ナタリー PowerPush - Hello Sleepwalkers
現実と仮想の狭間を歩く 新進気鋭の5人組ついにデビュー
現実と仮想を両方感じてもらいたい
──昨年10月にタワーレコード限定でシングル「センチメンタル症候群」がリリースされましたが、反響はいかがでしたか?
動画サイトなどでアップされているので、そのコメントをよく読んだりするんですが、自分の曲なのに自分に言われている感じがしなくて(笑)。コメントしてくれること自体はとてもうれしいのでメンバーもしっかり見ているようです(笑)。ただ、いきなり全国で観てもらえることになったことに、まだ追いついてない自分もいるんですよね。
──バンド名「Hello Sleepwalkers」はとてもインパクトがありますね。
ありがとうございます。現実感を帯びた「walker」と空想という世界観を持つ「Sleep」を名前に入れ込んだんです。歩くという現実感と、夢を見ているような感覚を両方感じてもらえたら、という思いを込めているんです。
──このバンドだからこそ表現していきたいことはどんなことですか?
現実のリアルだけを歌うのではなくて、仮想の世界観も歌っていきたいというか……2面性のある曲を歌っていきたいんです。
変化を受け止めることが必要
──歌詞にもその世界観はとてもよく現れていますよね。歌詞はどんな風に作っていくんですか?
よく作り方がおかしい、といわれるんですが、曲が徐々にできていく速度に合わせて歌詞も書いていくんです。
──というと?
Aメロができたとしたら、そこにドラムやハモリまで作った状態で、やっと次の小節を作っていくんです。
──すごい! シュンタロウさん自身が次の展開を想定できていないなら、リスナーに楽曲の展開が読めるわけないですよね(笑)。
あはは(笑)。そうかもしれないですね。僕自身も作っている最中は楽曲がどう展開していくかが全く読めないんです。楽曲に言葉が誘われて、徐々につぎはぎのようにつながれて歌詞が作られていくんです。
──メンバーのその時々の感覚も楽曲に反映されていますよね。
そうですね。なので、その時々の瞬間が詰まった楽曲に否が応でもなってしまうというか……。僕ら自身、次にできる曲がどうなるかもわからないんです。基本的に変化が必要だと思うので、できた曲がどんなものに仕上がっても変化を怖がらず、柔軟に受け止めていきたいです。
──それにしても歌詞の言葉選びはとても独特ですね。何か愛読書があったり、好きな作家がいたりするんですか?
それが、本を読まないんですよ。歌詞にはそのときの感覚を新鮮に反映させるようにしているので。
──わざと個性的な言葉を選んでいるような気もしたんですが。
「月面歩行」や「惑星Qのランドマーク」は狙って言葉を探しましたね。景色がいろいろ変わっていくような感じが面白いかなと思ったんです。楽曲に言葉が呼ばれたり、言葉から楽曲が浮かんだりと、その時々で乗せ方は変わってきますね。
アルバムは今の感情を閉じ込めた“ベスト盤”
──Hello Sleepwalkersの楽曲はとても個性的ですが、最初にメンバーに曲を聴かせたときには、どんな反応をされることが多いですか?
いつも最初は大体反応が薄いんですよ。「あれ?」って思うくらい(笑)。でもメンバーはその曲を何度も演奏していくうちに最終的に「面白いね」って言ってくれるようになるんです。……まあ洗脳に近いですよね(笑)。
──あはは(笑)。ほかのメンバーの皆さんはどんなキャラクターなんですか?
僕よりかなり物静かですね。
──シュンタロウさんも静かなほうだと思うんですが(笑)、そうなると例えばみんなで「夏休みに花火するぞ!」みたいな弾けた感じは……。
……全くないですね。
──(笑)。激しい気持ちを静かに音に込めているのかもしれないですね。
そうですね。まず、デビューするにあたって、インタビューで僕がこんなに話すことになるとも思っていなくて……。でも仕方ないので話すことにしました(笑)。
──じゃあライブのMCでは困るのでは?
本当に困るんですよ……。何を話していいか全くわからなくて。デビューすると、今までのようにポツリポツリ話すわけにはいかないので、自分へ課せられた修行だと思ってがんばります。
──楽しみにしていますね。では、最後にアルバム「マジルヨル:ネムラナイワクセイ」の紹介をお願いします。
このアルバムに収録された7曲は、これまで活動してきた僕らのある意味“ベスト盤”になっているんです。今の感情を閉じ込めた、今の僕らにしか生むことのできない楽曲がぎっしり入っているので、ぜひじっくりと聴いてもらいたいですね。
Hello Sleepwalkers(はろーすりーぷうぉーかーず)
シュンタロウ(Vo, G)とマコト(B)を中心に結成され、その後ナルミ(G, Vo)、タソコ(G)、ユウキ(Dr)が加入し、現在の5人編成となる。2011年10月にタワーレコード限定シングル「センチメンタル症候群」をリリースした。2012年1月18日にはA-Sketchよりデビューアルバム「マジルヨル:ネムラナイワクセイ」を発表。