音楽ナタリー Power Push - GRANRODEO
11年目の幕開け飾るやさぐれロックチューン
GRANRODEOがニューシングル「TRASH CANDY」を4月13日にリリースする。通算24枚目にしてデビュー11年目の第1弾シングルである本作の表題曲は、テレビアニメ「文豪ストレイドッグス」のオープニングテーマ。ヘビーなギターリフとスピード感のあるサビのコントラストも鮮やかな、ソリッドなロックチューンだ。そしてカップリングは激アッパーなダンスチューンと王道のスタジアムロックという、振れ幅の大きさも健在。昨年デビュー10周年を迎えた彼らが、この「新たな一歩」とも位置付けられる本作をどのような思いで制作したのか、KISHOW(Vo)とe-ZUKA(G)の2人に話を聞いた。
取材・文 / 須藤輝 ライブ撮影 / M.キセキ
どうせやることは変わんないから
──ニューシングル「TRASH CANDY」は、デビュー10周年を迎えてから最初のシングルとなりますね。
e-ZUKA(G) そうなんですよね……。それに、さっき気が付いたんですよね。
──(笑)。
e-ZUKA 何か考えときゃよかったんですけど(笑)。いや、まあいつものことなんですけど、シングルを出すときは何か新しいもの、つまりリスナーの方々に「お、そう来たか!」とか「あれ、ちょっと今までと違うぞ?」とか、ほんの些細な部分でも驚きを与えたいなと思っていて、今回もそういう感じなんです。CD発売前からラジオでフルバージョンも流しちゃってますし、アニメのトレイラーも公開されてますけど、今のところわりと評判がよくて。「11年目の1発目にふさわしい」みたいに思っていただけているようで、よかったなって。
KISHOW(Vo) なんか「新たなる決意で」とか「気分を一新して」みたいなのは特にないんですけどね。GRANRODEOとして音楽を10年やってきて、そこで培ってきたもの、経験やらなんやらを背負いつつ、その延長線上でまた一歩前進する、みたいな。まあ、当然っちゃ当然なのかもしれませんけど。とにかくまた会社がタイアップをとってきてくれて、ありがたいなと(笑)。
──お話を振っておいてなんなんですけど、この話題はどっちに転んでもよかったというか、お2人とも気負いなしでやってらっしゃるならそれはそれでGRANRODEOらしいし、何か決意めいたものがあるならそれはそれでぜひお聞きしたいし。
KISHOW 去年、10周年ということでお祝いしてもらったりしたので、気持ちの整理はしやすかったですよね。なので「次の一歩を踏み出しましょうか」っていうのは一応あるんですけどね、気持ちの中では。まあ、どうせやることは変わんないからさ(笑)。これからどういう道のりになるかわからないけど、僕らとファンが望む限り、GRANRODEOをやっていきたいっていうことですよね。
表題曲のイメージは「やさぐれ」
──表題曲「TRASH CANDY」はテレビアニメ「文豪ストレイドッグス」のオープニングテーマでもありますが、原作をどのように解釈して曲と詞に落とし込んだのでしょうか?
e-ZUKA 曲から作ったんですけど、だいたい僕はそこまで原作を深く読み込んだりしなくて、今回も斜め読み的に拝読したところ、なんとなくやさぐれたようなイメージを持ったんですね。で、実はこの「TRASH CANDY」は2曲目なんですよ。
──つまり、最初のデモはボツに?
e-ZUKA そう。でも、それはアニメ側に指摘されたわけではなく、GRANRODEOスタッフの中で「いや、これは今までにもあったパターンですね」みたいに指摘されましてね。要は、サビがちょっとメロディアスになりすぎて、なんか切ない感じになっちゃったんですよ。
──できあがった曲はあまりやさぐれていなかった。
e-ZUKA この「ストレイドッグス」、つまり“野良犬”の不良っぽさ、やさぐれ感を出すためにどうしたらいいかなと思って、サビで同じ音を反復させて、バックの演奏が変わっていくような……過去のグランの曲でいうと「Black out」(2ndアルバム「Instinct」に収録)みたいなリフっぽいメロディにして、今の形に落ち着いたんですよ。あとは、このキービジュアルのイメージを踏まえて。やっぱりオープニングで使われるんで、曲に映像が乗ったきにどうマッチするのかは考えましたね。
──「TRASH CANDY」は緩急を付けた、フックの多い曲ですよね。いきなりシンセで始まったかと思えば、つんのめり気味の重いギターリフがあり、再びシンセと打ち込みパートを挟んで徐々に盛り上がっていき、サビ前で加速するという。
e-ZUKA それも、下世話な言い方をすると絵が付けやすいから(笑)。僕も20年ぐらいこの業界でアニメの楽曲を作っているから、そういうのが染み付いちゃってるというか、サビで「おお、きたー!」みたいな突き抜けた感じがないとカタルシスが得られない。でもやっぱり、タイアップってけっこうプレッシャーがあるんですよ。新しいものを求められるし、監督をはじめとするアニメの制作さんも「今までよりカッコいい曲を」って期待してくれてるから。中には「『Can Do』(16thシングル / アニメ「黒子のバスケ」第1期1クール目オープニングテーマ)みたいなのをお願いします」なんて言ってくる人もいるんですけど。
──それは困っちゃいますね。
e-ZUKA もうできません(笑)。今回は特に何も言われていないんですけど、非常に申し訳ないことに、締め切りを守れなかったんですよね。本当は年内中に仕上げるという話で……。しかも、年末のカウントダウンライブにアニメのスタッフさんがいらして、まあ、土下座しましたよね(笑)。
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- ニューシングル「TRASH CANDY」 / 2016年4月13日発売 / Lantis
- 「TRASH CANDY」初回限定盤 [CD+DVD] 1944円 / LACM-34465
- 「TRASH CANDY」通常盤 [CD] 1404円 / LACM-14465
- 「TRASH CANDY」アニメ盤 [CD] 1404円 / LACM-14466 ©2016 朝霧カフカ・春河35 / KADOKAWA / 文豪ストレイドッグス製作委員会
CD収録曲
- TRASH CANDY
- Lovers High
- 帰結する共犯者
- TRASH CANDY(OFF VOCAL)
- Lovers High(OFF VOCAL)
- 帰結する共犯者(OFF VOCAL)
初回限定盤DVD収録内容
- TRASH CANDY(Music Clip)
GRANRODEO LIVE TOUR 2016 TREASURE CANDY
- 2016年7月2日(土)福岡県 DRUM LOGOS
- 2016年7月3日(日)福岡県 DRUM LOGOS
- 2016年7月9日(土)大阪府 大阪城野外音楽堂
- 2016年7月16日(土)宮城県 仙台PIT
- 2016年7月17日(日)宮城県 仙台PIT
- 2016年7月22日(金)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
- 2016年7月23日(土)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
- 2016年7月30日(土)大阪府 なんばHatch
- 2016年7月31日(日)大阪府 なんばHatch
- 2016年8月13日(土)東京都 日比谷野外大音楽堂
- 2016年8月20日(土)北海道 Zepp Sapporo
- 2016年8月21日(日)北海道 Zepp Sapporo
- 2016年9月3日(土)愛知県 Zepp Nagoya
- 2016年9月4日(日)愛知県 Zepp Nagoya
GRANRODEO(グランロデオ)
ボーカリストのKISHOW(谷山紀章)とギタリストのe-ZUKA(飯塚昌明)からなるユニット。2005年結成。同年11月、アニメ「IGPX」のオープニングテーマ「Go For It!」でデビュー。声優としても活躍するKISHOWの表現力豊かなハイトーンボーカルと、e-ZUKAによるハードロックマナーに則ったヘヴィでメロディアスな楽曲群で人気を博す。以来コンスタントにリリースを重ねる一方で、2010年には東京・日本武道館で結成5周年記念ライブを実施。その後も神奈川・横浜アリーナ、大阪・大阪城ホール、埼玉・さいたまスーパーアリーナなどホール、アリーナクラスでのワンマンライブを敢行し、「Animelo Summer Live」などの大型フェスではヘッドライナークラスのポジションを確立する。2014年9月には6枚目のアルバム「カルマとラビリンス」をリリース。翌2015年1月には22枚目のシングル「Punky Funky Love」を、6月に23作目「メモリーズ」を、9月にはデビュー10周年記念ベストアルバム「DECADE OF GR」を発表した。また10月には千葉・幕張メッセ 国際展示場1-3ホールにてユニット結成10周年を記念した2DAYSライブイベント「GRANRODEO LIVE 2015 G10 ROCK☆SHOW」を開催した。2016年4月にはニューシングル「TRASH CANDY」をリリース。表題曲はテレビアニメ「文豪ストレイドッグス」のオープニングテーマに採用された。