音楽ナタリー Power Push - GRANRODEO

「鉄血のオルフェンズ」の先に見た「少年の果て」

ちゃんとエモってます!

──確かにe-ZUKAさんのおっしゃる通りGRANRODEOをきっかけに、いろんな音楽をたしなむリスナーが誕生するのはお二人のファンにとってはもちろん、音楽シーンにとってもとてもいいことですよね。

e-ZUKA そういう活動を微力ながらもやっていきたいな、とは思うから、GRANRODEOのカタログを充実させることにはこだわりがあるんです。だからフェスとかイベントでのセットリストもあえてバリエーションを持たせるようにしたりしてますし。

KISHOW GRANRODEOのファン以外の人にも「世の中にはいろんなハードロックやヘヴィメタルがあるんだぜ」って知ってもらいたいですしね。ただ、オレは実は「名も無き日々」についてはe-ZUKAさんとはまた別の思惑があって。e-ZUKAさんの言う通り、ものすごく最近のGRANRODEOの王道っぽい。「あったわー! GRANRODEOにこういう曲!!」って感じの曲だったから(笑)。これ、いつもの調子で詞を書いて、いつもの調子で歌っちゃうと、埋没してしまう……極端に言ってしまえば捨て曲になっちゃうな、とも思ったんですよね。

──でもこの曲もこの曲でほかの2曲に負けず劣らず“キャラ立ち”がいいですよね。

「GRANRODEO LIVE 2016 G11 ROCK☆SHOW -TRECAN ▶◉◀ PARTY-」

KISHOW 一応努力はしてみましたから(笑)。さっき「わかりづらく書くのが作詞のコツ」とか言っておきながらアレなんですけど、この曲についてはすごく歌詞を丁寧に作ろうと思っていて。「ニセモンの存在証明に」なんて感じで世の中や自分のことを憂いていた男が、最終的には「『君の為に生きる』なんて言いたいんだぜ なんて言えたなら ticket to heaven 手に入れたも同然」と誰かのために生きることで“名も無き日々”を前向きに生きていこうとする物語を描いた。こういう作詞をすることは最近のGRANRODEOの王道というかオレの王道からは外れたことですから。

──「独りで頑張ってんだ」「君の為に生きる」「君を守りたい」と言い切るあたりもKISHOWさんにしては珍しいですよね。

KISHOW そうそうそう。明確な意思を表明するのも珍しいことだな、とは思ってます。最近親不知を抜いたんですけど、この歌詞を書いて、レコーディングしたのはその前……つまり気持ちが弱る前だったから、はっきりと「君の為に生きる」なんて歌えたのかもしれない(笑)。あっ、あと1個、この曲に関しては歌い方も、今風……っていうと、果たしてちゃんとそうなっているのかは怪しいんだけど、最近の日本のエモ系、ラウド系バンドっぽく、ちょっとダンサブルに跳ねる感じにしてみたりとか、歌い方や息の使い方のクセをだいぶん強くしてみたりはしてるんですよ。

──その試みって成功してますよね。実際、僕、お二人から「GRANRODEOの王道っぽい」って話を聞きながら「そうか?」って思ってましたから。

e-ZUKA そう思ってもらえるとうれしいですね。

KISHOW うん、ちゃんとエモってます!(笑) もしかしたら「KISHOW、歌が聴き取れないよ」っていう人もいるかもしれないけど、まあ、それはそれで上等です、って感じですし。「皆さん、せっかくCDを買ったんだから、歌詞カードをご覧になればいいじゃないですか」って(笑)。

セクシュアルなことを歌ってこそのKISHOWであり、GRであり

──そして「HARD DRIVING MIDNIGHT」は、サウンドは70年代ハードロック的かもしれないけど、歌詞は逆にGRANRODEOっぽいレトリックに充ち満ちてますよね。

KISHOW すごく「っぽい」ですよね。

──暗喩的に夜のアレコレ、言ってしまえば下ネタを歌ってるあたりが(笑)。

KISHOW これを歌ってこそのオレであり、GRANRODEOですよね(笑)。こういうのを「範疇だから」ということでやらせてもらえるユニットだから、GRANRODEOは。

──だったら男女の間で行われる「ミッドナイトフェスティバル」について高らかに歌いますよね(笑)。

KISHOW はい。だいたいロックなんてものはセクシュアルであるべきですから(笑)。

──1つの正論かと(笑)。

KISHOW だいたい「これこそが私の常套手段でございます」ってくらいのものですからね。まさに「『HARD DRIVING MIDNIGHT』はGRANRODEOっぽい」って話なんだろうけど、後ノリのちょっとエロチックなビートの曲が届いたときに、こういうセクシュアルな歌詞以外書けたためしがないんだから(笑)。だから、もうスムーズどころの騒ぎじゃないくらいスムーズに書けましたね。唯一、気を付けたのは日本語の詞であるということ。曲自体が本当に洋楽を視野に入れた曲だから、どう考えても英語のほうがハマるに決まってるんだけど、そのメロディにいかにGRANRODEO流、言ってしまえばオレ流の歌い方と崩し方を駆使しつつ日本語を乗せるかっていうことは多少考えたし。ただそこにはもちろんやりがいはあるんだけど、だから悩んだのか? 迷ったのか?って言われれば、全然そうではなくて。迷うことなくこういう言葉があふれ出ちゃってた感じなんです。

GRANRODEO

──でもおっしゃる通り、すごく「日本の歌の文句」らしくない詞を作り上げてますよね。しかも面白いのが「本来」「元来」「本質」「本懐」「ガンメン(顔面)」と、すごく日本語らしい日本語を使ってるのに、まるで日本語らしく聞こえないということで。

KISHOW あっ、ホントだ(笑)。でもどれもあんまり歌詞では見かけない言葉ですよね。だから日本語なのに日本の詞っぽく聞こえないのかもしれない。

──で、最後の質問なんですけど、2016年後半戦を怒濤の勢いで駆け抜けてきたお二人ですけど、2017年ってどうしましょう?

KISHOW 来年は、アルバム(「Pierrot Dancin'」)とそれを引っ提げてのツアーがあるわけで。それはそれで楽しみでしかないですね。その今年の夏のツアーが本当に楽しかったんで、また早くやりたい。今は「やっぱライブだな」っていう思いに回帰している感じなんですよ。まあその前にアルバムを作らなきゃいけない……いや、どんなアルバムになるのか楽しみではあるんだけど、オレはオレで作詞という枷が待ってるし、e-ZUKAさんには曲作りの日々という枷が待ってるわけだし……。

e-ZUKA (深く頷きながら)間違いなく枷です。

──「枷」って(笑)。

KISHOW でももう40代もいいところのおじさん2人が「アルバムを作ればツアーで歌える」ってすごくシンプルなところに楽しみを見出しているのは事実で(笑)。そのツアーをより楽しいものにするためにも、いいアルバムを作りたいな、とは思ってるし、いいアルバムを作ります!

ニューシングル「少年の果て」 / 2016年11月23日発売 / Lantis
初回限定盤 [CD+DVD] / 1944円 / LACM-34555
通常盤 [CD] / 1404円 / LACM-14555
CD収録曲
  1. 少年の果て
  2. 名も無き日々
  3. HARD DRIVING MIDNIGHT
  4. 少年の果て(OFF VOCAL)
  5. 名も無き日々(OFF VOCAL)
  6. HARD DRIVING MIDNIGHT(OFF VOCAL)
初回限定盤DVD収録内容
  • 少年の果て(Music Clip)
ニューアルバム「Pierrot Dancin'」2017年2月8日発売 / Lantis
「Pierrot Dancin'」
GRANRODEO LIVE TOUR 2017
  • 2017年5月20日(土)北海道 Zepp Sapporo
  • 2017年5月21日(日)北海道 Zepp Sapporo
  • 2017年6月9日(金)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
  • 2017年6月10日(土)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
  • 2017年6月17日(土)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2017年6月18日(日)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2017年6月24日(土)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
  • 2017年6月25日(日)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
  • 2017年7月1日(土)宮城県 仙台PIT
  • 2017年7月2日(日)宮城県 仙台PIT
  • 2017年7月8日(土)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2017年7月9日(日)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2017年7月16日(日)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2017年7月17日(月)愛知県 Zepp Nagoya
GRANRODEO(グランロデオ)

ボーカリストのKISHOW(谷山紀章)とギタリストのe-ZUKA(飯塚昌明)からなるユニット。2005年結成。同年11月、アニメ「IGPX」のオープニングテーマ「Go For It!」でデビュー。声優としても活躍するKISHOWの表現力豊かなハイトーンボーカルと、e-ZUKAによるハードロックマナーに則ったヘヴィでメロディアスな楽曲群で人気を博す。以来コンスタントにリリースを重ねる一方で、2010年には東京・日本武道館で結成5周年記念ライブを実施。その後も神奈川・横浜アリーナ、大阪・大阪城ホール、埼玉・さいたまスーパーアリーナなどホール、アリーナクラスでのワンマンライブを敢行し、「Animelo Summer Live」などの大型フェスではヘッドライナークラスのポジションを確立する。2015年9月にはデビュー10周年記念ベストアルバム「DECADE OF GR」を発表した。また10月には千葉・幕張メッセ 国際展示場1-3ホールにてユニット結成10周年を記念した2DAYSライブイベント「GRANRODEO LIVE 2015 G10 ROCK☆SHOW」を開催した。また2016年には4月にテレビアニメ「文豪ストレイドッグス」のオープニング主題歌「TRASH CANDY」を、そして11月にはテレビアニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」の第2期エンディング主題歌「少年の果て」を発表。2017年2月には、通算7枚目となるアルバム「Pierrot Dancin'」をリリースし、5月からは、GRANRODEO LIVE TOUR 2017 を開催する。