ナタリー PowerPush - Goodbye holiday
歌詞ですべてを伝えたい 新世代バンドのメッセージ「ソラリス」
1月23日に初の全国流通盤「ソラリス」を発表したGoodbye holiday。彼らはキャッチーなメロディとメッセージ性のある歌詞を武器に人気を拡大している、若手4人組のギターロックバンドだ。
ナタリー初登場となる今回はバンドの基本姿勢や「ソラリス」の手応えについて質問。創作の源泉、そして4人の信頼関係が垣間見えるインタビューとなった。
取材・文 / 伊藤実菜子 インタビュー撮影 / 佐藤類
歌詞を伝えることを一番に
──Goodbye holidayはどんなバンドを目指して組んだんですか?
児玉一真(Vo, G) もともとBUMP OF CHICKENとかMr.Childrenのような、歌詞にすごくパワーがあるバンドが好きで。歌詞に励まされたり元気をもらってたりしたんで、そういう音楽をやりたいっていう気持ちで作ったのがGoodbye holidayです。
山崎晃平(Dr) 最初から児玉くんの中には歌詞を伝えたいっていう思いがすごくあって。ライブする上で何を一番大切にするかっていう話をしたときに、「俺は一番歌詞を伝えたいから、3人は歌わないけどそのつもりで演奏してくれ」って言ったんですよね。
──確かに「ソラリス」に収録されている曲の歌詞にはメッセージ性があるというか、強い言葉が多いですね。中には「善くも悪くも僕たちは 広い世界を捨てたんだ」「思い通りにはいかないよ」のような少しひねくれた部分もあって。
児玉 嫌なことがあって「ひねくれてんな俺」って思うときにけっこう歌詞書けたりすることが多いんですよね。でも性格的に、嫌なことをなんとかしなきゃって解決に持っていきたいほうなんですよ。そういうところが歌詞のヒントになってますね。
──でもひねくれてるかと思えば、「泣くことだって必要だよ」と聴き手に優しく語りかける歌詞もありますね。
山崎 児玉くん優しいですからねえ。店員さんとかにもちょっと異常なぐらい優しいんですよ。そこまでしちゃう?みたいな。
児玉 そんな優しい?
山崎 例えばファミレスにメシ食いに行ったら、食い終わったあと全部食器片付けて、ちょっと端によけるんですよ。で、お手拭きでここ(テーブル)全部拭くんですよ。
福山匠(B) それ暇だっただけでしょ(笑)。こいつ(山崎)がもうナプキンとか粉々にするんですよ。
大森皓(G) ははは!(笑)
山崎 俺はそういうことしちゃうんで(笑)。だから、やっぱ児玉くんは根本的な優しさがいつもにじみ出てるのかなと思いますね。
──なるほど(笑) 。歌詞についてメンバー同士で話すことはあるんですか?
山崎 俺は変な日本語とか、聴いてて聞きづらいところがあったら「ここなんて歌ってんですか?」って聞きますね。そう言ったらたぶん、ほかの人には聞きづらいんだなって気付くと思うから。
──リスナーの立場になって意見するんですね。
山崎 やっぱ歌詞を一番に伝えたいって言われたからには、歌詞を聴きながら演奏したほうがいいと思いますし。フレーズ付けるにもそうやったほうが情景とかも出てくるんじゃないかなって思うんで、最近は特に聴くようにしてますね。
アレンジでは昔よりぶつかることが増えた
──アレンジが緻密に作りこまれている印象を受けたのですが、楽曲はどういうふうに組み立てていくんですか?
児玉 僕が作ったものを「あのバンドのああいう雰囲気の曲でやりたい」って伝えて、各々がそれっぽいアレンジを考えてきてくれる感じかな。
山崎 実際に合わせてくと、ケンカまではいかないですけどけっこう意見は飛び交いますね。最近は特にみんながいろんなアレンジをあーだこーだ言うから。昔よりそうやってぶつかることが増えたのはいいことだと思うんですけどね。
──それにしても初の全国流通盤とは思えない完成度です。
児玉 「ソラリス」に入ってる曲のほとんどが大学の頃に作った曲なんですよ。大きいアレンジは変わってないんですけど、細かいところはたぶん演奏してきたぶんだけ少しずつ変わってきてるので。ライブで何度もやってきたから、そういう意味では楽曲はしっかりできあがってるのかなって思いますね。
山崎 でもCDの音源からさらに「ここやっぱこうしたい」って思う曲は何曲かあって。新しいアイデアが出てきた曲はライブだとアレンジを変えてたりもしますね。最近のライブではさらによくなってるんじゃないかなと(笑)。
聴く人を元気付けたい
──「ソラリス」の7曲の中で、バンドの色が一番出てる曲はどれだと思いますか?
山崎 うーん……。どうすかねえ(笑)。
福山 色で言ったら「等価な世界」じゃない? あーでも「いつか終わること」も出てるなあ。「シンプループ」もわりと出てるなあ。……わりと出てます。
──特に限定せずに、いろんな面があるのがバンドの色ということでしょうか。
山崎 コンセプトとして、いろんな場面で聴けるアルバムっていうのがあったから。この曲がグッホリのカラーだっていうのはないんじゃないですかね。
児玉 全部がグッホリっぽいし、そこを狙ってもいるので。まあどれって言われたらイチオシは「等価な世界」なんでそれになるのかなと思うんですけど。でもきっと1曲1曲、グッホリらしさっていうのはどこかしら入ってると思います。
──じゃあその根幹にあるものってなんだと思います? バンドのオリジナリティというか。
児玉 そこはけっこう聞かれるところなんですけど、グッホリってどういうバンドなのかってまだはっきりとは答えられなくて。でも歌詞書いたり曲作ったりする上では、聴いた人がポジティブな気持ちになったり元気になったりしてもらえるような、明るい方向でいきたいなとは思ってますね。
収録曲
- ブリキ行進曲
- 等価な世界
- 半透明
- いつか終わること
- ダウト
- シンプループ
- deco
Goodbye holiday(ぐっばいほりでい)
児玉一真(Vo, G)、大森皓(G)、福山匠(B)、山崎晃平(Dr)からなるロックバンド。2008年に広島で結成。2011年より東京に拠点を移し現在のメンバーとなる。ポップで耳触りのいいメロディ、独特な視点を持った歌詞、存在感のある歌声で着実にファンを増やし、2013年1月23日に初の全国流通盤となるミニアルバム「ソラリス」をリリース。収録曲「deco」はテレビ東京系「オードリーの神アプリ@新世紀-UP DATE-」の4~6月度エンディングテーマに採用されている。