音楽ナタリー Power Push - グッドモーニングアメリカ

渾身のアルバム携え武道館へ “育ての親” O-Crest店長・室清登と辿るグドモの歩み

ここぞというときにしっかり決めてくるバンド

──そうやってグドモのことを見続けてきた中で、室さんがバンドの転機を感じるようなタイミングってありましたか?

現在もO-Crestに貼ってある「あっ、良い音楽ここにあります。」リリースパーティのポスター。

 2010年の「あっ、良い音楽ここにあります。」のリリースパーティかな。彼ら企画のオムニバスのCDが出て、その発売記念ライブを2Daysでやったんですよ。1日目はいい感じに盛り上がってメンバーの雰囲気も楽しそうだったんだけど、自分が聴く限り演奏はガチャガチャだった。だから、ライブ終わりで「今日のライブはダメなんじゃない?」って言ったんです。たなしんともけっこう話したよね。そうしたら、次の日は素晴らしいライブをバチっとやってくれた。グドモはここぞというときにしっかり決めてくるバンドなんだな、ってそのときに思いましたね。

渡邊 あの2Daysはしんどかったの覚えてるな。あの日みんなでどっかに泊まらなかったっけ?

ペギ 俺ステージ上で寝た。

渡邊 そうだ、Crestに泊まったんだ!(笑) ここ(Crest)に泊まっちゃうレベルでみんな疲れてたんですよ。自分たち主催のイベントで、しかも2Daysで……。すごくハードだった。

たなしん 2日目には映像収録も入ってたんだよね。1日目は勢いのままにライブをしてしまったんだけど、2日目はもうすごい集中して。室さんの意見を聞いて「なんとかイベントを成功させたい」っていう思いで本番に臨んだんじゃなかったかな。自分も覚えてますけど、すごい空気感のライブだった。すべてがガチっと噛み合う感じ。そういう“ミラクルデー”はこれまでに何度かありますね。

 それで言うと、この間ここでやったツアーファイナル(「凌ぎ合うツアー2015」)のライブは僕が見た中で一番よかったよ。すごい感動した。泣いちゃいました。

たなしん ありがとうございます。自分たちの持ってるエンタメ性と演奏とがうまく混ざりあってしっかりと1つの形になったのが、この間のCrestのライブだったかなとは思ってます。室さんに見てもらえてよかった。

金廣 俺らにとってCrestはホームだしね。八王子もホームだけど、八王子は生まれた場所でここは育った場所。

渡邊 どこへ行っても「Crest出身のバンドです」って胸を張って言えると俺は思っているし、そういうふうに思える場所があるのは大事だなって感じる。

たなしん(B, Cho)

たなしん ここで出会ったバンドも多いしね。あとCrestは自分たちが次のステージに行くときに何かしら関わってもらってる場所っていうか。今回のツアーファイナルにしてもそうだし……。一緒に道を歩めているなって思います。

 次は武道館だもんな。ひと言じゃなかなか言えないけどうれしいし、今うちでライブをやっているようなバンドもグドモに勇気をもらうと思うよ。「ここで育ったバンドが、武道館でワンマンができるほどに大きくなれるんだ」って。

──ちなみに、グドモはCrest主催の野外フェスである「MURO FESTIVAL」の常連バンドでもありますが、このフェスにおいてグドモはどのような存在なのでしょう。

 グドモって僕にすごい勇気をくれたバンドなんですよ。ムロフェスの1年目、すごい不安だったんです。ワンマンだったら500人集まるか集まらないか、くらいのバンドを15組くらい集めて野外でやる、っていう感じだったから「お客さんは本当に集まってくれるんだろうか?」って。だけど、フェスの半年前くらいかな? グドモがキャパ1300人のTSUTAYA O-EASTをソールドアウトさせたんですよ。僕はソールドアウトするなんて思っていなかったんだけど……。それを見て「すごいな、やればできるんだ」って思えて。ものすごい勇気になりました。そのことがあったから僕も勇気を持って1歩踏み出せたのかなと思ってるんですよ。

たなしん 僕らにとってもムロフェスって特別なんですよ。僕らCrest出身だし、出ているバンドはほぼ知り合いだしね。フェスというより、対バンライブをしているような感覚でステージに立ってますね。お客さんもすごい盛り上がるし。

金廣 Crestに縁のあるバンドが集まって、野外にライブハウスがあるような感覚がすごい好き。本当に対バンライブに臨むような感じですよ。あとムロフェスは、絶対に舞台袖でほかの出演者が観てる。だから「勝ちに行こう」っていう思いが特に強いかもしれない。

Crestから武道館へ

──武道館公演当日、彼らに期待していることなどはありますか?

室清登

 グドモに限ってないとは思うけど、小さくまとまってほしくないね。武道館でも変わらないみんなを観たいですね。

たなしん 今回、大仁田厚さんがゲストで出てくれるんですよ。「ファイヤー」といえば大仁田さんってことで、「一緒に『ファイヤー』やりましょう」って直談判しに行ったんです。

 そうなんだ! 彼、大学の同級生だよ。

たなしん ええー!

 一緒の授業とか受けてたよ(笑)。

渡邊 マジか。

ペギ 邪道の皮ジャン着てました?

 いや、学校だから着てないって(笑)。

たなしん あと、登場をどうしようかって考えたんですよ。こないだ空は飛んじゃったんで(参照:グッドモーニングアメリカ、歓喜の“トーキョーシティ”でツアー終幕)、今回はバック転でプロレス入場したら面白いんじゃないかと思って、今、池谷幸雄さんの教室に通ってます。

 ええ!(笑)

たなしん 今日もこのあと練習行ってきます。まだマットなしで回れない状態なんで。

グッドモーニングアメリカ、室清登。

 何回も回れるの?

たなしん 1度で終わっちゃってもなあと思って、何回も回りたいと思ってますよ。

渡邊 ホントにできたらすごいよな。

たなしん でしょ? だから週3で通ってるんですよ(笑)。

一同 (爆笑)

3rdアルバム「グッドモーニングアメリカ」 / 2015年10月28日発売 / 日本コロムビア
初回限定盤 [CD+DVD] / 3292円 / COZP-1091~2
通常盤 [CD] / 2880円 / COCP-39297
CD収録曲
  1. ディスポップサバイバー
  2. サイダーでも飲んで
  3. コピペ
  4. 友よ
  5. オールグリーン
  6. 南風と太陽
  7. 雨ニモ風ニモマケズ
  8. 低気圧の夜
  9. アウトサイダー
  10. ビッグバン
  11. ハローハローハロー
  12. 一陽来復
初回限定盤DVD収録内容

グッドモーニングアメリカ「挑戦 㐧六夜」@八王子オリンパスホールライブセレクトDVD

  1. コピペ
  2. 南風と太陽
  3. inトーキョーシティ
  4. 未来へのスパイラル
  5. イチ、ニッ、サンでジャンプ
  6. STAY WITH ME
グッドモーニングアメリカ「挑戦 第七夜」
2015年11月27日(金)東京都 日本武道館
グッドモーニングアメリカ

グッドモーニングアメリカ

金廣真悟(Vo, G)、渡邊幸一(G, Cho)、たなしん(B, Cho)、ペギ(Dr, Cho)からなる4人組バンド。2001年に前身バンドfor better, for worseを結成し、2007年より現在のバンド名に変更。for better, for worse時代は英語詞だったが、バンド名変更を機に日本語詞へと切り替え、サウンドもよりポップさを増す方向へ転換した。2008年より現在の編成で活動を開始し、自主企画の開催や作品のリリースを積極的に行う。2012年冬には初のワンマンツアーを成功に収め、2013年5月に1stフルアルバム「未来へのスパイラル」で日本コロムビアよりメジャーデビュー。2014年5月にはテレビアニメ「ドラゴンボール改」のエンディングテーマに採用された「拝啓、ツラツストラ」をシングルとしてリリースした。同年10月に2ndフルアルバム「inトーキョーシティ」を発表し、12月から翌年3月にかけてレコ発ツアーを実施。8月にテレビアニメ「ドラゴンボール超(スーパー)」のエンディングテーマ「ハローハローハロー」をシングルリリース。今作よりコロムビア内のロックレーベル・TRIADに移籍した。10月には3rdアルバム「グッドモーニングアメリカ」を発表。11月には初の日本武道館ワンマンが控えている。