俺たちは結局ストリート上がり

──苦悩についても歌っている「New Era」は、そのような状況から生まれたんですね。

うん、まさにそうです。あと苦悩という意味では、グループの活動の中から生まれたものもありました。俺らは湘南乃風としてもう本当に長いこと一緒にやってるから、メンバー間でいろいろ衝突するときもあった。音楽性の違いとか。でも、これって長い時間一緒にいると、友達付き合いでも起こりうることだと思う。だから俺たちは、いつもみんなでなんでも言い合えるようにしてました。今は4人が全員違うことがグループとしての幅と魅力になっている、と全員が思えるようになりましたね。

──湘南乃風はもともと非常にアンダーグラウンドなシーンから出てきたグループですが、個人的には大ブレイクしたあとも当時とあまり印象が変わらない部分があります。それはなぜだと思いますか？

いやいや、俺たちはだいぶ様変わりしましたよ（笑）。日本のフィールドに合わせることでリスナーを増やしていった部分はあると思っています。だからオーバーグラウンドに挑戦する気持ちで制作した作品もありましたし。だけど心持ちと言うか、人間性と言うか、そういう部分は変えようと思っても変えられない。結局ストリート上がりなんですよ、俺たちは。俺のアルバムまでたどり着いてくれた人だったら、そういう感覚は今でも感じてもらえると思います。さらに言えば、グループの中でも、俺が日本のシーンにストリート感のあるレゲエを紹介する存在なのかもしれないですね。

──メロディアスでありながら、ストリート感を出すのはすごく難しいことだと思います。一歩間違うと歌謡曲ふうになってしまう。

もしも俺の歌ってることや、こういう発言を聞いて、それが現場からの声だと感じてくれる人がいるのであれば、それは俺が未だにストリートの現場にいるからだと思う。仮に現場からいろんな言葉を吸い上げたとしても、歌ってる人がそこにいなければ説得力は生まれないんじゃないかと思っています。

──HAN-KUNさんがストリートの現場にい続ける理由はなんですか？

好きだから（笑）。

──「New Era」の「笑いたきゃ笑え」という歌詞も印象的でした。

ターバン巻いたワケわかんないやつが「日本を変える」とか笑わせんじゃねえよ、って言う人もいると思うんですよ（笑）。と言うか、そもそも世の中には、俺のことを知らない人のほうが圧倒的に多い。だけど、時代が変わって本当に俺が好きなレゲエが世の中に広まったとき、「あのとき、HAN-KUNってやつが『New Era』って曲を歌ってたんだ」って思ってもらえたらうれしいですね。

──今後はどのように活動していく予定ですか？

今年は俺自身がソロ10周年であると同時に、湘南乃風の結成15周年でもあるんです。だからまずはグループとしての感謝を伝えるために全国を回りたいと思っています。そしてソロに関しては、11年目である来年に盛大に祝いたいと思ってます。新しく生まれ変わると言うか。だから今年はその準備もしつつ、湘南乃風として活動します。俺としてアニバーサリーイヤーが2年も続く感じですね（笑）。かなり面白いことになると思いますよ。あ、でももしかしたら今年中に何かがあるかも？ 10周年だし“10”にまつわるタイミングで……とか言っときます（笑）。