ナタリー PowerPush - 日笠陽子
自称「恥ずかしがりの緊張しい」声優 一大プロジェクトの看板を背負う
「私はチームを作りたかった」
──そうやって断片的なイメージやアイテムをもとに映像を作るっていう経験は?
長濱 「少女革命ウテナ」にコンセプトデザイナーとして参加したんですけど、それが一番近いかなあ。ただ、幾原邦彦監督の言っていることはまったくわからなくて……。そのときも監督からもらったのはメモなんですよ。「もっとモロい感じで」とか「もっととがって、それでいて優しさも感じさせろ」みたいな。
──「ぬいぐるみバーン!」以上に抽象的だ(笑)。
長濱 で「オレはなんについて言われてる?」ってなっちゃって(笑)。「これはデザインやフォルムのことですか? それとももっと本質的なこと?」って聞いてみたら「どっちもかもしれん」「でもそうじゃないかもしれん」って。
日笠 うふふふふ(笑)。
長濱 そんな禅問答みたいなことを繰り返しながら絵を出していく作業を「ウテナ」のときにはやってたんですけど、それ以外の作品の場合は、だいたい原作マンガや、大まかなあらすじがありますよね。だから今回みたいな作り方はそれ以来だとは思うんですけど、オレは日笠さんの言うことはなぜかわかる。わかると明言できてしまう。そういう漠然とした信頼みたいなものがあったんです。
日笠 ただ、あくまで「漠然とした」なんですよね。私も勘でしか動いてないから。でも今回思ったんですけど、私、わりと勘がいいなって(笑)。結果、メチャクチャいいものができましたから。ホントの最初の最初「じゃあ音楽を作りましょう」って話になったときに私が言ったのが「一番やりたいことはチームを作ることです」だったんです。まだ長濱さんと出会う前、衣装さんにもメイクさんにも会っていないときに。
長濱 あっ、ホント?
日笠 ええ。マネージャーとプロデューサーと3人だけで話をしているときに「ソロプロジェクトなんだけど、いろんな人と関わり合いながら作ったほうがよりよいものができると思う」「そのためのチームを作れないならやりたくないです」って言っていて。そうしたら、これまでの2枚のシングルと今回のコンセプトアルバムで曲を作ってくれた人たち、楽器を弾いてくれた人たち、メイクしてくれた人、衣装を作ってくれた人、そして長濱さんみたいに映像を作ってくれた人たち……。「日笠のために」って言ってくれる人がこんなにたくさん集まってくれて。
今の日笠陽子のガチの姿とは?
長濱 そしてそのスタッフさんたちが作ってくれたものがアレですからね。PVのセットが組まれたとき、ホントに「うわーっ!」ってなっちゃって。
日笠 スゴかったですよね! 私の思い描くワガママのありとあらゆるものを用意してくれて。「思ってたヤツがまんまあるー!」ってビックリして(笑)。
長濱 「『ぬいぐるみバーン!』ができるヤツを2つ用意しておきましたから」「もし失敗しても予備があります」とかね。
日笠 そのぬいぐるみも「私、キラキラにデコレーションさせたいんですよ」って言ったら、そのまんまのものを作ってくれて。あれ、既製品じゃないんですよ。ネイルチップも既製品じゃないし。「手元が大きく映るシーンがあるから」って衣装さんとプロデューサーさんがいちからデザインしてくれて、それを撮影の日の朝一番からみんなで私の爪にデコレーションしてくれて。皆さん、ホントに私のイメージを当たり前のように超えてくる想像力と腕があるんですよ。
長濱 しかも素晴らしいのが「ああ、日笠さんと監督がそれでいいならいいですよ」みたいな現場ではない。
日笠 監督、「実際にリアルに歌ってもらって、その姿をカメラ1台で撮ろう」って話をしたりもしてましたもんね。
長濱 うん。アフレコ現場の日笠陽子ってすごくカッコいいんですよ。ガチでやってる魅力があるんです。それはPVでもそうで。2ndシングル「終わらない歌」のPVの撮影現場にお邪魔させてもらったんですけど「はい、いきます!」って声がかかると立ち振る舞いが変わるんです。「あー、長濱さんだー」とか言っていたのに、その瞬間、お姫さまや女神さまのようになる。で、今回のPVではそのガチ感を収めたかったから、撮影のスタッフさんに正直に言っちゃったんですよ。これはあとで聞いたんですけど、撮影スタッフはみんな「アニメの監督だし、どんなことを言ってくるんだろう?」って構えてた、と。実際最初の打ち合わせのとき、そういう空気を感じたから「自分が観てもらいたい日笠陽子っていうのはガチな日笠陽子なんです」「ただ実写の現場はわからないんで、それを撮るにはどうすればいいんでしょう?」って。
日笠 そのガチ感とは何か?っていう話し合い中で監督が「もうカメラ1台で撮ってみたらどうだろう」って。
長濱 とにかく思い付く限りのアイデアを出して、それは実写でできるのか? できないのか? 実写に向いているのか? 向かないのか? 全部教えてもらおうと思ったんです。で、そのアイデアの中に「この際、何もかも捨てて、余計な飾りとか装飾品のない日笠陽子という素材で勝負したほうがガチ感が出るんじゃないか」っていうものもあって。でもスタッフさんは、果たしてそれで本当に日笠陽子のガチを表現できるんだろうか? それはそれで「Glamorous days」を聴いてイマジネーションを膨らませた日笠さんの姿という、ある意味ガチの姿を描かないことになってしまうんじゃないか?って提案してくれたんですよ。
日笠 私も監督の話を聞いていて「そうかもな」って思ったんですけど「日笠がイメージしている世界観やストーリーも日笠の一部なんだし、意味のあるものなんだから、それを表現するのもガチなんじゃないか」って言ってくれて。たぶん「一緒に作る」ってそういうことなんですよね。
- コラボレーションアルバム「Glamorous Songs」 / 2013年7月17日発売 / PONY CANYON
- 初回限定盤[CD+DVD] / 2800円 / PCCG-01345
- 通常盤[CD] / 2300円 / PCCG-01346
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CD収録曲
- Glamorous days
(作詞:稲葉エミ / 作曲・編曲:Tom-H@ck) - BALLOON
(作詞・作曲:渡辺翔 / 編曲:渡辺和紀) - Rhythm Linkage
(作詞・作曲:永野椎菜 / 編曲:永野椎菜、熊本克也) - Through the Looking-Glass
(作詞:leonn / 作曲:小室哲哉 / 編曲:渡辺徹) - Reclusive
(作詞・作曲・編曲:Powerless) - Neo Image
(作詞:こだまさおり / 作曲:前澤寛之 編曲:yamazo) - めざまし時計
(作詞・作曲:YADAKO(Myu) 編曲:Masse(Myu))
初回限定盤DVD収録内容
- Glamorous days(Music Video)
- Glamorous days(Music Video)
絵コンテ動画比較版
- Glamorous days
日笠陽子(ひかさようこ)
神奈川県出身の女性声優、ボーカリスト。テレビアニメ「けいおん!」の秋山澪役など、数多くの人気作で主役級のキャラクターの声を多数担当。また、メインボーカルを務めた「けいおん!」のエンディング曲「Don't say "lazy"」がゴールドディスクを獲得し、自ら考案したギャグ「てへぺろ(・ω<)」が流行語となるなど、アニメ業界外でも注目を集める。2013年5月「日笠陽子ソロプロジェクト」を立ち上げ、デビューシングル「美しき残酷な世界」をリリース。6月には2ndシングル「終わらない詩」を、7月には小室哲哉らが参加するコラボレーションアルバム「Glamorous Songs」を発表した。