんですか?

富田 どうなんだろう(笑)。また2人で何かできたらなと思ってます。最近は2人になる機会がまた増えてきたので、新しいことが2人でできたら。

左から富田鈴花、松田好花。

左から富田鈴花、松田好花。

プロフィール

日向坂46(ヒナタザカフォーティーシックス)

2015年に秋元康プロデュースによる欅坂46のアンダーグループ・けやき坂46として、長濱ねるを中心とするメンバー12人で活動開始。2017年8月には二期生となる追加メンバーが加入し、9月には長濱が欅坂46専任となった。2018年6月に、けやき坂46名義で1stアルバム「走り出す瞬間」を発売。2018年に三期生が加入し、2019年2月には、けやき坂46から日向坂46へグループ名を改名した。同年3月に1stシングル「キュン」を発表し、この曲で年末の「NHK紅白歌合戦」に初出演。以降コンスタントにシングルをリリースし、2020年9月には改名後初のアルバム「ひなたざか」を発表した。2022年6月には通算7枚目のシングル「僕なんか」をリリース。このシングルをもって二期生の渡邉美穂がグループを卒業する。

※記事初出時、本文に一部誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

2022年6月2日更新