強い曲ってなんだろう……

──シングルにはカップリング曲として「皆さん、Love&Peaceです！」が収められます。この曲は今年1月発表の「ともだち」に続く、レーベルメイトであるRYUTistとのコラボユニット・柳♡箱の第2弾楽曲ですね（参照：柳♡箱「ともだち」特集 RYUTist×ハコイリ♡ムスメ対談）。

阿部　私は「ともだち」のレコーディングやミュージックビデオ撮影のときにちょうど活動休止していて。リリースイベントで自分の写っていないポスターにサインしたり、ハコムスのメンバーとRYUTistさんがすごく仲よくなっているのを目にしたりして、私1人が置いてきぼりにされたような疎外感を感じたんですよ（笑）。で、南波（一海）さんに「早く次の曲を出してください！」ってお願いをしたんですけど、まさかこんな早くに第2弾の曲を歌えると思っていなかったのですごく気合いが入ってます。

──「皆さん、Love&Peaceです！」は2組の友情をさわやかに描いた「ともだち」とはまた方向性の違った、にぎやかでさわがしいナンバーに仕上がっています。

鈴木　塩野が「次は強い曲がいい」と言っていたので、スタッフ陣で「強い曲ってなんだろう……」って考えたんです。「夏だからレゲエかな、ソカかな」って。

──弾けるようなノリにハコムスのイメージを少しはみ出している印象を受けました。ハコムスにもRYUTistにもない曲ですよね。

鈴木　まさにそこを目指していて、それぞれのグループじゃ歌わないけど柳♡箱だったらできる曲をやろうという考えがテーマになっています。

──ぱいぱいでか美さんが初の歌詞提供をされているのも、大きなトピックスの1つです。

鈴木　私もメンバーもぱいぱいでか美さんもハロー！プロジェクトが大好きなので、ハロプロへのリスペクトを込めて“愛と世界平和”というテーマで歌詞を書いていただいたんです。

我妻　ハロプロさんには「この曲いい曲だけど、結局何が言いたかったんだろう？」みたいな曲が多いじゃないですか。「皆さん、Love&Peaceです！」にも「四つ葉二つあるの幸せすぎて怖いからおすそ分けだよ」とか突拍子もない歌詞がいっぱいあって最初はびっくりしたんですけど、最後まで曲を聴いたら“愛と世界平和”を感じました。去年から今年にかけてのアイドル界の様子が変わってきていて、悲しいニュースも多い中で聴く人に「アイドルってまだまだ楽しいな」っ思ってもらえたらいいですね。

ハコムスという本の中で素敵な物語を紡いでいけたら

──先ほど少し話題に出ましたが、7月29日には東京・オルタナティブシアターで結成4周年を記念したワンマンライブ「ハコイリ♡ムスメ1stコンサート」が開催されます。毎月AKIBAカルチャーズ劇場で行われている定期公演とはまったく違うものになるんでしょうか？

阿部　全然違いますね。定期公演はトークも多いし、企画コーナーもあるし、お芝居をやる「劇団ハコムス」を披露することもあるし、曲以外でも私たちの個性を見てもらうライブで。一方、1stコンサートでは楽曲で皆さんに思いをお伝えしたくて、初めて曲だけで構成されるライブに挑戦します。今までは2、3曲ごとにトークを挟んでいたし、そもそもそんなに激しく踊らないグループだからフィジカル面に不安があるんです。なので、スタッフさんからの提案で“地獄の強化合宿”をやることになりました。

我妻　フィジカル面は精神面にもつながってきますからね。

──「アームレスリング大会Powered byTOWER RECORDSザ・感謝祭」（参照：時は来た！TIF腕相撲大会の出場者決定、因縁の森咲樹＆酒井瞳は決勝シード / =LOVE、腕相撲、指原の涙！さまざまなドラマ生まれた「TIF」2日目）で活躍した我妻さんが言うと、説得力がありますね（笑）。

鈴木　合宿では朝から海辺を走ろうかなと思っています。

阿部　里奈ちゃんは今からエアーサロンパスを用意しているみたいですよ（笑）。

──ワンマンライブはカバー曲のみの公演「青春の音符たち」とオリジナル曲のみの公演「私たちの宝バコ」の2本立てで行われ、1日で30曲が披露されます。曲数への不安もあるんじゃないですか？

吉田　そうですね。私は最近腹筋をやり始めたり、学校でも体育の時間の授業前に走ったりしていて、だんだんと体力が付いてきました。体力以外の歌やダンスの面でもまだまだ伸ばせるところがあると思うので、もっともっとがんばります。

寺島　定期公演でも息が上がることがあるので1日で30曲を披露するのは未知の世界なんですけど、強化合宿で体力を付けて臨めるので楽しみな気持ちもあります。

阿部　みんな強化合宿に気を取られてるけど、私たちが目指しているのは強化合宿の先にあるワンマンライブだからね？（笑）

──（笑）。ハコムスは特に大きな目標などを明確に掲げず今まで活動してきたように見えますが、1stコンサートの先に見据えているものはありますか？

鈴木　大きい会場でライブができたらという気持ちももちろんあるのですが、それは結果であって目標ではなくて。その前にハコムスは女の子本来のかわいさ、美しさを広めるユニットでありたいと思っているんです。私は今のアイドル界に面白味を感じていなくて、盛り上がって騒げればいいという考えのステージや専門性の高い音楽を披露することは、果たしてアイドルがやることなのだろうかと思っています。だからハコムスではアイドルでしか表現できないものをちゃんと届けていきたいし、もう一度1980～90年代のような古きよき女の子の時代が来てほしいなと思っているので、その先陣を切っていきたいです。周りが流行りに迎合してもうちはブレずに（笑）。今は少数派なので逆に変わったことをやっているように見えちゃうんですけど、それが普通になってくれたらいいですね。

──ほかのアイドルグループと違い、ハコムスはお客さんを沸かせないことに異常な熱量をかけていますよね。特に初期の頃は対バンライブなどに出ると観客を煽るアイドルが多い中、1組だけ明らかに浮いていて。正統派すぎて逆に異端な存在になっていました。

鈴木　MIXとかを叫ぶのではなく、心の中で沸いてほしいんですよ。美しさでため息が出てしまうような、心に染みるようなものをいつか見せられたらいいなと思っています。

我妻　見ている方を癒やしたいという思いはずっと大事にしているんです。仕事や学校でつらいことがあったときに、私たちのライブを観て「明日からがんばれそうだな」と思ってくれたらうれしいですね。メンバーが変わってもその心がけは変わらずに持っていたいです。

阿部　私はハコムスを本みたいなグループだと思っているんです。全体のコンセプトは一貫していても、中身は章ごとに区切られていると言うか、メンバーが変わったときに次の章に進んでいって。そのときのメンバーによってグループの雰囲気は変わっていくけど根本はそのままで、ハコイリ♡ムスメというタイトルの中で素敵な物語を紡いでいけたらいいなと思います。