Official髭男dismが新作音源「Stand By You EP」をリリースした。
今年4月11日にアルバム「エスカパレード」をインディーズでリリースすると同時に、シングル「ノーダウト」で事前告知一切なしの“ゲリラメジャーデビュー”を果たしたヒゲダン。7月には自身最大キャパの会場となる東京・中野サンプラザホール公演を成功に収め、数々の夏フェスで入場規制がかかるほどの大盛況を巻き起こすなど、その注目度と人気は急速に高まっている。そんな状況の中でリリースされる本作には、今夏の経験を注ぎ込んだという表題曲「Stand By You」に加え、テレビアニメ「火ノ丸相撲」のオープニング主題歌となる「FIRE GROUND」、ドラマ「グッド・バイ」の主題歌「バッドフォーミー」、さらに教会で一発録音されたという表題曲のアコースティックバージョンの計4曲が収録されている。
蔦谷好位置、aikoといった、さまざまなアーティストから熱い視線を向けられているヒゲダンとは果たしてどんなバンドなのか? その音楽性からメジャーシーンで活動するメンバーの思い、そして新作の制作にまつわるエピソードまで、メンバー4人にたっぷりと話を聞いた。
取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 後藤壮太郎
野外写真提供:ポニーキャニオン
まずメンバーがザワついた“ゲリラメジャーデビュー”
──メジャーデビューを果たしてから約半年が経ちましたが、バンドを取り巻く状況に何か変化はありますか?
藤原聡(Vo, Piano) 僕らに関わってくれるチームの人数が増えたことで、制作やライブがより面白くなっています。見てくれる人ごとにいろんなヒゲダンの形があると思うので、そういう方々からもらう意見を活動に生かしていけることは単純にいいことだなと。僕ら自身の音楽に対するモチベーションもどんどん上がりますしね。
楢崎誠(B, Sax) ファンの方々もメジャーデビューに関してはすごく喜んでくれていて。それは僕らとしてもうれしかったですね。ただ、突然の“ゲリラメジャーデビュー”という形だったので、ビックリした人も多かったようですけど。
──4月10日に行われたアルバム「エスカパレード」の発売記念イベントで突然発表されたんですよね(参照:Official髭男dism、渋谷に人だかりを作ったイベントでメジャーデビュー発表)。しかもメジャーデビューシングル「ノーダウト」は翌11日発売だけど、店着日だったのでイベント会場でシングルも購入できてしまうという特殊な取り組みで話題になりました。
藤原 結果として「ノーダウト」という曲をたくさんの方々に聴いていただくことができたのは、そういったゲリラ発表を含め、あのタイミングでポニーキャニオンの方々が力を貸してくれたからこそだと思います。
楢崎 うん、それは間違いない。間違いないんだけど、「ノーダウト」がドラマ「コンフィデンスマンJP」の主題歌になってたから疑問を持った方もいたようで……。
──なるほど。「インディーズバンドが月9ドラマの主題歌を手掛けるのは初」というニュースが出ましたからね(参照:インディーズアーティスト史上初、Official髭男dismが月9ドラマ主題歌担当)。でも主題歌である「ノーダウト」はメジャーからのリリースになったので、「アレ?」と思った人はいたのかもしれない。
楢崎 そうそう! ヒゲダンは一体どっちなんだよっていう(笑)。あれはね、主題歌に決まったのは確実にインディーズのタイミングだったんですよ。
松浦匡希(Dr) そこはハッキリさせておかないとね(笑)。
藤原 あのタイアップは、僕らの「Tell Me Baby」という曲を偶然聴いてくださったドラマのプロデューサーさんが決断してくれたもので。インディーズとか知名度がどうとか関係なく、僕らの曲を気に入ったから使いたいとおっしゃってくれたんです。で、「ノーダウト」を用意しているタイミングでメジャーデビューも決まった、という流れなんです。
小笹大輔(G) 僕らはもともと、7月の中野サンプラザホール公演でメジャーデビューを発表するつもりだったんです。でもポニーキャニオンの方が急遽、“ゲリラメジャーデビュー”っていうアイデアを持ってきてくださって。そのときに、単純に「面白いな」って思えたんです。
松浦 うん。まずメンバーがザワついたっていう(笑)。「何それ?」みたいな。でも、ワクワクする気持ちが強かったから、その話に乗っかった感じでしたね。
──そうやって自分たちがワクワクできることを大切にする姿勢は、ヒゲダンの音楽性にも表れている気がしますよね。それが結果的に、聴き手のワクワクにもつながっていると思います。
藤原 まさにそうですね。ゲリラメジャーデビューなんてそうそうできるものじゃないし、それが実現すれば絶対みんなびっくりして、喜んでくれるだろうなって。お客さんがワクワクしてくれるだろうと思えたからこその決断でもあったと思います。
歌に沿うことで生きるフレーズを
──楽曲制作に関してはメジャーに来てからも大きく変わったところはないですか?
藤原 いろんな意見をもらえるいい環境でやらせてもらえていますが、根本的な制作スタイルは特に変わってないですね。基本的には僕がまずデモをワンコーラス分作って、それをもとにみんなで会議をします。「これはライブで盛り上がりそうだね」とか「このメロディはこれからの季節に合いそうだね」とか、いろいろ話していく中でGOが出た曲はフルにして、粗い音源を制作します。で、各々のパートのフレーズを考えてきてもらったうえでレコーディングする。だいたいそんな流れです。
──藤原さんから上がってくるデモを、メンバーの皆さんはどんな気持ちで聴いてますか?
松浦 デモを聴くときは、1人のリスナーみたいな感覚で聴くんですよ。スンとした感じで。
──フラットな気持ちで聴くわけですよね。
松浦 そうそう。でもいい曲が来ると思わず、すっごい笑顔になっちゃいますよね(笑)。
小笹 毎回、「めっちゃいいな!」って思いながら聴いてるよね(笑)。たまに涙すら浮かべちゃうくらいのときもありますから。
楢崎 聡はギター、ベース、ドラムもできちゃうんで、デモを聴いたときに「あ、このベースラインはパクろう」とか考えてますね(笑)。逆に「ここでは自分のエゴが出せるな」とか、案外アレンジのことまで考えながら聴いていることが僕は多いです。
藤原 アレンジに関しては、各々自由に演奏してもらうこともあれば、僕のイメージを口頭で伝えて、それに沿ったフレーズを弾いてもらう場合もあって。けっこうフレキシブルにやってるとは思いますね。
──藤原さんがヒゲダンの楽曲として一番大事にしていることはなんでしょう?
藤原 やっぱりメロディが軸としてしっかり存在している曲を作ることじゃないかな。昔は歌にぶつかるアレンジをしちゃうこともあったんだけど、今はそこをちゃんと意識できるようになったと思うんです。歌の邪魔をしないために音の引き算をしつつ、歌の合間を縫う演奏、歌に沿うことで生きるフレーズをそれぞれが考えられるようになった。その分、間奏とかソロみたいな見せ場ではハジけられるようにしています。そういうスタイルが固まってきている気がします。
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結成した当初はピアノロック的な曲が多かった
- Official髭男dism「Stand By You EP」
- 2018年10月17日発売 / ポニーキャニオン
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初回限定盤 [CD+DVD]
2376円 / PCCA-04716 -
通常盤 [CD]
1296円 / PCCA-04717
- CD収録曲
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- Stand By You
- FIRE GROUND
- バッドフォーミー
- Stand By You(Acoustic Ver.)
- 初回限定盤DVD収録内容
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「Official髭男dism one-man tour 2018 LIVE DVD」– selected from 2018.07.05 中野サンプラザホール –
- ノーダウト
- Second LINE
- Tell Me Baby
- Driver
- 相思相愛
- たかがアイラブユー
- 115万キロのフィルム
- 犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう!
- ESCAPADE
- 発明家
- ツアー情報
Official髭男dism one-man tour 18/19 -
- 2018年11月7日(水)神奈川県 Yokohama Bay Hall
- 2018年11月10日(土)北海道 cube garden
- 2018年11月17日(土)香川県 DIME
- 2018年11月18日(日)愛媛県 松山サロンキティ
- 2018年11月22日(木)島根県 松江 AZTiC canova
- 2018年11月24日(土)鳥取県 米子 AZTiC laughs
- 2018年11月25日(日)広島県 広島CLUB QUATTRO
- 2018年11月28日(水)埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
- 2018年12月1日(土)宮城県 チームスマイル・仙台PIT
- 2018年12月2日(日)福島県 郡山CLUB #9
- 2018年12月9日(日)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2018年12月15日(土)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
- 2018年12月16日(日)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
- 2019年1月11日(金)大阪府 NHK大阪ホール
- 2019年1月12日(土)鳥取県 米子市文化ホール
- 2019年1月18日(金)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
- 2019年1月19日(土)愛知県 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
- 2019年1月24日(木)東京都 NHKホール
- 2019年1月26日(土)福岡県 DRUM LOGOS
- 2019年1月27日(日)鹿児島県 SR HALL
- 2019年2月2日(土)島根県 島根県民会館 大ホール
- Official髭男dism(オフィシャルヒゲダンディズム)
- 藤原聡(Vo, Piano)、小笹大輔(G)、楢崎誠(B, Sax)、松浦匡希(Dr)の4人からなる“ピアノPOP”バンド。2012年に結成され、2014年に行われたコンテスト「V-air あまばん グランプリ大会 2014」でグランプリを獲得する。2015年4月に1stミニアルバム「ラブとピースは君の中」をリリースし、CDデビュー。2018年4月より放送されたフジテレビ系月9ドラマ「コンフィデンスマンJP」に主題歌として「ノーダウト」を提供し、一躍話題を集めた。同月には1stアルバム「エスカパレード」と、メジャーデビューシングル「ノーダウト」を同時リリースした。10月に新作音源「Stand By You EP」を発表し、11月から2019年2月にかけて全国ツアー「Official髭男dism one-man tour 18/19」を開催する。