音楽ナタリー Power Push - GRAND KIRIN with ポルノグラフィティ
新藤晴一(G) ビールの思い出を振り返ると、21、22歳頃が思い出深いですね。その頃のポルノグラフィティはまだライブもできなくて、スタジオにたまに入るぐらいの活動でした。当時大阪に屋台村っていうところがあったんですけど……。
岡野昭仁(Vo) いろんな居酒屋とか屋台が集まっててね。通路の真ん中にテーブルがあって、お店で買ったものを持ち合って乾杯するみたいな。
新藤 そうそう。そこに当時のメンバーでよく集まって、ビールを飲みながら夢を語ってましたね。それだけの活動が半年ぐらい続いたんですよ。熱い話をしながら飲むビールっていうのは、今でもやっぱりいいなあと思います。
岡野 まあきっと最後は女の子の話とかになって盛り上がってたんでしょうけど(笑)。当時は銘柄とかわかってなくて、とにかく「ビールが好き」「生ください!」って感じで飲んでいて。とにかくビールって身近なお酒だから、今日は「ワイワイと打ち上げをしよう」とか、そういうときにぴったりですよね。
岡野 最近は昼間にビールを飲むのが好きになりました。休日の昼間に何をするわけでもなく、ちょっと片付けでもしようかなとか、そういうときにプシュッと飲みながら作業するっていうのが「ええな俺、大人やな」って(笑)。まあおっさんっぽいかもしれないけど、そういう1杯はすごくうまいですよね。
新藤 僕も昭和のお父さんじゃないけど、たまに早く帰れたときにはビールを準備して、広島東洋カープの試合の放送を待ちますね。明るい時間からビールを飲むのって本当に最高で、「昭和のお父さんはわかってたんだな」って納得しました。野球観戦とビールはやっぱり合います。
岡野 あと、家で気楽な感じで曲作りしてるときもたまに飲みます。「今日ちょっと1本飲んでやってみようかな」「高揚した感じで作ってみよう」みたいな。間違いなくノッてきますからね。でも考えてみると、そういうときって大体行き詰まってることが多くて、ビールを飲んでパッと自分を解放させたいんだろうな。
新藤 僕は飲み出すとビールに集中しちゃうので、作業中は飲まないようにしてます(笑)。でも自分が作詞作曲した楽曲の仮ミックス作業が夜中に終わったときなんかは家に帰って音源を聴きながらビールを飲むと、緊張が解かれたような、ホッとした感じになりますね。自分が作詞作曲した楽曲は特に責任が重いんですけど、「これ、うまくできたな」って思いながら飲むビールはうまいです。「思ったより化けなかったな」っていうときはやっぱりビールが苦く感じますし(笑)。
岡野 今回「グランドキリン」を初めて飲んだけど、おいしいですね。苦味があって、キレがあって、大人の味がします。「雨のち太陽のセゾンビール」はさわやかで飲みやすい。
新藤 うん。「雨のち太陽のセゾンビール」は広島のお好み焼きに合いそうですよね。さっぱりしてるからソースと合いそう。熱々のヤツをホクホクと食べながら。
岡野 「グランドキリン」は牡蠣の土手鍋かな。キリッとした感じが味噌と合うと思うなあ。想像しただけでおいしそう……。手軽においしいクラフトビールが飲めるのってうれしいですよね。実は僕、最近までクラフトビールをちゃんと味わったことがなかったんですけど、お店でクラフトビールを飲み比べたり、樽から出してすぐの新鮮なヤツを飲んでから違いがわかったというか。キリンさんが手がける代官山のSPRING VALLEY BREWERY TOKYO(お店で作ったクラフトビールを楽しめるダイニング)にも行く機会があったんですけど、店員さんが詳しく説明してくれるし、いろんなクラフトビールが飲めてめちゃくちゃ感動しました。ビールを作るブリューワーによって味が違うとか、クラフトビールのそういう一面を知るのも楽しいなあって。
新藤 おいしいビールを作るのってすごく大変だと思いますし、ブリューワーさんはそれぞれのおいしさを追求していて本当にすごいなあと思いますね。
岡野 きっとブリューワーさんも僕たち音楽家と同じく、突き詰めれば突き詰めるほど「これは本当に伝わるんだろうか?」と迷うこともあるんじゃないかな。自分も曲を制作してるときは、「この曲いいね」って言われたくて作ってるし、ずっと自分ではいいと思ってやってるんですよ。でも作っていく中で、いろいろと迷うこともある。だから作りながら「自分を信じよう」って思う瞬間はたくさんあるんじゃないかなと。音楽もビールも届ける相手が絶対にいるし、作ってるときは試行錯誤だと思いますよ。
新藤 5月25日にリリースされた「THE DAY」のタイトル曲は、僕が作詞作曲したものです。テレビアニメのオープニングテーマで、もちろんどういうお話か踏まえた上で書き下ろしましたけど、感情移入してしまうと主人公のセリフが頭に残って歌詞に影響してしまうと思ったので、そこまで原作を熟読しすぎず、俯瞰で見て解釈して制作しました。それがちゃんとハマると作品と相乗効果でよりよいものになると思うんですよね。
岡野 最初にこの曲を聴いたときは、壁があったり、足を引っ張るものもあるけど、それでも前に行くんだっていう前向きな気持ちを感じて。だから歌詞に気持ちを乗せて、ワナワナした感じで歌いましたね。カップリング曲の「My wedding song」も最初は気持ちを乗せて、結婚式という状況を思い浮かべながら歌っていたんですけど、途中で曲のプロデューサーさんに「この曲は受け手側がいて初めて完成するものだから、そこまで入り込んで歌わなくていい」と言われて。それがすごく自分にとって発見だったんですよ。曲に入り込んで歌うのがいいのかそうじゃないのかは、曲や歌詞、世界観によって使い分けるのがいいんだなって勉強になりました。
新藤 「My wedding song」は、マネージャーの結婚式に2人で出席したとき、自分たちの曲がまったく使われなかったことがきっかけで作ったんです。ほかのアーティストの曲はたくさん流れていたんですけど(笑)。でもそこで結婚式って本当に素晴らしいなあって改めて感じたんですよね。結婚式で流れるって、曲にとってもすごく幸せなことだと思うんです。僕たちはデビューしてからずっと、今だって何十万人にも聴いてもらえるようなヒット曲を作りたいって思っていますし、今回は結婚式で使ってもらいやすいような、その人の人生の思い出に寄り添えるような曲になったらいいなと思って制作しました。
岡野 ポルノグラフィティの今後の活動としては、9月に神奈川・横浜スタジアムで野外ワンマンライブ「横浜ロマンスポルノ'16」を開催します。今絶賛ライブの内容を考えているので、楽しみにしていてほしいです。野外で夏の終わりにお祭り騒ぎをして、みんながハッピーになれるようなライブにしようと思ってます。
- ニューシングル「THE DAY」/ 2016年5月25日発売 / SME Records
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 1600円 / SECL-1922~3
- 通常盤 [CD] / 1300円 / SECL-1924
- 期間生産限定アニメ盤 [CD] / 1500円 / SECL-1925
CD収録曲
- THE DAY
[作詞・作曲:新藤晴一 / 編曲:江口亮、Porno Graffitti] - My wedding song
[作詞・作曲:新藤晴一 / 編曲:立崎優介、近藤隆史、田中ユウスケ、Porno Graffitti] - ルーシーに微熱
[作詞・作曲:岡野昭仁 / 編曲:宗本康兵、Porno Graffitti]
初回限定盤DVD収録内容
- THE DAY Video Clip
ポルノグラフィティ
岡野昭仁(Vo)と新藤晴一(G)からなるロックバンド。1999年9月にシングル「アポロ」でメジャーデビューを果たす。2000年7月のシングル「ミュージック・アワー」がポカリスエットCMソングに起用され、大ヒットを記録。続く「サウダージ」は初のミリオンセールスとなり、一躍トップアーティストの仲間入りを果たす。その後も「アゲハ蝶」「幸せについて本気出して考えてみた」「メリッサ」などヒット曲を連発させる。2013年7月から8月にかけて初となる海外公演を開催し、11月にはこれまでに発表したすべてのシングル収録のベスト盤「PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary“ALL TIME SINGLES”」をリリース。デビュー15周年を迎えた2014年9月には40枚目のシングル「俺たちのセレブレーション」発売し、兵庫と神奈川にて計3日間のスタジアムライブ「“神戸・横浜ロマンスポルノ'14 ~惑ワ不ノ森~”」を行い約9万人を動員した。2015年5月にはテレビアニメ「僕のヒーローアカデミア」のオープニングテーマ「THE DAY」を表題曲としたニューシングルをリリース。9月には神奈川・横浜スタジオにて野外ワンマンライブ「横浜ロマンスポルノ'16」を2日間にわたり実施する。
横浜ロマンスポルノ'16
- 2016年9月3日(土)神奈川県 横浜スタジアム
- OPEN 15:00 / START 17:00
- 2016年9月4日(日)神奈川県 横浜スタジアム
- OPEN 15:00 / START 17:00