ハコイリ♡ムスメ|“エトワールを夢みる少女たち”が見据えるその先の世界

ハコイリ♡ムスメが7月10日に通算2枚目の全国流通シングル「エトワールを夢みて」をリリースする。本作の表題曲ではパリ・オペラ座バレエ団の最高位ダンサーであるエトワールを目指すバレエ少女たちの気持ちが、7月29日に東京・オルタナティブシアターでのワンマンライブ「ハコイリ♡ムスメ1stワンマンコンサート」を控えるメンバーの心情と重ね合わせるように描かれている。

音楽ナタリーでは1期生でリーダーの我妻桃実、2期生の阿部かれん、3期生の吉田万葉、4期生の寺島和花に加え、鈴木美紗乃プロデューサーにインタビューを実施し、ニューシングルやワンマンライブについて語ってもらった。また1980~90年代のアイドルの熱狂的なフリークである鈴木Pに、その時代のアイドル楽曲を数多くカバーし、正統派ながらもシーンの中で異彩を放っているハコムスのコンセプトや音楽性について改めて話を聞いた。

取材・文 / 近藤隼人 撮影 / 関口佳代

元気でフレッシュな今のハコムス

──ハコイリ♡ムスメは今年の7月に結成4周年を迎えますが、現在のハコムスはどのような雰囲気を持ったグループだと思いますか?

我妻桃実

我妻桃実 一昨年に3期、昨年に4期メンバーが入ったことで平均年齢がグッと下がって。その3期と4期の年齢が近いということもあり、全体的に元気でフレッシュな空気感が出ていると思います。

──「女の子本来の可愛らしさ」を表現して「癒しと安らぎ、トキメキ」を与えるというコンセプトは変わっていなくても、グループの印象は初期と比べてかなり変わったように感じます。4年前は今よりもう少し大人っぽい印象で。

鈴木美紗乃 結成当初のハコムスは中学2年生から高校2年生という年齢層でしたが、3期と4期には加入時まだ小学生だったメンバーもいましたからね。

──2015年春に2期生として加入した阿部さんは、今のハコムスにどのような印象を持っています?

阿部かれん 私が入った頃はメンバー同士の年齢がわりと近かったんですけど、今はけっこう離れてるんですよね。今年の春に高校を卒業した私が一番歳上で、中1の戸羽望実が一番歳下で。でも上の子が下の子の面倒を見たり、アドバイスしたりすることでグループ内のバランスが取れているし、みんなのびのびとステージに立てていると思います。昔と今を比べるとその辺の安定感が違うんじゃないかな。

──3期の吉田さん、4期の寺島さんは、戸羽さん、井上姫月さん、塩野虹さんと共に子供組としてまとめられることが多いですよね。

吉田万葉

吉田万葉 私はハコムスで活動を始めたときはまだ中1で、先輩たちは高校生のお姉さんばかりだったので常に緊張していました。それまではプライベートでも高校生とは接することがなかったし。

阿部 その高校生が(神岡)実希(昨年5月にグループを卒業)ちゃんとかだもんね(笑)。昔のほうが怖いメンバーが多かった。

鈴木 昔は1人ひとりの個性と言うか、我が強かったんですよね。鉄戸(美桜。今年3月にグループを卒業)が活動休止から戻ってきたとき、3期や4期が今日の給食はなんだったとか、あまりに平和な会話をしているから「え? ハコムスの楽屋ってこんなだったっけ?」と衝撃を受けていました。

──そうなんですね。

我妻 会話の内容が平和な今と比べて、以前はキツいジョークが飛び交っていたんです(笑)。活動していく中でだんだんとお互いに理解し合って、それぞれ欠如している部分をフォローしていったのが初期のハコムスだったと思います。でも今も3期と4期同士で振りや歌を教え合うことがあって、昔のハコムスを少し思い出しますね。

寺島和花 私も最初はお姉さんメンバーのことが怖くてガチガチだったんですけど、レッスンを重ねていくにつれてのびのびとできるようになりました。

「ムスメ」の時期にしか表現できないものを届けたい

──今年のハコムスは“攻めのハコムス”をキーワードに活動していますが、具体的にどういったことに攻めの姿勢で臨んでいるのかを改めて聞かせてください。

鈴木 今までやったことないことをやってみようという思いがあって、カバーアルバム(今年2月発表の「青春の音符たち~Respect for 80's&90's」)を発売したり、生バンドでライブをやったり、初めてのワンマンライブを企画したりしました。

──昨年までは毎年新メンバーが加入していましたが、今年は鉄戸さんの卒業後も5期メンバーを入れずに活動していますね。

鈴木 毎年新メンバーが入って来ると、歌や踊りなどを最初から教えることで活動が一旦リセットされるような感覚があって。これまでは新メンバーを入れるかどうかを運営が決めていたんですけど、今はグループがとてもまとまっていていい雰囲気になっていると思えたので、今回始めてメンバーたちに相談したんです。結果新メンバーを入れないということになり、同じメンバー編成で続けるなら今までできなかったことに挑戦してみようと攻めの姿勢に出ることにしました。まあ、ハコムスなりにですけどね(笑)。

我妻 優しい攻め方です(笑)。

──メンバーとしては新メンバーを入れるかどうかを相談されたとき、どのような思いで今のままの編成で続けるという結論を出したんですか?

我妻 実は最初に話し合ったときは、新メンバーを入れようって結論を一度出したんですよ。そのときは鉄戸と阿部が受験のためにお休みしていて私と3期、4期だけで活動していた状態で、2人がいつ復帰してくるかわからない不安定なところもありつつ、新しいハコムスができあがってきた時期だったので。で、万葉とちこ(寺島)が来年に高校受験を控えていることを考えると、今年の春に新メンバーを入れて、教えるべきことをある程度教えた段階で2人が活動休止に入ればいいのかなと考えてたんです。でも、もう一度話し合ったときに現在のハコムスの雰囲気が楽しいという話が出て。じゃあ、ここからはその楽しい気持ちにスキルをプラスしていこうということになったんです。

──当時、活動休止中だった阿部さんはどのように考えていました?

阿部かれん

阿部 この先もし高校3年生のぽにょ(我妻)が大学受験で休んだとしても自分ががんばれば大丈夫かなと考えていたし、私は最年長で“ムスメ”でいられるタイムリミットが迫っている立場なので、いずれ卒業するときはこのメンバーのハコムスから旅立っていきたいと思っていました。

──なるほど。鈴木さんとしては、もともとハコムスにどのような青写真を描いていたんですか?

鈴木 結果的に今年は新メンバーを入れませんでしたが、ずっと同じメンバーで活動していくという考えは最初からなくて、モーニング娘。さんみたいに卒業するメンバーもいれば新しく入ってくるメンバーもいるグループを構想していました。在籍する年数や構成する年齢はバラバラでも、常にそのメンバーでできる最高の「ハコイリ♡ムスメ」を表現して、さらにその活動の中で自分ができることを見つけていって、最後はみんなから拍手で見送られて卒業していきましょうねってメンバーにも話しているんです。「ムスメ」の時期にしか表現できないものを届けたくて。

──3期、4期を加入させたのは、グループを若返らせたいという狙いがあったわけではなく?

鈴木 そういうことではなく、グループを長く続けていきたいという思いがあったので、加入してから3、4年経ったときにちゃんと戦えるような実力が付くようにと長期的な目で見て若いうちに入れました。そのおかげで平均年齢が下がって、モーニング娘。さんで言うとプラチナ期に9期と10期が入ってきたみたいな感覚です(笑)。いつか新メンバーを入れずにそのままの編成で活動させたいという思いもあって、そのタイミングが今年だったかなと。グループの平均年齢が若くなり、さらに上のメンバーが下の子たちにいろいろと教えられる環境ができあがったので。

──思い描いていた理想に近付いてきたから、新メンバーを入れるシステムを一旦ストップさせたところもあると。

鈴木 そうかもしれませんね。今は高校1、2年生くらいのメンバーが星(里奈)しかいないので、今後新メンバーを入れるとしたらそれくらいの年齢の子を入れるかもしれないです。モーニング娘。さんで言うと飯窪(春菜)さんみたいな(笑)。

我妻 おー。3期と4期にとっては歳上の後輩ができるってことだよ。

吉田 なんかドキドキする(笑)。

ハコイリ♡ムスメ「エトワールを夢みて」
2018年7月10日発売 / PENGUIN DISC
ハコイリ♡ムスメ「エトワールを夢みて」

[CD]
1200円 / PGDC-0008

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収録曲
  1. エトワールを夢みて[作詞:浅野まこと / 作曲・編曲:James Panda Jr.]
  2. 皆さん、Love&Peaceです! / 柳♡箱[作詞:ぱいぱいでか美 / 作曲・編曲:KOJI oba]
  3. エトワールを夢みて(Instrumental)
  4. 皆さん、Love&Peaceです!(instrumental)
イベント情報
ハコイリ♡ムスメ1stコンサート カバー公演 ~青春の音符たち~
  • 2018年7月29日(日) 東京都 オルタナティブシアター
    OPEN 12:30 / START 13:00
ハコイリ♡ムスメ1stコンサート オリジナル公演~私たちの宝バコ~
  • 2018年7月29日(日) 東京都 オルタナティブシアター
    OPEN 18:00 / START 18:30
ハコイリ♡ムスメ
ハコイリ♡ムスメ
女優志望の十代女子により2014年夏に結成されたユニットで、現在のメンバーは阿部かれん、我妻桃実、星里奈、寺島和花、吉田万葉、井上姫月、塩野虹、戸羽望実の8人。オリジナル楽曲のほか1980~90年代アイドルソングの名曲をレパートリーに持ち、「癒しと安らぎ、トキメキ」を与えることをテーマにしたパフォーマンスで「女の子本来の可愛らしさ」を表現している。また女優としての側面を生かし、2014年秋には「劇団ハコムス」を旗揚げ。芝居と音楽を融合した公演を行っている。2016年7月より、タワーレコード内に新設されたレーベル・PENGUIN DISCに参加。同年11月に初の全国流通シングル「ハコいっぱいのプレゼント」を発表した。2018年1月にPENGUIN DISCのレーベルメイトであるRYUTistとのコラボユニット・柳♡箱として、シングル「ともだち」をリリース。同年2月にはカバーアルバム「青春の音符たち~Respect for 80's&90's」を発売した。7月には2枚目の全国流通シングル「エトワールを夢みて」をリリースするほか、東京・オルタナティブシアターでカバー曲の公演とオリジナル曲の公演2部構成のワンマンライブ「ハコイリ♡ムスメ1stワンマンコンサート」を開催する。