音楽ナタリー Power Push - 「シン・ゴジラ」公開記念特集

DJ KOO、ゴジラを語る

庵野秀明監督による映画「シン・ゴジラ」が7月29日に公開されるのを記念し、日本映画専門チャンネルは7月14日に「『キングコング対ゴジラ』<完全版>4Kデジタルリマスター」をテレビ初放送する。

音楽ナタリーでは、ゴジラの熱狂的なファンであるDJ KOOにいち早く「『キングコング対ゴジラ』<完全版>4Kデジタルリマスター」を鑑賞してもらい感想を聞くと共に、幼少期からこれまでのゴジラとの関わりや「シン・ゴジラ」に寄せる期待まで、たっぷりと語ってもらった。

取材・文 / 三橋あずみ 撮影 / 小坂茂雄

終わりよりも登場が大事なんですよ

──今日は「『キングコング対ゴジラ』<完全版>4Kデジタルリマスター」をご覧いただきました。まずはご覧になった感想からお願いします。

もう何百回と観ている作品ですが、とても新鮮に感じました。「キンゴジ」(「キングコング対ゴジラ」)はコミカルな描写があったりもするんですけど、迫力もすごかったですね。

──4Kの印象はいかがでしたか。

「キングコング対ゴジラ」ビジュアル TM&©1962 TOHO CO.,LTD.

いい意味で違和感がなかったです。デジタルリマスター版になると映像にエッジが出すぎてしまうんじゃないかってファンとして心配をしていたんですけど、キングコングの毛並みも自然な感じで浮き出ていたし、暗いところも見やすくなっていました。例えば大ダコのシーンとかはオリジナル版だとけっこう暗いんですけど、陰影がハッキリと出てきれいでしたね。奥行きも感じられました。建物が崩れ落ちるシーンや自衛隊がミサイルを発射するシーンの迫力もより出ているように感じました。

──この作品の中で、KOOさんがお気に入りのシーンを教えてください。

これ、マニアックな答えでもいいんですよね?(笑)

──大丈夫です。

やっぱり、大ダコが襲ってきたシーンでチキロを発見したとき。あのホッとする感じがいいですね。あとは大村千吉さん。大村さんはゴジラ作品のスパイス的な存在なので、毎回期待してしまいます。そして何より、一番はゴジラの登場シーンですね。終わりよりも登場が大事なんですよ。最初の雄叫びと、どういった形で登場するのか?っていうところが一番アガるポイントなんです。だから、この作品で言うとゴジラが潜水艦シーホーク号の真上にいる!っていう危機感が生まれるあの瞬間が好きですね。

──KOOさんが「キンゴジ」を最初に観たのはいつ頃ですか?

幼稚園の頃かな? お正月になるとテレビでゴジラ映画をやっていて、それが毎年楽しみだったんです。当時350円だったソフトビニールの人形をおもちゃ屋さんで買って、集めていましたね。僕、歴代のゴジラの中でも「キンゴジ」のゴジラの造形が一番好きなんです。初ゴジ(初代ゴジラ)は別格としてね。(持参したフィギュアを触りながら)今でも自分のスタジオの入り口にはこのゴジラのフィギュアを飾っています。

大人になったらゴジラになりたいと思っていました

──KOOさんが「ゴジラ」にハマった理由はどういったものだったんでしょう。

幼稚園に入る前だからよく覚えてはいないけど、大人になったらゴジラになりたいと思っていました。とにかく憧れですね。

──最初に観た「ゴジラ」作品は?

「モスゴジ」(「モスラ対ゴジラ」)だったと思います。テレビで観たお正月映画ですね。自分で映画館に足を運んで観たのは「三大怪獣 地球最大の決戦」。そこからはキングギドラのファンになりました。ゴジラファンって、子供の頃からゴジラを追っていく中でキングギドラだったりメカゴジラだったり、好敵手を好きになっていくんですけど、大人になってまたゴジラに戻ってくるんですよ(笑)。僕の場合は、物心がついてからはギドラ派でした。ゴジラは時代によって造形が違っていたりもするから、そこからは付かず離れず、絶えずそばにいる感覚でしたね……僕、質問されてないのにいろんなことしゃべってるなあ(笑)。

──そうだったんですね。KOOさんの少年時代のゴジラに関する思い出で、一番印象深いものは?

駄菓子屋に行くとゴジラの写真のクジが売られていて、それをとにかく集めてましたね。全部で50種類くらいあるんですけど、映画のゴジラとは色や場面設定が少し違って、それがまたカッコいいんですよ。レアな写真を引いたときの感動はすごいですよ。それが一番のコレクションだったなあ。

──KOOさんが引いて一番うれしかったのはどんなカードでしょう。

映画では観たことのないような赤茶色に着色されたゴジラと、その後ろにラドンがいる写真です。あとは11大怪獣が富士山麓に並んでいるカットですね。

──ちなみに現在は、どのくらいの距離感でゴジラと関わっていますか?

東京現像所エントランスで来客者を迎えるゴジラのフィギュアとDJ KOO。TM&©TOHO CO., LTD.

今は子供の頃よりも、もっと近くにいきたいなって思ってます(笑)。ハリウッド版ゴジラ(「GODZILLA ゴジラ」 / 2014年)のとき、恐れ多くも東宝の方に直談判して公認サポーターという役職をいただきまして。「『ゴジラ』が大好きなんで、勝手に応援させてください」って挨拶しに行ったんですよ。そうしたら「ご興味がおありなんですね」なんて返してもらえたから、そこからはダムが決壊したみたいに「平成シリーズ『ゴジラVSキングギドラ』でも、潜水艇のわだつみは昔のものを使ってますよね?」なんてマニアックな話をさんざんしてしまって。そうしたら思いが届いて、サポーターとして任命していただいたんです。

──そうだったんですね。公認サポーターになってから、歴代の作品を観返したりしましたか?

そうですね、自分の記憶が合っているか、確認するような作業はしました。「スーツアクターの薩摩剣八郎さんはどの作品まで演じられてたかな?」とか。あとはなんといっても、やっぱり曲を聴き返しましたね。伊福部昭先生の曲やライトモチーフは、子供の頃から自分の中に息づいていますし。

「『キングコング対ゴジラ』<完全版>4Kデジタルリマスター」

「『キングコング対ゴジラ』<完全版>4Kデジタルリマスター」

日本映画専門チャンネル、スカパー!4K総合
7月14日(木)21:00~23:15 ※テレビ初放送
7月29日(金)19:45~22:00 ※再放送

ゴジラシリーズ最大のヒット作にして初のカラー作品として知られる「キングコング対ゴジラ」の、ゴジラシリーズ初となる全編4Kデジタルリマスター版。長らく行方不明だったネガフィルムが発見されたことにより、1962年公開当時のオリジナル版が4Kデジタルリマスターで甦る。

「ゴジラ ファーストインパクト」

日本映画専門チャンネル 毎週木曜 21:00~

8月までオンエアされる特別番組。ゴジラシリーズへの出演経験を持つ宇崎竜童、お笑いコンビ・ドランクドラゴンの塚地武雅ら計10名のゲストが初めて鑑賞したゴジラ作品と、鑑賞当時の思い出を語る。7月のゲストには「シン・ゴジラ」主演の長谷川博己および石原さとみ、「ゴジラ2000 ミレニアム」などに出演した佐野史郎らが並ぶ。

なお、抽選で555名に特製ゴジラTシャツが当たる「ゴジラ初体験記」投稿キャンペーンが7月31日まで特設サイトにて開催中だ。

DJ KOO(ディージェイコー)

TRFのリーダーでサウンドクリエイター。高校時代にダンスミュージックと出会い、その後新宿のディスコ「カンタベリーハウス」「B&B」でDJを務める。1986年にはDJ HONDAとTHE JG'sを 結成し、数多くのリミックスを手掛けた。その後1993年に小室哲哉のプロデュースするユニット・trfのメンバーとしてシングル「GOING 2 DANCE」および同時発売のアルバム「trf ~THIS IS THE TRUTH~」にてデビュー。1990年代から2000年代にかけて、数々のミリオンヒットを世に送り出した。近年はバラエティ番組などにも活躍の場を広げている。

衣装協力 / KINSELLA、SALMON HARAJUKU


2016年7月28日更新