音楽ナタリー Power Push - GRANRODEO

11年目の幕開け飾るやさぐれロックチューン

野音対応のダンスナンバー

──今お話に出た2曲目の「Lovers High」は、1曲目の「TRASH CANDY」との落差にビビるというか、ずっこけるというか。

e-ZUKAKISHOW ははは!(笑)

──ソリッドなロックチューンである「TRASH CANDY」のあとに、激アッパーでポップなダンスチューンが続くという。

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e-ZUKA 今回のシングルも3曲入りで、3曲目の「帰結する共犯者」は僕がAC/DCみたいなシンプルなスタジアムロックをやりたいと思って書いたんです。で、「もう1曲どういうのがいい?」ってきーやん(KISHOW)に聞いたら「ダンスナンバーがいいんじゃないですか?」って。過去にも「SEA OF STARS」(13thシングル「We wanna R&R SHOW」のカップリング曲)とか「Beat it, Love!」(15thシングル「愛のWarrior」のカップリング曲)みたいな四つ打ちのダンスナンバーはあったけど、また打ち込みメインにした曲をやってもいいなと思って。

──歌詞を拝読するに真夏の歌ですが、これは夏のツアーを意識して?

e-ZUKA そう。最初は、ダンスナンバーでもちょっと艶っぽいというか、マイナー系なのもカッコいいかなと思いながらも、作っているうちに、せっかく夏にツアーがあることだし、盛り上がれる夏の曲にしようと。まあ、ツアーのために出すようなシングルでもあるわけだから(笑)。

──ツアーには野音(東京・日比谷野外大音楽堂、大阪・大阪城野外音楽堂)も含まれますしね。

e-ZUKA そうなんです。野音でやることもわりと意識して。

──でも、ここまで振り切ったダンスナンバーになるとは。

e-ZUKA これもやっぱり最近の邦楽のダンスナンバーを聴いて、上から目線で失礼ですけど、よくできてるなって。正直、また失礼ですけど、軽く聞き流すと陳腐に思えるんだけど、ちゃんと聴くとさすがプロの仕事だなって。アレンジの細かい部分もそうだし、MVもよくできてるし、そういうのにちょっと影響を受けたかな。

40歳のおじさんが書いちゃいけない歌詞

── 「Lovers High」は夏のダンスナンバーであり、ラブソングでもありますよね?

KISHOW そうです。自分でも驚いてます。いくつになってもこういうの書けるんだなって。これこそ中二病なのかもしれない。40歳のおじさんが書いちゃいけない歌詞(笑)。

──書いちゃいけない(笑)。しかも、未練がましいと言っては失礼ですけど、例えば「君の甘い部分を切り取って僕にちょうだい」という歌詞のあとに「残りの部分もちょうだい」って、結局全部くれよって話で。

KISHOW そうそう。「そのくらいラブだぜ!」って、たぶんお嬢さん方のご機嫌をうかがったんでしょうね、僕としましては。「君のすべてが欲しい」というのを、わざわざ2行に分けてね。

──なるほど、普通は1行で済むところを。

KISHOW もったいぶってる。このあたりに作為的なものを感じて非常に鼻に付くんですけど(笑)。まず「甘い部分だけ」欲しいと言って、じゃあ残りも引き受けるからって喜ばせようとする魂胆にスケベ心が透けて見えますね。はい、いいと思います。

「いろんな曲できるよ」というのを見せたい

──以前のインタビュー(参照:GRANRODEO「DECADE OF GR」インタビュー 10年分の感謝と祝福すべき未来)で、アルバムでは統一感を、シングルでは表題曲とカップリングとのコントラストを意識されるというお話をされていましたね。

e-ZUKA おお、そうですね。

──今回も振れ幅が大きいというか、先ほどおっしゃったように3曲目の「帰結する共犯者」はシンプルかつオールドスクールなハードロックで。

e-ZUKA そうですね。たぶん、僕らの音楽に興味を持ってもらいたいからじゃないでしょうか。例えば表題曲の「TRASH CANDY」を気に入ってCDを買ってくれた人が、似た感じの曲をもっと聴きたいと思っても、このシングルには入ってないわけですよね。そうすると「じゃあアルバム買ってみよう」って、なったらいいなと。逆に「TRASH CANDY」はあんまりピンとこなかったけど、シングルはアニメのグッズとして欲しいと思って買った人が、カップリングの「Lovers High」をすごく好きになって、こういう感じのグランの曲をほかにも聴きたくなって、アルバムを買うわけじゃないですか(笑)。

──とにかくアルバムを買わせたい(笑)。

e-ZUKA まあ、カタログと言ったら変だけど「いろんな曲あるよ、いろんな曲できるよ」っていう感じはちょっと見せたいですよね。僕のギターに関してはあんまり変わらないかもしれないけど、きーやんの歌い方は曲によってすごい変わるから、そういうところも注目してほしいし。

「TREASURE」が見つかるツアーにしたい

──「帰結する共犯者」の歌詞は、現代的というか、思わせぶりなところがありますね。

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KISHOW まあ、言ってみれば時事ネタですよね。時事ネタをすごく薄めて書いた感じです。あんまりはっきり言及すると叩かれそうなんで(笑)。全部が全部ネガティブなネタではないですけど。

──ポジティブなところだと、「あの星に還ったスターマンにとびきりの笑顔でシャウト」という一節が。

KISHOW それはもう、彼へのリスペクトですよね。すでに2016年はいろんなことが起こってるんで、それら諸々に対して自分の思うところを「これ、バレたらシャレになんねえな」みたいなのも含めて、込めました。それを「帰結する共犯者」という、いかにもそれらしいタイトルでまとめてみたっていう。

──この曲も熱のあるハードロックで、夏のツアーで盛り上がりそうですね。

KISHOW 夏のツアーは7月頭から9月頭まで約2カ月間、ずっと暑い時期なんで。その暑さに便乗して、よりホットなライブができればいいと思いますね。あと「TREASURE CANDY」というツアータイトルなんで、お客さんたちも、僕たちも、何か宝物みたいなものが発掘できればいいなと。

e-ZUKA ひさびさのライブハウスツアーなので、すごく楽しみですね。最近はわりと大きな会場が多かったので、また違った面が見せられると思うし。あとは、ひさびさといえば野音ですね。あまり詳しくは言えないけど、野音とライブハウスでは演出も曲も変える可能性が高いので、そこも含めて楽しみにしていただければと思います。

ニューシングル「TRASH CANDY」 / 2016年4月13日発売 / Lantis
「TRASH CANDY」初回限定盤 [CD+DVD] 1944円 / LACM-34465
「TRASH CANDY」通常盤 [CD] 1404円 / LACM-14465
「TRASH CANDY」アニメ盤 [CD] 1404円 / LACM-14466 ©2016 朝霧カフカ・春河35 / KADOKAWA / 文豪ストレイドッグス製作委員会
CD収録曲
  1. TRASH CANDY
  2. Lovers High
  3. 帰結する共犯者
  4. TRASH CANDY(OFF VOCAL)
  5. Lovers High(OFF VOCAL)
  6. 帰結する共犯者(OFF VOCAL)
初回限定盤DVD収録内容
  • TRASH CANDY(Music Clip)
GRANRODEO LIVE TOUR 2016 TREASURE CANDY
  • 2016年7月2日(土)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2016年7月3日(日)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2016年7月9日(土)大阪府 大阪城野外音楽堂
  • 2016年7月16日(土)宮城県 仙台PIT
  • 2016年7月17日(日)宮城県 仙台PIT
  • 2016年7月22日(金)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
  • 2016年7月23日(土)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
  • 2016年7月30日(土)大阪府 なんばHatch
  • 2016年7月31日(日)大阪府 なんばHatch
  • 2016年8月13日(土)東京都 日比谷野外大音楽堂
  • 2016年8月20日(土)北海道 Zepp Sapporo
  • 2016年8月21日(日)北海道 Zepp Sapporo
  • 2016年9月3日(土)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2016年9月4日(日)愛知県 Zepp Nagoya
GRANRODEO(グランロデオ)
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ボーカリストのKISHOW(谷山紀章)とギタリストのe-ZUKA(飯塚昌明)からなるユニット。2005年結成。同年11月、アニメ「IGPX」のオープニングテーマ「Go For It!」でデビュー。声優としても活躍するKISHOWの表現力豊かなハイトーンボーカルと、e-ZUKAによるハードロックマナーに則ったヘヴィでメロディアスな楽曲群で人気を博す。以来コンスタントにリリースを重ねる一方で、2010年には東京・日本武道館で結成5周年記念ライブを実施。その後も神奈川・横浜アリーナ、大阪・大阪城ホール、埼玉・さいたまスーパーアリーナなどホール、アリーナクラスでのワンマンライブを敢行し、「Animelo Summer Live」などの大型フェスではヘッドライナークラスのポジションを確立する。2014年9月には6枚目のアルバム「カルマとラビリンス」をリリース。翌2015年1月には22枚目のシングル「Punky Funky Love」を、6月に23作目「メモリーズ」を、9月にはデビュー10周年記念ベストアルバム「DECADE OF GR」を発表した。また10月には千葉・幕張メッセ 国際展示場1-3ホールにてユニット結成10周年を記念した2DAYSライブイベント「GRANRODEO LIVE 2015 G10 ROCK☆SHOW」を開催した。2016年4月にはニューシングル「TRASH CANDY」をリリース。表題曲はテレビアニメ「文豪ストレイドッグス」のオープニングテーマに採用された。