音楽ナタリー Power Push - Goodbye holiday
1stアルバムで花開く“王道J-POPバンド”
Goodbye holidayが1stフルアルバム「with YOU」を完成させた。エッジの効いたロックチューン「最終回は終わらない」、インディーズ時代からファンの間で支持を得ていたラブソング「旅立ちの花」、アイリッシュサウンドを取り入れた「ツバメの巣」など多彩な楽曲が収められた本作には、このバンドのポピュラリティの高さ、そして“歌を届けたい”という意思が色濃く反映されている。
今回音楽ナタリーではメンバー全員にインタビューを実施。バンドの個性を確立するとともに“たくさんの人が楽しめるポップスを作っていきたい”というスタンスを見つめ直すきっかけにもなった「with YOU」について語ってもらった。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 佐藤類
納得のいくアルバムが完成した
──1stフルアルバム「with YOU」が完成しました。Goodbye holidayらしいポップナンバーがそろった作品だと思いますが、制作前はアルバムについてどんな話をしていたんですか?
児玉一真(Vo, G) コンセプトみたいなものは特になかったんですけど、「とにかく妥協しないで、いいアルバムにしよう」という話はしていましたね。
山崎晃平(Dr) スケジュールはタイトだったんですけどね(笑)。ツアーと重なって(アルバムの制作作業が)なかなかできない時期もあったので。
──収録曲はメジャーデビュー以降に制作された新曲が中心だとか。
児玉 はい。最初は「昔からある曲も入れてみようか」という話もしてたんですけど、途中から「最新のものが一番いいはずだ」と思ったので。ギリギリまで制作してどんどん新しい曲を入れていったんですが、自分としても大満足だし、自信作になりましたね。
山崎 納得のいく作り方ができたし、納得のいくアルバムが完成したなって思います。
──「納得のいく作り方」というと?
山崎 各々の楽器の演奏、アレンジを含めて、今までないがしろにしていた部分にもこだわることができたんですよね。もちろん島田昌典さん、寺岡呼人さんと一緒にやれたことも大きいと思います。レコーディングのやり方、音の作り方など、そこで学んだことも生かせたんじゃないかなって。
福山匠(B) そうだね。音作りにしろ歌詞にしろ全体のアレンジにしろ、今までできなかったことができるようになったという自信があるので。あと、今までは「Goodbye holidayらしさってなんですか?」と聞かれると答えに戸惑ってたんですけど、「このアルバムが“らしさ”です」って言えるなと思ってます。バンドの輪郭、方向性を示せたというか、ポップスの王道でキャッチーなメロディもそうだし、歌詞の内容の幅、アーティスティックな部分も入っていて、何年たっても「これが最初の代表作です」と言えるアルバムになったと思いますね。
大森晧(G) 「いいものを作ろう」ということで、12曲いろんなタイプの曲が入っていて。今まで(のリスナー)は若い人が中心だったんですけど、それよりも上の年代の方にも聴いてもらえる1枚になったと思います。バンドとしても次の階段を上れるアルバムになりましたね。
──「with YOU」というタイトルは、やはりリスナーに向けられたものなんですか?
児玉 “リスナーに向けた”というのも1つの理由です。今まで応援してくれた人たち、これから応援してくれるであろう人たちに対して、「僕たちの音楽をあなたたちのそばに置いてください」っていう。もう1つは、楽曲の中に「あなた」というワードがすごく出てくるんですよね。“君と僕”みたいな歌詞の内容も多いから、「with YOU」というタイトルがハマるなって。
──普段歌詞を書くときも、常にリスナーの存在は意識してますか?
児玉 あ、でも、最近はそういうわけでもなくて。逆にそこは意識せずに書けたらなと思ってるんです。以前はお客さんのことを意識して「自分には何ができるだろう。何を言ってあげられるだろう?」と考えてたんですけど、上から目線というか、聴いてくれる人からするとイヤかもなって思うようになったんです。今はそうじゃなくて、まずは自分が書きたいこと、伝えたいことを歌詞にして歌ってみようと思ってますね。
──なるほど。福山さんも歌詞を書かれますが、何か意識の変化はありますか?
福山 僕は昔から、自分の内面を出せるのがここ(歌詞)しかないので、いつも楽しく書いていて。もちろんお客さんのことも意識するんですけど、実際に書くときは自分の中にこびりついている誰かだったり、“1対1”ということを想像することが多いですね。自分の中にある思いを正確に表せば、共感してくれる人が少なからずいて。それも自分にとってはすごく心地いいんですよね。
自分たちの代表曲になる「旅立ちの花」
──では、収録曲について聞かせてください。まず「旅立ちの花」はインディーズ時代から存在していた曲なんですよね?
児玉 そうですね。2、3年前からあって、ライブでもやってる曲なので。ずっと音源にして聴いてもらいたいという気持ちもあったし、メジャーデビューしてからも「シングルとして出してもいいよね」という話もしてたんですけど、今回のタイミングで島田さんにアレンジしてもらって、ようやく収録できることになって。やっと出せたという感じですね。
──歌が中心になっている曲だし、Goodbye holidayのよさが出てますよね。もともとはどんなテーマで書いた曲なんですか?
児玉 はっきりとは覚えてないんですけど……高校から大学まで付き合っていた女の子のことを思って書いたんですよね。
山崎 かわいいんですよ。
福山 ○○○ちゃんね。
児玉 名前を言うな(笑)。
山崎 もう結婚しちゃったから、苗字は違うんですけど。結婚したときは俺もショックでした……。
──(笑)。そのあたりの事情はメンバーも知ってるんですね。
児玉 そうですね(笑)。自分からフッたんですけど、「これから別れ話をしてくる」というときにやまぽん(山崎)も一緒にいて。帰ってきて、自分でフッたくせに“ぶり”泣いて……(※広島の方言)。
福山 どうしようもねえな(笑)。
──その思い出を曲にしてみようと?
児玉 実際に曲を書いたのはだいぶあとなんですけどね。学生時代の恋愛ってすごくピュアだったし、一生懸命だったし、それをずっと忘れずにいたいと思って。
山崎 最初は四つ打ちのリズムを付けてたんですけど、(児玉から)「もっと泥くさくて、ウルフルズとかエレカシ(エレファントカシマシ)みたいなニュアンスにしたい」って言われて、今の雰囲気になってきたんですよね。島田さんのアレンジもそういう方向だったので、「やっぱり泥くさいイメージが合う曲なんだな」って。そういえば俺、この曲の仮タイトルを「夕方6時の歌」って勝手に書いてたんですよ。
──なるほど。確かにノスタルジックな雰囲気もありますからね。
山崎 そうなんですよね。切なくなったり、懐かしくなったりする曲だなって。
福山 郷愁感があるというか。上京した人にしか書けないテーマでもあるし、すごくいいなって思いますね。
大森 メロディも印象的だし、ライブでやっていくうちに「いい曲だな」って実感するようになって。島田さんにサウンドプロデュースをお願いしたことで、自分たちの代表曲になるなって思ってます。
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- 1stアルバム「with YOU」2016年2月10日発売 / avex trax
- CD+DVD / 3672円 / AVCD-93352/B
- CD / 2916円 / AVCD-93353
CD収録曲
- LAIKA
- 最終回は終わらない
- リベレーター [ALBUM Ver.]
- 旅立ちの花
- クロワッサン
- any time
- アコーデオン弾きのワルツ
- 彼女が愛した朝食
- ツバメの巣
- 革命アカツキ
- 溢れるもの
- スプートニク2号
DVD収録内容
- 革命アカツキMUSIC VIDEO
- リベレーターMUSIC VIDEO
- 溢れるものMUSIC VIDEO
- 旅立ちの花MUSIC VIDEO
- スプートニク26号 SHIBUYA O-WEST Digest Movie
(Flag / スパイダー / ポップコーン / 等価な世界 / サイダー / deco)
ライブ情報
Goodbye holiday「"with YOU" tour ~みんなひっつきもっつきじゃ~」
- 2016年3月11日(金)北海道 札幌KRAPS HALL
- 2016年3月13日(日)宮城県 enn 2nd
- 2016年3月18日(金)岡山県 PEPPERLAND
- 2016年3月21日(月・祝)福岡県 graf
- 2016年3月26日(土)愛知県 SPADE BOX
- 2016年3月31日(木)大阪府 OSAKA MUSE
- 2016年4月2日(土)東京都 EX THEATER ROPPONGI
- 2016年4月8日(金)広島県 HIROSHIMA 4.14
Goodbye holiday(グッバイホリデイ)
児玉一真(Vo, G)、大森皓(G)、福山匠(B)、山崎晃平(Dr)からなる4人組バンド。2008年に広島で結成。2011年に東京に拠点を移し現在のメンバーとなる。2015年7月、シングル「革命アカツキ」でエイベックスからメジャーデビュー。また、2015年8月に放送されたアニメ「ワンピース エピソード オブ サボ~3兄弟の絆 奇跡の再会と受け継がれる意志~」のテーマソング「リベレーター」と、10月スタートの日本テレビ系ドラマ「掟上今日子の備忘録」のオープニングテーマ「溢れるもの」の2曲を収録した、両A面2ndシングルを10月にリリース。2016年2月10日には1stアルバム「with YOU」リリースする。