このバンドだったらなんでもできる

──「クロワッサン」「彼女が愛した朝食」など、キュンとくるようなラブソングも印象的でした。こういう歌詞は想像上のストーリーがもとになってるんですか？

児玉　「クロワッサン」は最初にストーリーを作りましたね。ほかの曲もそうなんですけど、人からいろんな話を聞いて、「そういう人生もあるんだな」みたいな感じで印象に残ってることを曲のテーマにすることもけっこうあるんですよ。その中に自分のことを重ねつつ、「この曲に出てくる登場人物はどんな人だろう？」って妄想したりとか。

福山　「彼女が愛した朝食」は「掟上今日子の備忘録」（日本テレビ系ドラマ）のことも頭にあったんじゃない？

児玉　あ、そうだね。「溢れるもの」（「掟上今日子の備忘録」オープニングテーマ）と一緒に提出した曲なので。原作の本の帯に「彼女の記憶は一日でリセットされる」と大きく書いてあったんです。中身を読む前に、その言葉を膨らませて歌詞をバーッと書いたのが「彼女が愛した朝食」なんですよね。

福山　「クロワッサン」のほうは、まず曲としてカッコいいなって思ったんですよ。疾走感のあるジャパニーズロックという感じなんだけど、個人的にはすごく好きで。曲名はかわいいんですけどね。乃木坂46とかSKE48が歌いそうな感じというか（笑）、サウンドとのギャップもいいなと。

──そのギャップがバンドのイメージにも合ってますよね。歌詞やタイトルを考えるとき、バンドの雰囲気に合うかどうかも考えてますか？

児玉　そこも特に意識してなくて、やりたいこと、歌いたいことをやっていけたらいいなと思ってますね。「このバンドだったらなんでもできるんじゃないか？」というのもあるしこれからもいろんな曲を作っていきたいです。

中島みゆきさんをイメージした「ツバメの巣」

──今回のアルバムは、サウンド面でもいろんなトライがあって。特に印象的だったのは、アイリッシュのテイストを取り入れた「ツバメの巣」。このアレンジのアイデアは、どこから出てきたんですか？

山崎　もりし（大森）が「1D（One Direction）みたいなイントロにしてみたい」って言ったのがきっかけですね。

大森　ちょっと哀愁がある雰囲気が合うんじゃないかなって。1Dもすごく好きで、よく聴いてたし。

児玉　僕がメロディを書いたときは、なんとなく中島みゆきさんのイメージだったんですけどね（笑）。晧もそのイメージで歌詞を書いてくれたみたいで。

福山　そうそう。そんな話はしてないんですけど、メロを聴いたときに「中島みゆきさんの香りがするな」って思って。その雰囲気で歌詞を書いてみたら、“ツバメ”という言葉が入ってたっていう。

山崎　「地上の星」だね。「♪つばめよー」って（笑）。

福山　最初から「地上の星」を意識していたわけではないんだけどね（笑）。歌詞はAメロから順番に書いていったんですけど、自分の思いの丈を手紙にしたためるような感じだったんです。簡単に言えば、テーマはいろいろ諦めちゃった人の再出発ですね。自分の居場所を“ツバメの巣”に見立てて、そこからまた巣立っていくという心境を書いてみたくて。

──歌謡テイストのメロに、再出発をテーマにした歌詞と「1Dみたいな雰囲気で」というイントロが重なって。意外なアイデアが1つになるところもGoodbye holidayの特徴だと思います。

児玉　そうですね。自分でも面白いなって思います。