「No Reason」みたいなメロウなシットが俺らは一番得意
──個人的にはめちゃくちゃメロウな「No Reason」が一番好きでした。
GeG お、マジすか。実は俺らもこの曲はかなり気に入ってます。デカいスタジオにバンドメンバーを呼んで作ったんです。今までは参加するメンバーとLINEでデータのやり取りをしながら作ってたので、制作面ではかなり大きな変化と言えるかも。ちなみに「HERO」もそのデカいスタジオで作ってます。
VIGORMAN スタジオの1階でバンドがレコーディングしている間に俺らは2階で歌詞を書くみたいな。で、たまにトラックを聴くと明確にヤバくなってるんですよ。あれは超新鮮でしたね。
GeG この曲はその場であっちゃん(井上惇志 / showmore)と考えたコード進行で、その場のミュージシャンとセッションしながらブラッシュアップさせていきました。ちなみに今回も1曲もサンプリングをしていないです。ストリングスも全曲入ってますが、すべて生の演奏になってます。毎回サウンドテーマを決めるんですが、前回の「ZIP ROCK STAR」は歪みのギターで、今回はストリングスでしたね! 最高のミュージシャンに囲まれて幸せです。
WILYWNKA こういうメロウなシットは俺らが一番得意なタイプなので、歌詞に関しても音を聴いて言いたいことをそのままリリックにした感じ。
VIGORMAN 変態の曲は俺とタカで16小節ずつ分け合うことが多いんですけど、この曲は8小節ずつ。みんなで作ったからこういう構成になったんだと思う。「No Reason」は早くライブでやりたい。
──次の「DOWN」は「変態紳士舞踏会 -2222-」の直前に先行配信されました。
WILYWNKA この曲を先行配信したのは、これが最初にできたからですね。
VIGORMAN そうそう。音源のリリースが決まってみんなで曲を作り始めて、秋くらいに「冬の曲を作ろう」という話になったんですよ。ひと口に冬の曲と言ってもいろいろあるけど、その日の俺らは春が間近に迫った冬をエモく表現したかった。実は俺らの曲はどれも作った日の感情がものすごく色濃く反映されてるんです。だからこういう感じの曲になった。同じテーマでも違う日に作ったら全然違う曲になった可能性も高い。
──なるほど。だから変態紳士クラブの曲は自然体なんですね。曲としての完成度は非常に高いにも関わらず、どこかラフな雰囲気があるのはなんでだろうと思ってたんですよ。
GeG 俺らはマジでノリ重視というか、それしかないというか(笑)。
VIGORMAN そうそう。だから夏に「DOWN」みたいな曲は書けないし、落ち込んでるときにハッピーな曲は書けない。そういう器用なことができない。だからポンポン曲が作れないというのもある。どの曲にも俺ら自身の感情が色濃く反映されてるから。俺ら今回の「HERO」も含めて12曲しか持ち曲がない(笑)。
WILYWNKA 「YOKAZE」も俺のめっちゃプライベートな落ち込みからできたもんな。
GeG タカが酒で撃沈してるときに書いたんだよね。
WILYWNKA あのときの俺はかなりレベルの高い二日酔いだった(笑)。みんなが想像してる5億倍くらいハードなやつ。スマホの画面見るだけで目眩する、みたいな。実は前日にめちゃくちゃ嫌なことがあって。それで痛飲しちゃったんです。
GeG タカは二日酔いになると鬱っぽくなるんですよ。
WILYWNKA そのまま自宅に帰ると異常に落ち込みそうだったから、逃げるようにGeGの家に行ったらVIGORMANもいて。そのときは撃沈しすぎてたうえに落ち込みまくってたから細かい状況は覚えてないんだけど、「YOKAZE」のギターフレーズが流れてきたんですよ。それで自分のヴァースを書いたんです(笑)。
VIGORMAN 俺はその様子を横で見ていたので、サビでタカの気持ちを代弁してるんです。自分のパートは持ち帰って自宅で書いたんですよ。どうしようか考えてたら、GeGの家でタカが「今日は嫌なことが多すぎた。唯一よかったことと言えば、帰りの高速道路で車の窓を開けて風を感じたときだけだったわ」ってポロっと言ってたのを思い出して。それをサビに落とし込みました。ちなみに最後の1ヴァースは俺の気持ち。ここは別の日に書いてるので、自然とポジティブな表現になりました。
これが今のクオリティ
──「HERO」は5曲ながら、かなり内容の濃い1作になりましたね。
GeG これが今の変態紳士クラブのクオリティなんです。逆に今の俺らからすると「ZIP ROCK STAR」は聴けたもんじゃない。まるまる1枚聴くのはちょっとした罰ゲームですね(笑)。
VIGORMAN だから早くアップデートしたかったんですよ。世の中には昨日初めて「すきにやる」を聴いた人が1人2人はいるはずなので。でも実際の俺らはもうあの状態じゃないから。今回の音源は強めのジャブだと思ってもらえれば。決めのストレートはアルバムでかまします。
GeG まだ全然予定はないけどね。やっぱり早く作りたい気持ちはある。
VIGORMAN GeGは日常が満たされてると全然曲書けないからね(笑)。とてつもなく嫌なことが起きまくったらいっぱいトラック作ってくれるんじゃない?
WILYWNKA じゃあ玄関にマキビシ巻いとこ(笑)。
──冗談はともかく、新型コロナウイルスの影響もあって世の中が今ものすごく暗いからこそ、本作のようなポジティブな音楽を必要としてる人は多いと思います。
GeG 実はレーベルの人からも「発売延期する?」って話が出たんですよ。でも俺らはこんなことになったからこそ絶対このタイミングで出したいと思った。
VIGORMAN 作ってるときはまさかこんな状況になるとは夢にも思ってなかったけど。
──今後世の中がどうなっていくかわかりませんが、早く「HERO」がライブでやれる日が来てほしいですね。
GeG やれるとわかった瞬間に動き出しますよ(笑)。変態紳士クラブの真骨頂はライブなので。
VIGORMAN だからみんなもエネルギーを溜めといてもらいたいよね。
WILYWNKA みんな外出できなくてつらいと思うけど、逆に考えれば変態紳士クラブのすべての曲を覚える時間があるってことだから。「HERO」をがっつり聴いて、昔の曲も全部聴いて、足りなかったらMVも観て(笑)。で、この騒動が終わったら、ライブで一緒にみんなで全曲歌ってスカッとしましょ。ネガティブなマインドをポジティブに変えていくのが変態紳士クラブの会員ですからね。
ライブ情報
- 変態紳士クラブ「変態紳士舞踏会-"HERO" TOUR 2020-」
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- 2020年6月13日(土)福岡県 DRUM LOGOS
- 2020年6月19日(金)愛知県 THE BOTTOM LINE
- 2020年6月25日(木)東京都 Zepp Tokyo
- 2020年6月27日(土)大阪府 Zepp Osaka Bayside