ナタリー PowerPush - Hemenway

連続リリース折り返し地点 再スタートを歌う勝負曲

メジャーでどう売れていくべきか

──僕はバンドには2通りあると思っているんです。「俺はやりたいことをやる」と自分のスタイルを100%貫くバンドと、売れることをちゃんと目的に置いて、そのために状況を分析したり戦略を練ったりするタイプのバンドがいて。僕はHemenwayは後者だと思ってるんですが。

Isaac 確かに僕らは後者ですね。そこは最近自分たちも考えてることで。ただ自分のやりたいことを100%やるというのは、Hemenwayではたぶん違うと思うんですよね。俺らが一番大事に思ってるのが、メジャーでどう売れていくべきかっていうことだし。それは当たり前のことだと思います。

──そうですよね。ちなみに、Hemenwayの所属するキューンミュージックのレーベルメイトで言えば、僕は前者の代表がギターウルフ、後者の代表がASIAN KUNG-FU GENERATIONだと思ってるんです。

Charm(G)

Charm ああ、どちらも大先輩の。

──だからロックバンドのあり方としてどっちが正しいとかどっちが間違ってるとか、そういう話じゃなくて。で、Hemenwayは後者なんですよね。

Charm そうですね。それはたぶん、みんなコンセンサスが取れてるはずです。

Toshi でもIsaacとCharmの2人がアメリカから来たのって、自分たちの音楽をより多くの人に届けたいっていう思いが根っ子の部分にあったと思うんですね。売れることも大事ですが、自分たちの音楽も信じてるし、大切にしてます。

日本のロックシーンで戦う意味

──これも改めて聞きたいんですが、Hemenwayっていうバンドを結成する前、4人はアメリカにいたわけじゃないですか。

Isaac そうですね、みんなアメリカにいましたね。

──そのときに“日本のロック”をやろうと思ったわけですよね。Charmさんはどうやって日本の音楽に出会ったんですか?

Charm これはそれぞれ違うと思いますけど、まず僕とIsaacは韓国系アメリカ人で。僕は生まれたのは韓国ですけど、小さい頃からアメリカにずっといたんです。そういう人って、音楽的に根本がないということに最近気付いたんですよね。どこが邦楽かどこが洋楽なのかわかんない状態にいるというか。アメリカと韓国と日本の音楽の、どれが自分の国の音楽なのかっていう。特に僕はロス出身で、ロスはいろんな文化が集まってるところなので。で、僕が中学生のときに初めて日本の音楽として聴いたのがX JAPANなんです。あのメロディの作り方とか、ロックの精神とか、ギター2人が一緒に弾いてる姿とか、ドラマーが曲を作ってピアノまで弾いてるっていうこととか、いろいろと衝撃で。ほんとに素直に好きなものがそれだったという。

──Isaacさんはどうでしょう?

Isaac 僕はたまたま日本の音楽が自分の中に入ってきて好きになった感じですね。僕もCharmと同じく韓国で生まれて、小さいときにアメリカに渡って、すごい田舎に住んでて。その環境になじめなかったんですよね、つまんない学校時代を送ってたし、正直友達もあんまりいなかったし。そのとき出会ったのがL'Arc-en-Cielで、それが日本の音楽を好きになったきっかけだったんです。そこから彼らが僕の中で憧れの存在になって、だから日本にも行きたいって思ったし。

──なるほど。Toshiさんはどうですか?

Toshi(Dr)

Toshi 僕は中学高校時代にロックバンドを組んでたんですけど、その時は逆にアメリカのハードロックとかにすごい傾倒してて。GUNS N' ROSESとかSKID ROWとかMOTLEY CRUEとかばかり聴いて、コピーして。邦楽からはちょっと距離をとってたんですよ。で、アメリカの大学に行ってみんなと出会ったわけなんですけど、その頃はジャズとかネオソウル、R&B、ファンクなんかをすごい聴いてて。その一方で、僕、Charmと一緒に3年間くらいルームメイトしてたんですけど、彼から邦楽のことをいろいろ聞かされて。そこでRADWIMPSとか、「面白いバンドいっぱいあるよ、日本に」って言われた。それでめっちゃカッコいいなって思ったんです。逆輸入じゃないですけど(笑)、Charmから教えられたみたいなところがありますね。Charmと出会うことによって、そういう見方を自分の中に取り込めたっていう。

Ogaching(B)

──Ogachingさんはどうですか?

Ogaching 僕もほとんどToshiくんと一緒なんですけど(笑)。僕たちの世代ってやっぱりアメリカに憧れて、中高は洋楽にハマったんです。僕の場合はオルタナティブロック、グランジとかに傾倒していて。それこそNIRVANAとかTHE SMASHING PUMPKINSとかFOO FIGHTERSとか、そういうのをとにかく聴きまくった。でも、アジカンとかRADWIMPSとか、僕が憧れてたエッセンスをちゃんと体現してる人たちが日本でもどんどんメジャーに出てきていて。それは日本に帰ってきてから知ったんですよね。そのシーンの中で、僕たちも戦ってみたいなっていうのがすごくありましたね。

ニューシングル「スタート革命」 / 2013年6月26日発売 / Ki/oon Music
通常盤 [CD] / 1223円 / KSCL-2248
期間限定盤 [CD] / 630円 / KSCL-2249
通常盤収録曲
  1. スタート革命
  2. 吐かない言葉
  3. Dreamboat
  4. スタート革命(アニメ OP Ver.)
  5. スタート革命(Shining Guitar Ver.)
期間限定盤収録曲
  1. スタート革命
  2. スタート革命(アニメOP Ver.)

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Hemenway(へめんうぇい)

アメリカ・バークリー音楽大学を卒業した韓国系アメリカ人のIsaac(Vo, G)、Charm(G)、日本人のOgaching(B)、Toshi(Dr)の4人からなるロックバンド。2010年にIsaacとCharmが来日し、日本に帰国していたOgachingとToshiとともにバンドを結成した。2011年11月にメジャーデビューシングル「Listen」を発売。アメリカで学んだ音楽理論や技術を反映したハイクオリティなサウンド、美しいメロディ、日本語と英語を柔軟に交えた情感豊かな歌詞で注目を集め、2012年1月リリースのシングル「バイマイサイド」はアニメ「NARUTO -ナルト- 疾風伝」のエンディングテーマに起用された。同年5月にアニメ「エウレカセブンAO」のオープニングテーマであるニューシングル「Escape」を、11月には配信限定のミニアルバム「裏ヘメ Welcome to the Other Side」をリリース。2013年に入ってからは10カ月連続新曲リリースおよび連続ライブを実施している。同年6月にニューシングル「スタート革命」を発表。