そもそも、テクノポップをやろうと思って作ったわけではないですからね
——そんな中、国内ではPerfumeの活躍があってテクノポップな音楽シーンが人気が高まってますが、そこで気になるアーティストとかいたりします?
同時期にそういう人達が出てきているのは良いことだなと思います。でも、スイバケに関してはテクノポップとはちょっと違うと思ってるんです。スイバケはもう少しオーソドックスなメロディラインを強調しているというか。
——そもそもスイバケはテクノポップというジャンルを意識してたんですか?
してないかもしれないですね。そもそも、テクノポップをやろうと思って作ったわけではないですからね。取材とかで言われるようになって「あ、そうなんだ!」って思うようになりました。サウンド的にはハウスって言ってたんですけどね。
——ハウスっていうのは早川さんの中ではどんな音楽だったんですか?
僕の中でのハウスは、Deee-Liteですね。あとは、正確にはハウスではないけどペットショップ・ボーイズですね。その2つはすごいファンなんですよ。
——じゃあスイバケの原点はそこにあるんですかね?
うん。ペットショップ・ボーイズやDeee-Liteかもしれないですね。
——じゃあ、ここまでお話聞く限り早川さんの音楽的なルーツってファミコンであったり、パソコンのプログラミングだったり、小泉文夫さんであったり、クラブ・ミュージックであったり、いろんな入り口があるようですね。
YMOから始まるテクノ路線ってのは大きかったかもしれないですね。YMO聴いてDeee-Lite聴いて、ペットショップボーイズ聴いて、槇原敬之聴いて、trf聴いて。あとは小泉文夫から始まる民族音楽的な路線であったり。大きく分ければその2つになるのかもしれないですね。
——2つの要素が有機的に繋がってこそ、今の早川さんが誕生したって感じですね。そうやってお話を聞くと、Sweet Vacationと東京エスムジカを同時にやられているアンビバレントな感じにも納得がいきます。
あと、スイバケの活動をする上で大事なコンセプトがあるんです。日本の音楽マーケットは、歴史が長いからプロデューサーとか、システムが成熟しているんですよね。でも、シンガーっていうのは生まれ持っての素質が大切じゃないですか? そう考えると、フラットに見ればボーカリストはどこの国の人でも良いんですよね。なのでアジアのシンガーと日本のプロデューサーって組み合わせはなるべくしてなったって感じがあるんですよ。もっと増えても良いんじゃないかな。
——あー、そこはスイバケの面白いところですよね。
あとエスムジカに関して言えば90年代の共産主義の崩壊によって、今まで触れられなかった音楽にどんどん触れられるようになったことって大きいんですよね。モンゴルの音楽やルーマニアの音楽も、昔なら絶対触れられなかったと思うんです。そんなタイミングってありますよね。だから東京エスムジカもスイバケも、実はものすごいグローバリズムの影響を受けてるんです。10年以上前だったら両方ともできなかったかもしれないんです。
——そういうグローバリゼーションの影響もありつつ、インターネットなどのIT(情報技術)によって世の中の情報公開が進み、便利になり、さも世の中が世界が狭くなったかのような錯覚を持ってしまう時代ですが、そんな風潮って早川さんはどのように思われたりしてるんですか?
面白いと思ってます。たとえば日本の音楽業界はCDのセールスで見る限り、どんどん縮小してますよね?じゃあ、このまま頑張ってみたって昔の人にはかなわないんですよね。やっぱりもっと新しいフロンティアが欲しいわけですよ。今はきっと小室哲哉さんみたいに音楽をたくさんの人たちに売ることは難しいでしょうから。だとしたらもっと違うフロンティアを探していきたいんです。そのひとつが海外であり、インターネットの活用ですよね。実際、MySpaceを使うことで海外のファンと話すこともできました。
——しかも、海外に行けば日本のカルチャーが面白がられている現状もあるんですよね。アジアはもちろん、アメリカやフランスなどでもJ-POPを軸としたフェスが行なわれてし。早川さんの場合、好きな旅をすることによって、強く感じられてそうですよね。
日本のカルチャーは強いんですよねぇ。評価も高いし。なので、スイバケも東京エスムジカも頑張っていきたいですね。応援よろしく御願します!
——そういえば、早川さんは、作曲家としてELTなど、いろいろなアーティストに楽曲提供もされていますよね?
メロディーを他のアーティストに提供するという仕事は好きで、楽しんでやってます。Every Little Thingの「スイミー」や、ピストルバルブ「TREASURES~世界が終っても~」は、シングル曲に選んでもらったりして嬉しいですね。作曲活動は、今後も続けていきたいです。では、オファー待ってますということで(笑)。